厚生労働省が公表した「最近の医療費の動向(MEDIAS)」令和7年度7月号(電算処理分)のデータによると、リハビリテーション関連医療費(以下、リハビリテーション料)は前年同月比で+5.0%の伸びとなりました。
同月の医科医療費総数は+1.3%と前月(+3.8%)に比べ伸び率が縮小しましたが、リハビリテーション料は依然として全体を大きく上回る推移を見せています。
医療費全体の動向(7月)
電算処理分データに基づく、令和7年7月の医科医療費全体の対前年同月比は以下の通りです。
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医科医療費総数:+1.3%
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6月の+3.8%から、伸び幅は2.5ポイント縮小しました。
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診療種別:入院外:+0.2%
入院外(外来)医療費が前年同月比でほぼ横ばい(+0.2%)となったことが、全体の伸び率に影響しています。
リハビリテーション料の動向
診療内容別 医科医療費(表Ⅵ-1)より算出した、リハビリテーション料の対前年同月比です。
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診療内容別リハビリテーション料:+5.0%
【集計データ詳細】
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令和6年7月:1,081.1億円
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令和7年7月:1,135.1億円
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変動率:約+5.0%
全体医療費(+1.3%)との差は+3.7ポイントとなり、リハビリテーション料が医療費全体の中でも高い伸び率を示している状況です。
リハビリテーションに関連する疾患分類の動向
入院外医療費(疾病分類別・表Ⅴ-3-1)において、リハビリテーション処方との関連性が高い疾患群は、入院外全体の伸び(+0.2%)を大きく上回って推移しています。
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筋骨格系及び結合組織の疾患:+2.5%
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損傷、中毒及びその他の外因:+3.2%
(参考)医科入院外総数:+0.2%
「医科入院外総数」が+0.2%と低調な中で、運動器リハビリテーションの主な対象となる「筋骨格系」および「損傷・中毒」の項目は、いずれも+2%〜+3%台の伸びを維持しています。
リハビリテーション料の月次推移(直近9ヶ月)
過去のMEDIASデータと合わせた、リハビリテーション料(診療内容別)の伸び率推移です。
リハビリテーション料と全体医療費の月次推移比較
| 月 | リハ料伸び率 | 全体医療費伸び率 | 差 |
|---|---|---|---|
| 11月 | +7.2% | +2.2% | +5.0pt |
| 12月 | +5.4% | +3.3% | +2.1pt |
| 1月 | +4.8% | +3.8% | +1.0pt |
| 2月 | +4.2% | +3.5% | +0.7pt |
| 3月 | +4.7% | +3.5% | +1.2pt |
| 4月 | +4.5% | +3.4% | +1.1pt |
| 5月 | +4.6% | +3.6% | +1.0pt |
| 6月 | +6.4% | +3.8% | +2.6pt |
| 7月(今回) | +5.0% | +1.3% | +3.7pt |
直近9ヶ月間において、リハビリテーション料の伸び率は常に全体医療費の伸び率を上回って推移しています。特に7月は全体医療費の伸びが1%台に留まる中、リハビリテーション料との乖離幅(+3.7ポイント)が直近半年で最大となりました。
まとめ
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リハビリテーション料:前年同月比+5.0%と、直近の傾向(+4〜6%台)を維持しています。
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入院外の動向:入院外全体の伸び率が+0.2%まで低下した一方、運動器疾患に関連する分類(筋骨格系、損傷・中毒)は+2.5%〜+3.2%で推移しており、相対的に高い水準を保っています。
出典
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厚生労働省「最近の医療費の動向(MEDIAS)」令和7年度7月版および過去公表分
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【表Ⅵ-1】 医療費(診療内容別)
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【表Ⅴ-3-1】 入院外 医療費(疾病分類別)
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【合わせて読む】
・令和7年度7月「最近の医療費の動向(MEDIAS)」
理学療法士としての現場経験を経て、医療・リハビリ分野の報道・編集に携わり、医療メディアを創業。これまでに数百人の医療従事者へのインタビューや記事執筆を行う。厚生労働省の検討会や政策資料を継続的に分析し、医療制度の変化を現場目線でわかりやすく伝える記事を多数制作。
近年は療法士専門の人材紹介・キャリア支援事業を立ち上げ、臨床現場で働く療法士の悩みや課題にも直接向き合いながら、政策・報道・現場支援の三方向から医療・リハビリ業界の発展に取り組んでいる。







