「膝が痛くなるから、正座はダメ。」「あぐらをかくと背骨が丸くなるから姿勢悪化の原因に。」
高齢者のリハビリに携わっている理学療法士・作業療法士の方なら、患者さんや利用者さんに対して、こんな生活指導をした人もいるかもしれません。
バイニーアプローチセンター代表の理学療法士 舟波真一先生は、正座や胡坐(あぐら)についてこう述べています。
■正座に関して
膝関節は多少の回旋要素はあるものの、多くは屈曲、伸展のシンプルな動きをする関節で、そこに多大な回旋ストレスが入ると痛みや変形を起こします。しかし、正座をしても回旋ストレスがかかる訳ではないので、大きな負担になることはありません。
変形性膝関節症の原因となるメカニカルストレスに関しては、数多くの研究があり様々言われてきていますが、他関節の回旋運動制限などから膝関節に回旋ストレスが生じ、変形が起きるケースは臨床で多く見られます。
■胡座(あぐら)に関して
確かに胡座をかくと、腰椎は後ろに反ってしてしまうため、長時間やり続けると腰痛を招きます。しかし、どんな姿勢であっても長時間やり続ければ体には負担になります。逆に、胡坐は股関節が大きく開くので、股関節を柔らかくするのによい姿勢といえます。
長時間同じ姿勢を取り続けることは、筋肉や靭帯、結合組織など身体の内面で不均衡が生じ負担が加わり、それは胡座(あぐら)に限ったことではありません。
ただなんとなく身体に悪そうといった印象で生活指導をしていては、身体のプロとは言えませんね。
なぜ身体に負担がかかるのかを考え、それをもとに仮説・検証作業を行っていくことでより効果的な治療が行えるようになるのではないでしょうか。
【4月7日】舟波先生のご講演|
「臨床実践!臨床家のための運動理論と治療の実際」
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