モンゴル国内に義肢装具士の養成校は存在しない
モンゴルにも装具療法の概念はあり、実際に義肢や装具も作成されています。しかし、モンゴル国内に義肢装具士の養成校はなく、海外で研修を受けた方が義肢や装具を作製しています。
ロシア、ドイツなどで一定期間研修を受けているようでした。公的な機関で義肢装具を作成できる場所はウランバートルにある国立リハビリテーション病院のみで、民間で開業されている方もごく数名です。オーダーメイドで義肢装具を作れるのはモンゴル国内で2ヵ所しかないと思います。
しかもその内の1か所は材料がなく閉鎖している状況でした。私が赴任している期間に、義肢装具士のボランティアもいたので一緒に活動することが多かったのですが、義肢装具の分野については本当に深刻な状況でした。
(Photo:日本人義肢装具士の採型。)
「ヒト」がいても「モノ」がない
義肢装具を作るにはどんなに優秀な人材がいても設備や材料が必ず必要になります。理学療法士や作業療法士は自分の手があれば何かしらできることがあるかもしれませんが、義肢装具はそういうわけにはいきません。
彼の配属先は冒頭でも述べた国立リハビリテーション病院だったのですが、そこですから設備がメンテナンス出来ず壊れている、材料を受注できずに作製することができないという状況が多々ありました。
プラスチック短下肢装具を作りたいのにプラスチック板がなければ話になりません。
ちなみにプラスチック板は中国からの輸入品なのですが、分厚い物しか輸入できません。どこから手をつけていいのか…本当に深刻な状況でした。義肢・装具の需要は多いのですが、ほとんどの方に行きわたらないのが実情です。
今後モンゴルで義肢・装具士の養成校ができるかも不明です。ちなみに車椅子等の福祉用具もほぼ全て輸入品です。最近、国内のNGOなどでも車椅子を自国で作ろうという試みを開始する団体も出てきたようですが、一般化されるには相当な時間がかかると思います。
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