令和7年度4~5月のリハビリテーション医療費(入院外)は、前年同月比+4.5%(4月)、+4.6%(5月)と高水準を継続。全体医療費の伸び率(+3.4~3.6%)を上回り、6か月連続でプラス乖離を維持しています。特に 85歳以上の高齢層における需要が安定的に増加しており、地域リハ体制の強化が課題となっています。
医療費全体の動向とリハビリテーション料の位置づけ
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概算医療費(4月):約4.0兆円(前年同月比+3.4%)
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概算医療費(5月):約3.9兆円(同+3.6%)
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リハビリテーション料(入院外):+4.5%(4月)、+4.6%(5月)
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全体医療費との差は+1.0pt前後を維持
リハビリテーション料と全体医療費の月次推移比較
| 月 | リハ料伸び率 | 全体医療費伸び率 | 差 |
|---|---|---|---|
| 11月 | +7.2% | +2.2% | +5.0pt |
| 12月 | +5.4% | +3.3% | +2.1pt |
| 1月 | +4.8% | +3.8% | +1.0pt |
| 2月 | +4.2% | +3.5% | +0.7pt |
| 3月 | +4.7% | +3.5% | +1.2pt |
| 4月 | +4.5% | +3.4% | +1.1pt |
| 5月 | +4.6% | +3.6% | +1.0pt |
年齢層別:85歳以上での安定成長
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85~90歳層:+4.5%前後で推移
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90歳以上:+4.3~4.4%で高止まり
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75歳未満:ほぼ横ばい、または微減
高齢層を中心に伸びが持続しており、生活期リハ・在宅リハの需要が定常化していることが読み取れます。
疾病別動向:運動器リハ需要の持続
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筋骨格系疾患(入院外):+3.2%(4月)、+3.5%(5月)
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損傷・中毒・外因(入院外):+3.8%(4月)、+4.1%(5月)
冬季の骨折・転倒の影響が徐々に落ち着きつつも、依然として運動器リハが堅調に推移。
医療機関別動向:整形外科診療所が牽引
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整形外科診療所:+3.9%(4月)、+4.0%(5月)
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医科診療所全体:+2.7%(4月)、+2.9%(5月)
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医科病院:+3.2%(4月)、+3.3%(5月)
整形外科診療所が安定成長を牽引し、地域リハの前線としての役割を継続しています。
戦略的示唆と展望(PT・OT・ST/経営者向け)
※以下は厚生労働省「最近の医療費の動向(MEDIAS)」に直接記載されたものではなく、公開データを基にした分析・提言です。
◆ リハ職種への示唆
- 超高齢者・在宅対応の強化
→ 90歳以上のリハ需要は今後も継続見込み - 整形外科疾患・損傷への外来支援拡充
→ 骨折・転倒リスクに応じた運動療法プログラム開発を - 生活期リハの質的充実
→ QOL改善・ADL維持を軸にした目標設計が重要
◆ 医療機関経営者への提言
- 訪問・通所リハ体制の投資強化
- 整形外科とリハ部門の連携戦略
- 90歳以上患者向けパス構築とデータ整備
出典
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前月までの確定データ(令和6年11月~令和7年3月)
【合わせて読む】
・令和7年度4~5月「最近の医療費の動向(MEDIAS)」
医療・リハビリ分野の報道・編集に携わり、医療メディアの創業を経て、これまでに数百人の医療従事者へのインタビューや記事執筆を行う。厚生労働省の検討会や政策資料を継続的に分析し、医療制度の変化を現場目線でわかりやすく伝える記事を多数制作。
近年は療法士専門の人材紹介・キャリア支援事業を立ち上げ、臨床現場で働く療法士の悩みや課題にも直接向き合いながら、政策・報道・現場支援の三方向から医療・リハビリ業界の発展に取り組んでいる。







