前回、前々回と15年分の職種別民間給与実態調査を元に、「理学療法士（PT）、作業療法士（OT）の年収は15年間で上がった？下がった？」についてデータをみていきました。前回の結論としては、15年間で年収は下がっていると断定することは出来ませんが、傾向として“10年目以上の年収において差が広がりやすい傾向”がみられました。
これはPT、OTともに同じ現象があり、“30代後半になると年収の減少傾向”がみてとれました。続いて、その理由について調査した結果、暫定的にですが手当を調べることとしました。結果、手当（様々な種類がありますが役職手当等も込みで算出）での減少傾向は確認できませんでした。
上記の調査は、手取り年収に対して独自の計算（４ヶ月分の賞与）でボーナスを加えた金額を算出したことから、手取りとの関係は薄いとすると、そのほかに考えられることとして“基本給の減少”が考えられるとしました。
つまり、毎年の“昇給額（昇給とは基本給の金額が上がるものをいいます詳しくはこちらの記事をご覧ください）”にポイントがあると思い、今回は15年分の職種別民間給与実態調査を元に、年代別年収のMAX、MIN、RANGE、AVERAGEを算出し、その後昇給率を算出しました。
まずは、年代別MAX、MIN、RANGE、AVERAGEから確認していきましょう。
理学療法士、作業療法士の年収頭打ちは40代後半に始まる
理学療法士の場合
以下は、PTの15年分年収傾向です。ここから、MAX、MIN、RANGE、AVERAGEを算出すると、AVERAGE（黄線）において年収の上昇がプラトーになる金額が500ー600万円ほどであることがわかります。
一方で、RANGEを確認すると、40代後半差が開くことが確認できます。つまり、年収差がもっとも多い年代がココです。よく言う二極化の表面化は、この年代からと言うことになるでしょう。
そして非常に興味深いグラフがこちらです。上記データを元に昇給率を算出しました。これによると、当然ではありますが二極化が表面化する40代後半から急激に昇給率が下がることが確認できます。
作業療法士の場合
続いて、OTの場合を確認していきましょう。基本的な傾向は、PTOT共に変わりません。どちらかといえば、OTのデータにおいて上記でお伝えした、40代後半での年収頭打ちがより明確です。
ただし、RANGEにおいてはPTほど多くの差がみられません。
昇給率においても、PT同様に40代後半で昇給率がグッと減少する傾向となりました。
まとめ
年代別年収のMAX、MIN、RANGE、AVERAGE、昇給率は本来、各年ごとに算出したかったのですが、データ公開の許可がおりませんでした（おそらく、研究機関において研究目的であれば情報開示を有料で行ってくれます）。
きっと、この情報を整理するといつこの傾向が強まったのか、その年にあったこと（例えば診療報酬改定、国家試験受験者数など）などを踏まえると非常に興味深いデータが揃うのではないかと考えています。
今回なくなく、15年分の年齢別年収のMAX、MIN、RANGE、AVERAGE、昇給率を算出することとしました。今回のデータも結論を出すには早すぎますが、傾向としては以下の傾向が読み解けるかと思います。
・PTOTの年収上限は600万円以下
・40代後半から急激な昇給率の減少が起こる
・PTOTの頭打ち年収は40代後半に顕在化
上記３点がポイントとなると思います。あくまでも、年収ベースで考えた時の二極化が40代後半に起こるものであり、それより前から二極化の波は訪れていることと思います。ある意味では、40代後半に表在化されあたふたする前に、今から行動を改めることと考えることもできるかと思います。
逆にいうと、今地道に行っている活動は40代後半になってようやく身を結ぶものになるのかもしれません。
ちなみに、転職市場において最も求められる年代は20代後半から30代後半。その中でも、役職をもちマネジメント経験があると高く評価される傾向にあります。
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