我々の業界には、就活の暗黙ルールがあります。そのルールとはズバリ、
「1つ面接を受けたら、合否が出るまで次を受けられない」
リハ職であれば、当たり前のように感じるこのルールですが、一般的にみて“当たり前”ではありません。通常、就活ないし転職においても複数の企業を同時に面接し、いくつか合否が出た場合にはその中から1つ選択します。その他の企業には“内定辞退”を伝えます。
つまり、内定が出たからといって、必ずそこに就職しなければならないわけではありません。面接を受け、内定通知書に書かれている条件から判断し、決定する権利が求職者にあります。
思い起こしてみれば、私自身も就活の際に一箇所だけ受け、内定をもらったのでそのまま就職しました。おそらくクラスの中で“内定辞退”を行った者もいなかったかと思います。
このワケを考えていくと、前々回ご紹介したデータから一つの仮説を立てることができます。
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引用:医療・介護分野における職業紹介事業 に関するアンケート調査
上記データは、医療・介護分野における採用経路別採用人数の割合を示したものです。ここで注目していただきたいのは、「リハ専門職」の「学校等(大学、看護学校、専門学校等)」の採用割合です。
医療分野では51.5%、介護分野では17.0%と他職種に比べ倍以上の割合となっています。つまり、リハ職の就職・転職のほとんどは母校が斡旋している、または担当教員の紹介が主な経路であるということです。
ここからは、仮説を超えたほぼ想像に近い話なので、壮大な私見としてご覧ください。
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顔に泥を塗る
日本で古くから使われる慣用句に「顔に泥を塗る」というものがあります。これは、「面目を失わせる。恥をかかせる」の意味で、主語には自分以外の第三者が置かれます。
先ほどのデータから考えると、“内定辞退”の文化がないリハ業界の根底には「顔に泥を塗れない」原因があると考えています。就職、転職の大きな経路として学校からの紹介、ないし教員からの紹介があるということは「教員の顔に泥を塗る」「恩師の顔に泥を塗る」行為となり、“内定辞退”できない状況にあるのではないかと思っています。
もちろんこれは良い悪いの話ではなく、暗黙のルールの構造をバラしていくと、ここに行き着くという話です。
では、もう少し踏み込んで考えてみます。例えば、みなさんが企業の人事担当だとします。「いい人材をなるべく安く獲得せよ」というミッションはどこの企業にもあると思いますが、このミッションを達成するためにどんな手を使うでしょうか?
1,全国の学校説明会に出向く(=出張費)
2,企業のSNSを充実させて自己応募を増やす(=広告・宣伝費)
3,人材紹介会社を使う(=委託費)
おそらく主な方法が、上記となるでしょう。更にここで、私ならどうするか。きっと、新卒で良い子を大量に獲得する方が、人件費ともにコスト削減が可能なので、「学校の先生に“直接お願い”をする」ことでしょう。
これはリハ業界に限った話ではなく、きっとよくある話だと思います。当然’、“お願い”の方法には様々なカタチが存在することでしょう。
複数社の見学・面接はやった方が良い
結論からいうと、暗黙のルールとして残る「1人1社制度」は紹介してくれた人の顔を立てるという点では大事ですが、自分の未来を考えた時には足かせとなる場合があります。
そもそも、企業も皆さんも選ぶ権利が同様にあります。もちろん社会の大きな流れとして、売り手市場(求職者優位)、買い手市場(企業優位)という状況はあります。
ただし、この流れに左右されるのは“普遍的なもの”つまり、資格などが当てはまりますが、個人の能力は別です。転職には、資格以外の別の何かをもって取り組むことで、選ぶことが可能になるでしょう。
まとめ
今回は、リハ業界に残る暗黙ルール「1つ面接を受けたら合否が出るまで次を受けられない」理由について考えてみました。嘘か誠か、仮説として就活時代の学校紹介が影響を与えているのではないかと考えました。
学校紹介の求人であれば安心感は強いと思いますが、それによって選択肢の幅が狭くなることも考えなければなりません。全ての選択は自分次第ですが、よく考えた上で転職活動を行いましょう。
参考資料
https://www.mhlw.go.jp/content/11650000/000579094.pdf
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