前回、平成30年、31年の年収をまとめさせていただきました。非常に反響をいただきましたので、データが揃う(職種別民間給与実態調査)15年分の年齢別年収をまとめてみました。
今回取り扱ったデータは、月額の総支給額(手当等含む)から賞与(4ヶ月分で算出)を加え、おおよその手取り額(総支給の8割)にて年収を算出しました。
前回の2年分では、年代別にみても資格別(PT、OT)にみても減少しているのか、増加しているのか定かではありませんでした。そこで今回15年分の年収推移を算出し、グラフに起こしてみると面白い傾向がみてとれました。
まずはそのグラフをご覧ください。
15年間の年収推移
理学療法士の年収
作業療法士の年収
上記グラフをみてみると、30代後半になると年収の減少傾向がみてとれます。しかし一方で、それよりも前の年代では15年間で大きな変化はありません。これは年代別の年収であるため、平均年齢33歳の人口や地域差、所属分野によって変動があることは否めません。
しかし、上記データだけみてわかることは経験年数として(3年または4年生学校で現役合格した人と過程)12-3年で大きく変化していることがわかります。
ただこれでは、全体として年収が下がったのか、上がったのかはわかりません。そこで、全年代の平均年収から15年間の推移をみてみたいと思います。
全年代平均年収の15年間推移
理学療法士の年収
作業療法士の年収
上図は全年代年収を平均したものを、15年間の推移で表したものです。このようにみると年収は減少傾向であることがわかります。今更感はありますが、確かに年収は減少傾向であると言わざるを得ません。
ただし、10年目以降で差が出やすい傾向があり、全体としては下がっているけど、初任給等は特に変わっていないと言えます。つまり、分断が生まれる年代は10年目以降であり、この年代に到達するまでの過ごし方が影響するのではないかという仮説が立てられます。
年収の中で何が下がったの?
これまで15年間の年収を全年代で平均すると減少傾向であることがわかりました。ではこの金額、一体何が下がったのでしょうか?そこで、職種別民間給与実態調査から「手当」の部分のみ抜粋しました。
理学療法士の手当
作業療法士の手当
*職種別民間給与実態調査より、手当は「きまって支給する給与に含まれ、超過勤務手当、休日手当、宿日直手当、裁量手当等の時間外手当」をいう。
上記データでは、決まって支給する手当ほか、「交通費などの手当」という項目がありました。しかし、平成16年のデータでは「役付手当」という項目で、平成17年より「交通費などの手当」という項目が加わったので、今回は除外しました。
データをグラフ化してみてみると、特に下がっている、上がっている等のデータは読み取れないかなと思います。となると、年収に変化がある要素としては“基本給”になります。
ただし、特別な理由がない限り基本給を減額することは難しいため、考えられるのは“昇給”ではないかと考えます。これに関しては、データがないので仮説とまでしかいえませんが、この15年で変わったこととすると昇給額の減額が考えられると思います。
昇給は通常、基本給に加えられるものですから、賞与金額に直結します。昇給額の割合が減れば、当然全体的な年収は下がると考えられます。
まとめ
今回の調査は、「職種別民間給与実態調査」による「職種別、年齢階層別平均支給額」にある「決まって支給する給与」から手取り年収を算出しました。
これだけで、15年間で年収は下がっていると断定することは出来ないと思いますが、傾向としては掴めたかと思います。またその中でも、10年目以上の年収において差が広がりやすい傾向がみられました。
以前、POSTで行なったアンケート(PTOTSTの転職意識度調査結果)でもわかった通り、転職に関して“収入”という要素は非常に大きなウェイトをしめています。
都市伝説のように「年収が下がっている」という噂話が囁かれている中で、15年分のデータをまとめてみました。このグラフから読み取れることは、各自あるかと思いますので、皆さんの転職活動また職場でのポジションなど、参考にしていただければと思います。
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https://1post.jp/lp/job_02?ref=5726
参考
https://www.jinji.go.jp/toukei/0311_minkankyuuyo/0311_ichiran.html
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