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患者さんの"気持ち"を理解するためにPTOTSTが読むべき本

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リハビリ患者を支える人のための本 -“寝たきり宣告"から社会復帰した私がお伝えしたいこと-:岡崎 あや

長期にわたるリハビリテーションは、当事者にとって想像以上につらいものです。本書では「寝たきりか、よくて車椅子」と宣告された著者が2年のリハビリを経て歩行可能になった要因をいくつかあげています。そのひとつは、具体的な「目標」を設定してリハビリをしたことです。そして、「治りたい」という気持ちに対して医療者や家族を含めた周囲の声掛け・言葉がけのすごみを感じます。

 

手術後に「諦めて下さい」と言われ、一命を取り留めた後に大小100箇所以上の骨折に対して合計20時間の手術をかけて行った際にも「寝たきりか、よくて車いす」と主治医から家族に宣告されたといいます。

 

著者は言います。

 

“リハビリは何のために行うのでしょうか。ひとつ言えるのははっきりとした目標を持ってリハビリに取り組んでいる当事者は意外に多くないということです。「がんばって」「やればできる」などの精神論ではなく、最終イメージを持ってもらう。最終的に自分がどうなりたいのか、どんな暮らしをしたいのか、当事者と話し合ってみてほしいのです。”

 

 つまり、「自分なりの目標設定」が重要だと本書の至る所で言われています。それを達成する一つの手法として、セルフ・コーチングを推奨しています。自分自身にできることを自分に問いかけ、治る・良くなっているイメージを1日に何度も何度も気が遠くなるくらいに繰り返したそうです。ただ、これは決して当事者自身一人でできるものではなく、リハビリ専門職などの医療職や家族のサポートは必須とも言っています。

 

そのサポートで重要なのは「言葉がけ」です。

 

“「もう、動きません」とお医者様から言われても、リハビリを地道に続けていると道は開けるかもしれないのです。立場上、先生方は「治る可能性もありますが、そうでない可能性もあります」というあいまいな表現をしがちです。あるいは、「元の生活には戻れません」など、100%言い切れることしか言わないかもしれません。「治るかもしれないからがんばりましょう」と言って下さる先生は少ないと思って間違いないでしょう“

 

 本書で著者が言っているように、臨床場面ではこのようなことは無意識的に発していることがあり、決して少なくないのかもしれません。しかし、そういった側面があると理解した上で言葉がけを意識しないといけません。

 

本書で著者が紹介している「言葉がけに関してのコツ」を、大きくわけて2つ紹介します。

 

1つ目:「治りたい」「家に帰りたい」と思ってもらえる会話を心がける>>>
 
受傷初期の当事者は、自分の状態がよくわかっていない、あるいは落ち込んでいることがあります。そのため、当事者を明るい気持ちにさせて「治りたい」と思ってもらえることが大事だと言われています。例として、「もう学校(会社)なんかいけない!!」と当事者が言ったとした場合、「行けるに決まっているじゃない」と言うのではなく「行くに決まっているじゃない」と言ったほうがいいそうです。この場合、前者は”行けないかもしれない”と連想させてしまうと言います。

 

2つ目:毎日「どう?」と聞かない>>>
 
リハビリ職種も患者さんの部屋に行き「〇〇さん、どうですか??」と言うことは多いと思います。しかし当事者にとっては「どう??」と言われるのはかなりのストレスになっている可能性があるといいます。理由としては家族かも、お見舞い客からも、医療従事者からも「どう??」と言われていることが多く、答えるのに億劫になるからだと言います。この場合には、「今日の痛みはどう??」「この間決めた目標はどう??」と具体的に何が聞きたいのかを言うことが、コツだと言います。

 

 <POST編集部感想>
 
よく「プラトー」や「障害受容」という言葉を教科書的に習いますが、これは誰のための言葉なのでしょうか?
 
障害を背負っても前向きに生活していく患者さんにとっては、理論・理屈では説明できないことも多くあります。プラトーや障害受容という言葉を学んだ上でなお可能性を探り、当事者や家族とともに目標達成に向かって歩んでいくのが医療者の重要な役割だと思います。そういった教科書的な理論・理屈と実際の当事者が抱えている心情をつなぐものが、こうした「患者さんの体験談本」だと思います。特に経験の少ない療法士や学生さんは、患者さんの潜在能力を最大限に引き出すための”強化書”として、本書を一読することをオススメします。
 
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「リハビリ患者を支える人のための本 -“寝たきり宣告"から社会復帰した私がお伝えしたいこと-」

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