ー株式会社ワイズ(脳梗塞リハビリセンター)が映画「栞」を応援しようと思ったいきさつと、監督が映画を創られた経緯をお聞かせください。
早見会長:私がこういった事業(保険外リハビリ施設『脳梗塞リハビリセンター』:理学療法士ら専門家によるマンツーマンリハビリを受けられる施設)をやっている手前ではありますが、いつも「理学療法士ってすごいな」と、思っていたんです。
お客さんの希望を叶える仕事は、本当にすごい仕事だと思う一方で、世間の認知があまり進んでいないことに疑問を思いました。そういう私も、この事業に携わっていなければ、「理学療法士」という職種をよくしらないままだったかもしれません。
日々お客さんから、歩けるようになった、腕があがるようになった、社会復帰できた、という喜びの声をきく中で、このようなすごい技術を持った、理学療法士がもっとフォーカスされてもよいのにと思いながら、『脳梗塞リハビリセンター』では沢山の理学療法士に働いてもらっています。
常々、そう思っていた所に、理学療法士が主役になっていて、しかも理学療法士の方が監督として創られた映画「栞」の話をお聞きしたときに、理学療法士という仕事を知ってもらいたい、との思いが重なると感じましたので、支援させていただこうと思いました。
1972年 千代田区神田生まれ。 1996年にWebマーケティング会社(株)イニットを設立し、代表取締役社長に就任。 大手企業との取引を中心に業界有数の会社に成長させる。 2004年に東証一部上場 トランスコスモス(株)のインターネット部門と統合。執行役員/常務執行役員を歴任し、インターネット部門等の責任者として従事。国内上場子会社取締役、海外子会社取締役、董事長など多数兼務。 現在は、2014年2月に株式会社ワイズを設立し、脳梗塞特化型自費リハビリ施設「脳梗塞リハビリセンター」、リハビリ特化型デイサービス「アルクル」等のリハビリ・介護を中心とした事業を展開。
榊原監督:ありがとうございます。僕自身もこの業界に入る前、理学療法士として働いていました。それから映像の方へ転身し、東京に来ましたが、はじめ理学療法士といっても、ほとんどの方には通じませんでした。
早見会長:そうですよね。未だに“医学”療法士とか、間違えて呼ばれたりしますよね。ましてや、PTといっても全然通じないんですよね。
榊原監督:そうなんですよね。わかりやすく、「リハビリの先生だよ」と説明すると、そこでようやく理解されます。「病院で患者さんに寄り添って一緒に歩く人ね」くらいの認識です。
今でいえば、有資格者数は16万人を超えていると聞きますが、この人数がいてもなお、「まだ知られていないのか」と思いました。病院という社会とは一線を画する空間の中だけでの仕事ですから、ある意味知られていなくても不思議ではないのかなとも思います。
私はそもそも映画監督になりたくてこの世界に入ったのではなく、医療の現場の現状を伝えるドキュメンタリーを撮りたいと思っていました。そう思い始めた当時、YouTubeの人気が高まり、誰でも映像を撮影し配信できる時代になる予感がしていた時でした。
それから映像を学ぶわけですが、その中で映画のプロデューサーと出会い、映像の中でも特殊な“映画”という世界に入りました。
たまたま、お酒の席で映画「栞」で起こっているような医療の現実を話していた時、「それを映画にできない?」というお話をいただいたことで、脚本を書き始めました。
最初、僕は「こういった内容なら、ドキュメンタリーでやるべきだ」と考えていました。ですが、ドキュメンタリーでは視聴者数が限られてしまう。それなら、役者さんに出ていただいて映画というコンテンツの発信力を借りよう、となったのが映画「栞」誕生のキッカケです。
そして、この「栞」企画が始まったのが2014年の終わりから2015年の始まり頃だったと思います。それから、どうやったら自分の届けたいものが創れるのかを、悩みながら3年の歳月をかけ、脚本を書きました。
この映画「栞」は、私が理学療法士で、それを経験したからこそわかるリアルな視点があります。逆にいえば、そんな僕だからこそわかる視点が入っていないと意味のある映画にはならないという思いで創りました。
1986年生まれ、愛知県出身。株式会社and pictures 所属。CM、MusicVideo、TV、企業VP などジャンルを問わず、様々な映像分野で幅広く活動。 ディレクションを始め、撮影、編集、VFXなど映像制作に必要な技能全てを身につけ元理学療法士という特異の経歴から得た感性を武器に、独自の世界観を作り上げるという「感性と技術が融合した」新しいタイプの次世代監督の一人。2012年より映画製作会社 and picturesに所属し本格的に映画監督としての活動を始める。2013年に初監督を努めた短編映画「平穏な日々、奇蹟の陽」はアジア最大の国際映画祭「ShortShortFilmFestival2014&Asia」のJAPAN 部門ノミネート、主演の有村架純がベストアクトレスアワードを受賞。2016年、JリーグFC東京の2015シーズンを追ったドキュメンタリー映画「BAILE TOKYO」で長編映画デビューを果たす。今作品「栞」が長編映画2作品目となり、自身で原案・監督・脚本・編集を行うなどこだわり抜いた初の長編ドラマ作品となる。
