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姿勢・運動の観察~身体重心の見方とその評価方法~

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姿勢の見方と評価

空間上の骨盤の位置は6自由度あると言われています。前額面、矢状面、水平面それぞれに立てた軸を、X軸Y軸Z軸とします。それぞれの軸回りの「並進運動」と「回転運動」の両方ありますので、6軸運動を見る必要があります。

例えば矢状面では骨盤の前傾・後傾および骨盤の前方と後方移動この両方を見ることによって、骨盤の位置をしっかりと評価することができます。同様に前額面では、骨盤の左右の挙上それから左右への移動の両方を見ることによって、骨盤の位置を同定することができます。また、水平面では骨盤の回旋および上下移動を評価することによって、骨盤の位置を決めることができます。

矢状面での姿勢評価

矢状面上の姿勢の評価は、骨盤の前後傾および骨盤前方後方移動を両方について評価していきます。上前腸骨棘と上後腸骨棘のなす角度が後方が2横指ないし2.5横指高くなる位置が骨盤の正常な前傾角度です。次に骨盤が頭部ー足部に比べて前方にあるか後方にあるかについて評価をします。そのことによりまして、骨盤は前方移動・後方移動前傾・後傾この二つの組み合わせが評価することができます。

 

すなわち前傾位で前方移動、あるいは前傾位で後方移動などという風に四つに分けることができます。例えば前傾で前方移動だった場合、前方移動が腰椎伸展、股関節伸展。前傾は腰椎伸展、股関節曲の組み合わせになりますので、前傾では共に共通する腰椎伸展がこの姿勢を決めている可能性が出てきます。

前方移動、後方移動、前傾、後傾この両者を評価することで、どこが短縮している部位かを評価しておきます。ここでは、脊椎を腰椎に代表して示します。表にありますように、骨盤前傾は、股関節屈曲ー腰椎伸展の組合せ。後傾は股関節伸展ー腰椎屈曲。前方移動は股関節伸展ー腰椎伸展。後方移動は股関節屈曲ー腰椎屈曲の組合せとなりますので、先ほど申し上げましたように前傾・前方移動では共通する腰椎伸展がこの姿勢を決めている可能性が出てきます。以下の図で、その時に短縮している部位について赤い太い線で示しています。

前方移動では後方の二つの要素。前傾では腰部の後ろそれから股関節の前と言ったように、短くなった部位をこのように表すことで、例えば前傾、前方移動の共通する腰椎の後方に短縮要素があるかということについて、評価しておきます。動作分析の際に、この短縮している部位が実際にどのような動き方をするか、これを中心に動作をするということが重要です。

前額面での姿勢評価

次に前額面の姿勢の評価は、両上前腸骨棘、両上後腸骨棘の高さそれから正中線に対して、骨盤が左右どちらに移動しているかについて評価をします。この際出来れば、前方及び後方両方から評価することが重要です。矢状面と同じように骨盤は左挙上・右挙上、右移動・左移動と四つに区分することができます。

そしてこれもまた二つの組み合わせ、例えば左挙上と右移動と言ったように四つの組み合わせがその方の姿勢から評価することができます。骨盤左挙上の場合は、左股関節の内転ー右股関節の外転腰椎の左側屈の組み合わせとなります。また右移動の場合は、左股関節の外転ー右股関節の内転腰椎左側屈という風になりますので、この場合腰椎の左側屈が共通要素となりこの部位が短縮している可能性があるということを評価します。

 

左移動ー右挙上の場合ですと右の側屈。右移動ー右挙上の場合ですと、左股関節外転ー右股関節内転が共通要素というふうになってまいります。このスライドにありますように、矢状面と同様に赤く太い線の部位が短縮した部位です。

立ての組み合わせですと股関節。上の二つの組み合わせですと、腰椎の左側が短縮している部位ということを示しています。前額面の評価は、左右寛骨の挙上および骨盤の左右の移動を評価します。この場合、足の幅が問題となります。まず足が開いていますと左右に骨盤を移動した場合、移動した側の寛骨が高くなります。

 

しかし足を閉じますと、移動した寛骨側が下がってまいります。この影響を取り除くために、股関節の幅と足関節の幅がほぼ同程度になる位置に立っていただきます。この位置で骨盤の左右挙上および骨盤の左右移動を評価します。

 

骨盤の左右移動につきましては、正中線に対して骨盤が右左どちらに移動しているかを評価します。頭部ー骨盤ー足部の中央線に対して、骨盤が右にあるかあるいは左にあるかを評価します。後方からも同様に、左右の移動、挙上を評価します。矢状面と前額面の評価を合わせますと、骨盤の前傾ー後傾、左右挙上の状態が評価することができます。

水平面での姿勢評価

次に水平面の評価を行います。水平面の評価で重要なのは、前額面での逸脱は水平面に、矢状面での逸脱も水平面に影響いたしますので、それも加味して評価するということが重要になります。まず立位姿勢で後方に周り寛骨のどちらが前方にあるかどちらが後方になるかということを評価します。この際に足部の位置が左右同じ位置にあることを確かめてから評価してください。次にここから重心の上下移動、すなわちスクワット動作を評価します。

