頸椎の椎間関節症,頸椎症性神経根症
ジャクソンテスト(Jackson Test): 座位で検査者が患者の頭を側方に曲げ、頸椎を圧迫します。痛みが増加する場合、頸椎症性神経根症の可能性があります。
スパーリングテスト(Spurling Test): 座位で検査者が患者の頭を側方に曲げ、軽く圧迫します。痛みが増加する場合、頸椎症性神経根症の可能性があります。
肩引き下げテスト(Shoulder Depression Test): 座位で検査者が患者の肩を下に引き、頭を反対側に曲げます。痛みが増加する場合、頸椎症性神経根症の可能性があります。
イートンテスト(Eaton Test):座位で検査者が頸部を健側に側屈させる。側屈した側の逆の手関節を握り、後下外方へ引く。患側上肢,特に手指に放散痛がある場合、頸椎症性神経根症の可能性があります。
胸郭出口症候群
アドソンテスト(Adson Test): 座位で検査者が患者の脈を確認しながら、患者の頭を後ろに傾け、深呼吸させます。脈が減少する場合、胸郭出口症候群の可能性があります。
モーリーテスト(Morley Test): 患側の鎖骨上窩で腕神経叢を圧迫します。上肢や胸のあたりにしびれや痛みが生じたら、陽性です。胸郭出口症候群が疑われます。
エデンテスト(Eden Test): 被験者は胸をはります。その後、被検査者の両腕を後ろ下に引っ張ることにより行います。この際、橈骨動脈の脈拍が減弱ないし消失した場合には、陽性となります。鎖骨と第一肋骨との間には、腕神経叢と鎖骨下動脈が通っていますが、エデンテストが陽性の場合には、肋鎖症候群が疑われます。
ライトテスト(Wright Test): 座位で検査者が患者の脈を確認しながら、患者の腕を上に挙げます。脈が減少する場合、胸郭出口症候群の可能性があります。
ルーステスト(Roos Test): 座位で検査者が患者の腕を90度に曲げ、開閉させます。痛みや痺れがある場合、胸郭出口症候群の可能性があります。
椎骨脳底動脈循環不全
椎骨動脈テスト(Vertebral Artery Test): 背臥位で検査者が患者の頭を後ろに傾け、側方に回転させます。めまいや視覚障害がある場合、椎骨脳底動脈循環不全の可能性があります。
頸椎脱臼・亜脱臼
環椎横靱帯ストレステスト(Transverse Ligament Stress Test): 背臥位で検査者が患者の頭を前に押します。痛みや痺れがある場合、環椎横靱帯の損傷の可能性があります。
翼状靱帯ストレステスト(Alar Ligament Stress Test): 背臥位で検査者が患者の頭を側方に回転させます。痛みや痺れがある場合、翼状靱帯の損傷の可能性があります。
胸椎椎体骨折
ソート・ホールテスト(Soto-Hall Test): 背臥位で検査者が患者の頭を持ち上げます。胸部に痛みがある場合、胸椎椎体骨折の可能性があります。
胸部の神経根障害
ビーバー徴候(Beevor Sign): 背臥位で検査者が患者に上体を起こさせます。臍が上に移動する場合、胸部の神経根障害の可能性があります。
腰椎椎体骨折,腰椎挫傷・捻挫
腰椎の棘突起叩打テスト(Spinal Percussion Test): 検査者が患者の腰椎の棘突起を叩きます。痛みがある場合、腰椎椎体骨折や腰椎挫傷・捻挫の可能性があります。
椎間関節損傷,腰椎椎体骨折,腰椎椎間板ヘルニア,腰部脊柱 管狭窄症
ケンプテスト(Kemp Test): 座位または立位で検査者が患者の肩を押しながら、患者の体を後ろに曲げます。痛みがある場合、椎間関節損傷や腰椎椎体骨折、腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症の可能性があります。
腰椎椎間板ヘルニア,腰部脊柱管狭窄症
下肢伸展挙上テスト/SLR テスト(Straight Leg Raising Test): 背臥位で検査者が患者の脚を直線に伸ばしながら持ち上げます。痛みがある場合、腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症の可能性があります。
ブラガード徴候(Bragard Sign): SLRテストの後、検査者が患者の脚を少し下げ、足首を曲げます。痛みがある場合、腰椎椎間板ヘルニアの可能性があります。
ラセーグ徴候(Lasegue sign): SLRテストと同様のテストで、痛みがある場合、腰椎椎間板ヘルニアの可能性があります。
ボウストリング徴候(Bowstring Sign): SLRテストの後、検査者が患者の膝の裏側を圧迫します。痛みがある場合、腰椎椎間板ヘルニアの可能性があります。
フリップテスト(Flip Test): 椅子座位で行うSLRテスト。この状態で坐骨神経症状が出れば陽性。出なければ詐病を疑う。
フーバーテスト(Hoover Test):通常SLR時に、非検査側下肢(検査者の手を踵に置く)は床を押す力が働く。これを利用して、神経症状によりSLRが困難な患者がいた場合、検査側SLR時に非検査側下肢の床への押し付けがなければ詐病を疑う。
大腿神経根障害(腰椎椎間板ヘルニア)
大腿神経伸展テスト/FNS テスト(Femoral Nerve Stretching Test): 患者が腹臥位で・側臥位で検査者が患者の膝を曲げます。痛みがある場合、大腿神経根障害の可能性があります。
下肢の動脈循環障害
バージャーテスト(Buerger Test): 背臥位で検査者が患者の脚を持ち上げ、白くなるまで圧迫します。その後、患者の脚を下ろし、再び血流が戻るのを観察します。遅延がある場合、下肢の動脈循環障害の可能性があります。
仙腸関節捻挫,仙腸関節障害
ゲンスレンテスト(Gaenslen Test): 背臥位で検査者が患者の片方の膝を胸に押し付け、もう一方の脚を下に引きます。痛みがある場合、仙腸関節捻挫や仙腸関節障害の可能性があります。
骨盤不安定性テスト(Pelvic Rock Test):背臥位で検査者が患者の骨盤を両手で押します。痛みがある場合、骨盤の不安定性の可能性があります。
【目次】
参考文献
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