「理学療法士の仕事とは?」
ー 監督、早見会長、脳梗塞リハビリセンターに勤務する理学療法士(鶴埜先生)それぞれの立場からお聞かせください。
監督:僕はもともと、スポーツに憧れて理学療法士の世界に入りました。その中で、理学療法の素晴らしさを感じましたし、その逆に制度上の天井を感じたこともあります。
ただ、自分が臨床で働いている時は、大学病院ということもあり、研究が盛んに行われ、他職種との連携の中で、その可能性を広げようという取り組みがありました。
ポテンシャルは高いにも関わらず、「ここまでなのか」という葛藤も働いている中で感じました。
僕自身、これまでは「医師の指示のもと」という制約に囚われてしまっていましたが、「お客さんの可能性を引き出すことができるなら、自分の全ての引き出しを使って可能性を広げる」という早見会長や鶴埜先生のお話を聞いて、すごいなと思いましたし、逆にそれができない状態というのは非常に勿体無いなと思いました。
鶴埜先生:私の場合は、ものすごくシンプルで、自分の持っているもので、その人の希望を叶えられるものがあるのであれば、全力でそれに取り組む仕事だと私は思っています。
例えば、初孫を両手で大事に抱っこしたいとか、麻痺した左手でお茶碗を持ってご飯を食べたいとか、ちょっと小走りしたいとか、麻痺した右手でマウス操作したいとか、フルートを吹きたいとか、日常生活や職業、趣味などの行為が今よりもより良くできるように、直接的なリハビリでも、自主トレでも、間接的な福祉用具などの紹介でも、私にしかできないことを、私が勉強していくだけのことだと、すごくシンプルに考えています。
プロフェッショナルである私が、お客様に「必要ない」と言われれば、私の存在意義はないと思います。そのために、人生経験を含め、沢山のこと、ものを勉強しながら、お客様に複数の選択肢とその中でもベストと考えられる選択を提案できるよう、常に準備しています。
それを達成するために、人に親切であること、自分が人間として安定していること、常に考えること、悩むこと、それが理学療法士の仕事だと思っています。
早見会長:なんだか20年後の雅哉(三浦貴大演じる理学療法士:高野雅哉)のセリフを聞いている感じになりました。
私は理学療法士の仕事を先ほども言いましたが、「すごい仕事」だと思っています。
ー 監督は本日はじめて自費リハビリの現場をご覧になったと思いますが、率直なご感想をお聞かせ願えますか?
監督:まず率直に、現役の理学療法士だった頃にこのような施設があれば……。というのが率直な感想です。先ほど、鶴埜先生もおっしゃられていたように、日々の業務が楽しく、毎日が学びといったお話を聞き、それを望んでいる理学療法士の受け皿としても、ありがたい施設ではないかと思いました。
私も含め、こういった施設を作ることが、「無理だ」と思っている方が多い中で、他業界からこられた早見会長が、こういった施設を作ってくださった、というのは理学療法業界をはじめ、他業界にとっても意味のあることだと思います。
早見会長:ありがとうございます。求めている人がいて、その希望に対して応えてくれる理学療法士がいる中で、調べてみれば法律的には問題なく行えるということを知って作ることができました。
監督:そうですよね。何よりも、理学療法士にとっても良かったことですが、お客さんにとっても良かったことだと思います。何度も言いますが、「学生の頃からあれば……」と思いますので、学生こそこういう場所があると知るべきではないかと思います。
海外と比較する中で、「日本での理学療法士、こんな地位なんだ」と落胆してしまう学生が、このような施設の存在を知ることで、未来を描くことができるのではないかと思います。
早見会長:それは嬉しいご意見です。私自身、常日頃から「リハビリのプロは理学療法士だ」と思っていますし、歩けない人を歩かせることができるのは、本当にすごいことだと思います。
私自身、「理学療法士の仕事が世の中に知られていない」ということに対して、ビジネスを通じて、世間に広める活動と位置付けて事業を行っています。
行き過ぎた話かもしれませんが、映画「栞」を観させていただいて、ある意味『脳梗塞リハビリセンター』で働いている理学療法士は、10年後20年後の雅哉(三浦貴大演じる理学療法士:高野雅哉)の姿かもしれない、と思いました。
また、映画「栞」を観たことで、現在ココで働いている理学療法士が病院時代に歩んできた道、葛藤を垣間見たように思います。
監督:「栞」は僕自身の実体験をベースにしていますが、この映画を創るにあたって、「ほかの理学療法士も同じような経験あるのかな?」と思い、取材をしました。すると、キャリアが上の理学療法士ほど、同じような経験をされている方が多く、僕がしてこなかったような経験までお聞きすることができました。
