第2章:肥満症・メタボリックシンドローム【理学療法士|舘友基先生】

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「メタボリックシンドローム」

 

この言葉を皆さん一度は耳にした事があると思います。2006年の流行語にも選ばれてから世間で注目を集めました。略して「メタボ」と言う人も多いのではないでしょうか。

 

ただ皆さんメタボリックシンドロームはどのような病気を指しているかご存知でしょうか?

 

肥満症とメタボリックシンドロームの違いはわかりますか?

 

第2章では肥満症とメタボリックシンドロームについて説明していきます。

 

肥満症とメタボリックシンドロームは、どちらも肥満のために起こる病態ですが、大きく異なります。ここからは二つの病態を説明していきます。

 

肥満症と肥満の大きな違い

まずは肥満症についてです。そもそも肥満とは、「脂肪組織に脂肪が過剰に蓄積した状態で、BMI(Body mass index)≧25kg/m2」と定義されています*1

 

身長に対して体重が一定の割合を超えると肥満ということになります。(BMI22が標準体重)では肥満症はというと、「肥満に該当する状態(BMI≧25)のうち、肥満に関連し、減量をする健康障害を有する場合、もしくは内臓脂肪蓄積をみとめる場合」と定義されています*2

 

肥満との大きな違いは、肥満症は「医学的に減量が必要な状態」であり、「疾患に該当する」事が大きな違いであると言えます。

 

次にメタボリックシンドロームです。メタボリックシンドロームは「内臓脂肪の蓄積を必須条件として、高血糖、脂質代謝異常、血圧高値の3項目のうち2項目以上を満たすもの」と定義されています*3

 

内臓脂肪の蓄積を判断するスクリーニングとしてウエスト周径が男性85cm以上、女性90cm以上とされています。また、メタボリックシンドロームも肥満症と同様に疾患に該当します。

 

肥満症とメタボリックシンドロームの違い

 ここからは肥満症とメタボリックシンドロームの違いについて説明していきます。

 

「肥満症は肥満に伴う個々の健康障害を減量することによって改善させるための疾患であり、肥満に伴う多くの健康障害を念頭においていることから、より広く包括的な概念であることがわかります。

 

一方、メタボリックシンドロームは、内臓脂肪の蓄積によって生じる多重危険因子を内臓脂肪の減少によって一挙に改善させ、心血管疾患の発症を予防するための疾患概念であり、内臓脂肪が過剰蓄積している心血管疾患発症の高リスク群を絞り込んで選び出すものです*4

 

噛み砕いて説明すると、肥満症の健康への悪影響の中でも、動脈硬化に焦点を当てて、それを診断するのがメタボリックシンドロームということになります。また、メタボリックシンドロームは心血管疾患の発症リスクを増加させ、全死亡率も上昇させると言われています*5

 

肥満症やメタボリックシンドロームが理解できたところで、最後に「体重を減量する効果」について説明します。

 

肥満症者が体重1~3%の減量で中性脂肪、善玉コレステロール、悪玉コレステロール、HbA1c、肝機能について、3~5%の減量で収縮期・拡張期血圧、空腹時血糖について有意な改善を認める*6と報告されており、わずかな体重の減量でも体に良い影響を与える事がわかっています。

 

少しお腹周りが気になってきた方はこれを機に少し減量してみてはいかがでしょうか?

 

第3章では生活習慣病の代表的疾患の一つである糖尿病について説明していきます。

*1~6:日本肥満学会:肥満症診療ガイドライン2016,ライフサイエンス出版株式会社,2016

 

【目次】

第1章:誰もがかかり得る生活習慣病

第2章:肥満症・メタボリックシンドローム

第3章:糖尿病の三大合併症、"しめじ" 

第4章:生活習慣病に対する療法士の役割

 

舘友基先生 プロフィール

学歴

2011年:藤田保健衛生大学 医療科学部 リハビリテーション学科 理学療法専攻 卒業

職歴

2011年:医療法人松徳会 花の丘病院 リハビリテーション科 理学療法士

 現在、医療法人松徳会グループの「松本クリニック」にて勤務。併設されている通所リハビリテーション「ハッピースタジオ」にて個別リハビリや運営管理をしながら、糖尿病内科にて生活習慣病患者に対して運動指導を実施している。日本糖尿病療養指導士、生活習慣病改善指導士の資格を取得し、その知識を活かして糖尿病教室や運動教室、糖尿病に関する講話等を定期的に実施している。

資格

理学療法士

日本糖尿病療養指導士

生活習慣病改善指導士

執筆

舘友基:事例でわかる!実際の指導編:お悩み別 身体活動・運動量がアップする私の提案.糖尿病ケア,2016,vol.13 No.12:38-46

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