脊髄損傷の新たな治療法開発やリハビリの神経学的な基盤の解明に期待だ。
京都大学は2月8日、脊髄損傷後早期に脊髄内の神経細胞が運動機能回復に重要な役割を果たすことを明らかにしたと発表した。
脊髄損傷は完全損傷と不全損傷があり、多くは不全損傷である。
不全損傷は一部の神経経路は損傷を受けずに残り、この残された神経経路が、運動麻痺の回復に役立つのではないかと考えられてきたが、詳細は分かっていなかった。
脊髄損傷後早期に、運動機能の回復に重要な役割を果たす脊髄神経細胞を同定 -サル皮質脊髄路損傷後の手指巧緻性回復における脊髄固有ニューロンの寄与-
詳細を読む(引用元):京都大学
■今回の研究で、皮質脊髄路を損傷させてから手指の細かな運動がある程度回復した時に脊髄固有ニューロンを一時的に阻害したところ、手指の細かな運動は部分的に障害されましたがすぐに回復しました。次に、皮質脊髄路損傷を行う前から損傷後3–4か月半まで継続して阻害し続けたところ、手指の細かな運動は回復しかけた途中で止まってしまいました。
■これらの結果から、回復過程には少なくとも2段階があり、最初の段階に重要な役割を果たす脊髄固有ニューロンがうまく働かないと回復がよく進まなくな ることが分かりました。一方で、一旦回復が進むと、おそらく他のニューロン群 も回復に関わることになり、脊髄固有ニューロンの重要度は相対的に低下して しまうことがわかりました。
■伊佐正教授は「今回の研究で、これまで明らかになっていなかった脊髄損傷後回復過程の早期において重要な役割を果たす脊髄のニューロン群を特定することができました。脊髄損傷の新たな治療法の開発やリハビリテーションの神経 学的な基盤の解明につながる成果だと期待できます。」と話しています。
脊髄損傷後のリハビリテーションで悩む方も多いだろう。
私もそのうちの一人だ。
そんな方は、まずこの引用記事を一読してみよう。
新しい可能性を示した成果であり、リハビリテーションに関わる人は知っておくべき内容ではないだろうか。
研究発展に大きく期待するとともに、臨床にどう落としこむかはセラピストの仕事であることを再認識したい。
POST編集部 林 祐介
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