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現代社会において筋骨格系障害(Musculoskeletal Disorders: MSDs)は労働者の健康と生産性に深刻な影響を与えています。療法士として患者に接する際、その職業背景を理解することは効果的な治療戦略を立てる上で極めて重要です。本記事では、最新のシステマティックレビューとメタアナリシスの知見を基に、10職種4分野における筋骨格系障害の実態をまとめ、臨床現場で活用できる職業別アプローチを提案します。
職業別筋骨格系障害の全体像
近年、職業性筋骨格系障害(WMSDs)に関するシステマティックレビューやメタアナリシスが蓄積され、特定職種における有病率や好発部位が明らかになっています。これらの結果から、職業環境と筋骨格系障害の発症には明確な関連があることが示されています【1–10】。
比較的高い有病率が報告されている職種として、看護師【1】、超音波検査技師【3】、農業従事者【8】、建設作業員【9】などが挙げられます。これらは全身または主要部位の有病率が複数の研究で高値を示したものであり、教師【10】やタクシー運転手【6】など、他にも高い有病率が報告されている職種があります。これらの職種では、重量物取り扱いや長時間の不良姿勢、反復動作、振動曝露など、複数のリスク要因が重なっています。一方、座位作業中心の職種では、全身のMSD有病率が比較的低いと報告される研究もありますが、職種や評価方法により数値の幅が大きく、一概には低いとはいえません。上肢や頸部症状は依然として高頻度に報告されています。
注意:以下の有病率は、すべて同一条件で計測されたものではありません。研究ごとに対象集団(国・地域・職種経験年数等)、計測フレーム(12か月有病率/時点有病率)、および対象部位(全身/部位別)が異なります。 そのため、職種間で数値を直接比較して順位づけすることはできません。本表は、システマティックレビュー/メタアナリシスに基づき、比較的高い有病率が報告されている職種の例を提示するものです。
医療・ヘルスケア分野(SR/MA厳選)
職種 | 有病率(測定枠) | 主要な障害部位(プール推定) | 特徴的なリスク要因(SR/MA記載) | 文献 |
---|---|---|---|---|
看護師 | 全MSD(12か月)77.2%(95%CI 72.5–81.9) | 腰59.5%、頸53.0%、肩46.8% | 患者取扱い、長時間立位・前傾、部署特性 | [1] |
理学療法士
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