日々起こっていている葛藤を乗り越えた人たちが、リハビリテーションを支えているのだと、再認識しました。
映画のワンシーンで、雅哉の上司が「俺の若い頃はな……」という場面があったと思いますが、自分よりも昔の世代の人の方が、もっと悔しい思いを当然抱えたと思います。
その人たちが積み上げてきてくれたおかげで、その時できなかったことが世代を超えてできるようになっていると感じます。
もう一つシーンの中で「症例数の少ない疾患こそ、ちゃんと発表するべきだ。それが次の一歩に繋がることなんだから」というセリフがあります。
このセリフは自分が理学療法士だった頃に、上司から言われた言葉です。今も積み上げていますし、これからも積み上げていくものなんだなと思います。
早見会長:私が好きなシーンに、三浦さん演じる雅哉と鶴見さん演じるお父さんとのやりとりで、
お父さん:「立派な仕事についたな」
雅哉:「毎日辛いけどね」
お父さん:「だから立派なんだよ」
という、鶴見さんのセリフには涙しましたね。
監督:僕もあのシーンは、好きというか、“誰かに言って欲しかった”言葉だったと思います。それは、鶴見さんにも「このセリフは、僕にとっても大事ですし、観てくれる理学療法士にとっても大事なセリフなんです」とお伝えしました。
鶴見さんの芝居は素晴らしかったですね。大事だからと、はっきり明瞭にいうわけでもなく、絞り出すようなセリフは印象に残るシーンになったと思います。
早見会長:私たちも、冒頭からお伝えしております通り「理学療法士はすごいんだよ」と。この映画に絡めてお話ししますと、苦悩を通じて成長してきた人たちが理学療法士には多いので、そういう人たちを応援していきたいと思っています。
また、制度上諦めなければいけないお客さんがリハビリできる場を作ることが、私たちのミッションです。そのためには、理学療法士を“主役”にしたいと思っています。
監督:リハビリを受けられる方にお伝えしたいことは、毎日葛藤を抱えつつも「もっと良くしたい」と日々研磨している理学療法士は、沢山いるということです。そのための学会活動や日々の院内勉強会、外部の研修会に毎週末のような足を運んでいる理学療法士もいます。
当然それは、お客さんに伝わらない部分ではありますが、ぜひそういう人たちが理学療法士なんだということを知っていただいて、ご自身のお身体のことを“諦めないで”欲しいと思います。理学療法士の力を信じて、諦めずにいて欲しいなと思います。
ー 本日はありがとうございました。
脳梗塞リハビリセンターからのお知らせ。
2018/11/15(木)
『脳梗塞リハビリセンター赤坂』開設
リハビリロボットや最新器具が体験できる研究・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
『脳梗塞リハビリセンター』HP https://noureha.com/
代表早見の著書『誤解だらけの脳卒中リハビリテーション』
https://noureha.com/news/
【求人】
>>今後更なる業務拡大の為、人材募集しています: https://recruit.ys-j.co.jp/jo
【前売券情報】*割引でのチケット販売です。
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販売期間 :2018年7月6日(金)~10月25日(木)
価格 :1,500円 (一般前売価格 1,600円)
購入サイト:https://www.major-j.com/info.php?f=M20180625001shiori
ID / PW :shiori18post (ID / PW共通となります)
※割引価格での前売券ご購入には上記のID / PWが必要となります
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また、10枚以上の同時購入で1枚1,400円の団体前売券もFAX・Emailにて受付けております。
団体前売券のお申し込み用紙はこちら
【作品情報】
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公開日 :2018年10月26日(金)
上映劇場
[ 秋田県 ]ルミエール秋田
[ 千葉県 ]T・ジョイ蘇我
[ 東京都 ]新宿バルト9、T・ジョイPRINCE品川
[神奈川県]横浜ブルク13
[ 愛知県 ]ミッドランドスクエア シネマ
[ 京都府 ]T・ジョイ京都
[ 大阪府 ]梅田ブルク7
[ 広島県 ]広島バルト11
[ 大分県 ]T・ジョイパークプレイス大分
新しい劇場が追加になりました!
[宮城県] MOVIX利府
[福岡県] T・ジョイ博多
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【映画「栞」POST特設ページ】
観覧はこちらから
*公開日や劇場情報が続々公開されます。