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VRリハビリ、結局どう使えばいい?──39研究が教える"選び方"と"限界"

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VRリハビリ、何を選べばいいのか?

「VRを使ったリハビリをやってみたい」。そう思って機器を調べ始めると、選択肢の多さに圧倒されます。Wii Fitのバランスゲーム、ボクシングやテニスのエクサゲーム、没入型ヘッドセットを使ったサイクリング、カヌーパドリング…。どれを選べば、目の前の患者さんに効果があるのでしょうか。

2026年に発表されたCalabròらのシステマティックレビューは、まさにこの問いに答えようとしたものです(1)。神経疾患患者を対象とした「スポーツシミュレーションVR」の研究39本を集め、何が効いて、何が効かないのかを整理しました。そこから浮かび上がったのは、極めてシンプルな原則でした。

「VRで何を訓練するかが、何が改善するかを決める」

当たり前のように聞こえますが、これが意外と見落とされています。たとえば、体幹の安定性を改善したいのにテニスゲームを選んでも、あまり効果は期待できません。逆に、手指の巧緻性を上げたいのにバランスボードゲームをやっても的外れです。VRコンテンツと治療目標のマッチングこそが、成否を分けるのです。

具体例を見てみましょう。亜急性期の脳卒中患者を対象としたRCTでは、カヌーのパドリングを模したVR訓練を通常ケアに追加した群で、座位での前方・側方リーチが伸び、閉眼時の重心動揺が有意に減少しました(1,2)。一方、手指の細かい動き(巧緻性)には差がなかった。なぜでしょうか。パドリングという動作が、体幹と肩・肘の協調を主に使う運動だからです。手先を細かく動かす要素がそもそも少ないので、巧緻性が改善しないのは当然といえば当然です。

脳性麻痺の子どもを対象とした研究でも同じパターンが見られます。Wii Fitのスキーやサッカーヘディングなど「バランスボード系」のゲームを継続した群は、立ち上がり動作、歩行速度、階段昇降などで大きな改善を示しました(1,3)。一方、ボクシングやテニスなど「打撃系」のゲームを使った別の研究では、把持機能(ものを握る力)は改善したものの、移動能力への効果は限定的でした(1,4)。つまり、重心移動を繰り返すゲームはバランスを、腕を振る動作を繰り返すゲームは上肢機能を、それぞれ「訓練した通りに」改善させたのです。

この「タスク特異性」の原則を踏まえると、VRコンテンツ選択の指針が見えてきます。体幹制御や座位バランスを改善したいならパドリング系。立位バランスや短距離の移動能力ならバランスボード系。上肢の巧緻性や反応速度なら打撃・ハンドトラッキング系。漫然と「VRは楽しいから」で選ぶのではなく、治療目標から逆算してコンテンツを決める。これがレビューが示す第一のメッセージです。

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パドリング系カヌー・カヤック・ローイング

体幹制御・座位バランス向け

体幹と上肢近位部(肩・肘)を連動させる動作。座位姿勢の安定性を高めたい患者に。

期待できる効果:座位リーチ距離↑、重心動揺↓、肩・肘の協調性↑

期待しにくい効果:手指の巧緻性、歩行速度

エビデンス:脳卒中で効果報告あり(1,2)

バランスボード系スキー・サッカー・ヨガ

立位バランス・移動能力向け

重心移動を繰り返すゲーム。Wii Fitが代表格。立位での安定性や短距離歩行を改善したい場合に。

期待できる効果:Berg Balance Scale↑、TUG↓、10m歩行↑

期待しにくい効果:上肢機能、持久的歩行

エビデンス:脳性麻痺・多発性硬化症で効果報告あり(1,3,5,6)

打撃・ハンドトラッキング系ボクシング・テニス・卓球

上肢機能・反応速度向け

腕を振る、叩く、打ち返す動作。巧緻性や素早い反応を訓練したい場合に。

期待できる効果:把持機能↑、反応時間↓、上肢協調性↑

期待しにくい効果:体幹制御、歩行・移動能力

エビデンス:脳性麻痺で把持改善の報告あり(1,4)

「運動」として成り立つのか?

VRリハビリに対して、もう一つよく聞かれる疑問があります。「ゲームで遊んでいるだけで、本当に"運動"になっているのか?」。特に心血管リスクが高い脊髄損傷患者や、運動習慣をつけたい患者に対して、VRが有酸素運動の代わりになるのかは切実な問題です。

VRリハビリ、結局どう使えばいい?──39研究が教える"選び方"と"限界"

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