 

スクワットをする際に、寛骨をどちらが前にどちらを後ろに持ってくるかスクワットの最中の骨盤の挙動について評価します。「それではスクワットしてください」スクワットをし始めた時には少し左が後方に行きますが、その後に右側が後方にくるのが分かります。

この方の場合は、足関節の背屈制限が右側で特に顕著なため、しゃがんで行くにしたがって右側の足関節背屈制限が右骨盤を後方に移動させることとなっています。スクワット動作の動作分析をします。スクワット中の骨盤の回旋を主に評価しますが、これは前額面、矢状面の評価と合わせて行います。例えば先ほどを行いましたように、骨盤を回旋する場合は、回旋側の骨盤後傾、反対側の前傾というものが同時に起こるため、スクワットをする最中に骨盤右側が後方に移動したままスクワットをする方の場合その位置での骨盤は、右側後傾位、左側前傾となります。スクワットの途中で、骨盤どちら側が後方に来るかに特に着目します。

 

また、同時に骨盤の位置と、膝蓋骨の前後関係も観察します。この方の場合、膝蓋骨が途中から右側が後方に移動するのがわかります。後方に移動する側の寛骨は後傾。前方に移動する寛骨は前傾位となりますので、股関節、腰椎の姿位を合わせて考えることができます。身体重心の上下移動の評価は、様々な評価の集合された評価ということもできます。

姿勢評価からみた動作分析

前額面、矢状面の評価と合わせてこの評価を行うことによって、最も動いている場所、最も動いていない場所といったもの合わせて評価することが可能になります。先ほどの短縮部位をふまえたまま、骨盤の前方移動、後方移動の運動を行ってもらいます。骨盤前方移動は、腰椎伸展ー股関節伸展、骨盤後方移動は、腰椎屈曲ー股関節屈曲の組み合わせですので、先ほど短縮部位と判定したされた部位が伸ばされるような動きをする際に他の部位の代償運動が生じているかどうかについて評価をします。

 

例えば前方移動の場合、前傾が強くなるということであれば腰椎側。前方移動の際に骨盤の後傾が強くなるということやれば、股関節側の短縮が考えられます。逆に後方移動の場合に、骨盤が前傾するのであれば腰椎側。骨盤が後傾するのであれば、股関節側に短縮部位があるということがわかります。

これは左右の運動についても同様です。姿勢の際に評価された短縮部位が、骨盤左右運動の時にどのように動くかそしてその運動が、他の部位にどのように代償運動を生むのかについて評価します。骨盤左移動の際に骨盤の右側が挙上したまま左に移動するのであれば、腰椎の右側の短縮が考えられます。左に移動する際に骨盤の左側が挙上するような場面であれば、左股関節内転ー右股関節外転の短縮ということが考えられます。

骨盤が前方及び後方に移動する場合、骨盤の前傾角度も変化しますが、その骨盤の前傾角度の変化について評価をします。骨盤が前方に移動する運動は腰椎伸展ー股関節伸展の運動になりますので、前方に移動した際に骨盤の前傾角度が大きくなる場合には、その前方移動が主に腰椎の伸展で起きたことを示します。

 

骨盤が後傾して前方を移動する際には、主に腰椎ではなく股関節の伸展で骨盤が前方移動したことを示します。次に骨盤が後方移動する場合、骨盤が後方移動する運動は腰椎屈曲ー股関節屈曲の組み合わせ運動ですので、骨盤の前傾角度が大きくなる場合には、主に股関節屈曲でその運動が生じたことを示し骨盤が後傾しながら後方移動する場合、主にその運動が腰椎で起こったことを示します。

 

これを自然な運動の中で、被験者に前方・後方に移動してもらいその際の骨盤の前傾角度の変化から、主に前方移動、主に後方移動がどこの部分で起きているかについて評価を致します。続きまして骨盤の左右の移動について評価します。先ほどの足の幅で立って頂きまして、骨盤を左に移動します。骨盤を左に移動した運動は腰椎の右側屈ー左股関節内転ー右股関節外転の組み合わせとなりますので、その運動が主にどちらで起きているかを骨盤の挙上角度の変化から観察します。

 

今度は右に移動します。右に移動した際は、腰椎の左側屈ー左股関節外転ー右股関節内転の組み合わせとなりますので、同じように骨盤の左右の挙上角度の変化からその運動が主にどこで起きたかを評価します。

参考:姿勢・運動の観察~身体重心の見方とその評価方法~(セラピスTV)

【目次】

チャプター1:瞬間中心の見方と評価
チャプター2:姿勢の見方と評価
チャプター3:身体重心の見方と評価
チャプター4:全身運動の観察方法
チャプター5:三次元動作解析システム(VICON)での身体重心の観察

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姿勢・運動の観察~身体重心の見方とその評価方法~

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