失語症 構音障害 高次脳機能障害 のスクリーニングテスト “STAD”
ーーでは、荒木先生が開発された“STAD”について教えていただけますか?
荒木先生:これだっていうスクリーニングテストが日本にないのが現状で、初診のスクリーニングで何がいいのかが分からない人が多いのが現状です。それに、初診のスクリーニングってセラピストの全てが出るので悩んでいる人が多いと思います。
その悩みを解決する一つのツールがSTAD(Screening Test for Aphasia and Dysarthria)だと思います。
ーー他のスクリーニングとの違いは?
荒木先生:一般的にSTの初診の臨床では失語症、構音障害、その他の高次脳機能障害を把握することが大事だと言われています。STADはその三つを簡易に評価できます。
こうした網羅性があるスクリーニングが世界的にもなかったので、アメリカで発表した際にはとても評価していただけました。
ーーある程度大まかな道筋が立てられるということですね。
荒木先生:そうです。まずSTADでスクリーニングを行って、次の段階を考えるという流れが出来ると思います。
ある程度の全体像の把握が出来れば、次の段階の評価は日本でも歴史的に古くからありますので。初診からどういう流れで進めていくかという方針を立てやすくしてくれると思います。
ーースクリーニングテストについて海外では多く研究され、日本ではあまり研究されていないとのことですが?
荒木先生:日本では先行研究がほぼ発表されていない状態でした。一方、海外の論文を検索してみると多くのスクリーニングの論文がでてきたので、これだと思って国会図書館とか医学部の図書館とに通ってコピーしていました。
当時はインターネットが普及していなかったですし、海外に目を向けるとこんなに世界が広がっているんだというワクワク感がありました。薄暗い図書館でしたが、心はとても輝いていたと思います。
STADの今後
ーーSTADは多くの申し込み者や会員がいますが、今後のビジョンは?
荒木先生:今後は大阪、東京、福岡でセミナーをやる予定でしたが、熊本震災があって、セミナーをしている場合じゃないのかなって悩んでました。
そんな時に奇跡的な出会いがありまして、熊本のSTの先生が震災の翌々日に東京に来てセミナーを開催してくださいました。そのセミナーの後に少しお話して、「何かあれば協力しますよ」と言ってくださいました。そして、ふと思ったのが、今だからこそ熊本でセミナーを行った方が良いのではないかということです。
熊本の震災の影響でGWの観光客もいない状態だったそうです。だったら、私が熊本の大学を使わせていただこうと。しかも、みんなが来やすいように普段20000円以上するセミナーを3500円でさせてください。九州以外の方は熊本のお土産を爆買いしてください、と。
これが私なりの復興支援かなと思って。その先生の繋がりがあってそれが実現しつつあります。(インタビュー当時)
※2016年6月19日熊本セミナー開催の様子(120名を超える参加がありました!)
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