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理学療法士(PT)岡田瞳先生-「彼女はドイツのスポーツ界・医療界に必要な人材だ」-

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現在の活動

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インタビュアー:今、メインではどのような活動をされているのですか?

岡田先生:現在は株式会社アレナトーレというスポーツマネジメント会社に所属しています。サッカーを中心とした指導者やジャーナリスト、その他私のようにトレーナーなど、スポーツに関わるスタッフが集まった会社です。

基本的には、現場でのトレーナー活動を最優先としていますが、その他にもご依頼のあったお仕事をお受けしたり、自身でやりたいことを企画して形にしたりもしています。

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例えば講習会講師や現場での傷害予防・コンディショニング指導、あるいはパーソナルトレーニングなど。今年に入ってからは、自由が丘整形外科で理学療法士として非常勤勤務も始めましたし、専門学校の講師として学生の教育に力を注ぐ機会もいただけました。

本当にやりたいことを全て、やらせていただいています。ドイツから帰国したきっかけの一つは、2012年に日本で開催されたサッカーU−20女子W杯でした。

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永住などは考えていませんでしたが、充実していたドイツ生活にさよならを告げるには、何か大きな後押しが必要だったんです。

そこに迷いもなく挑戦したいと思えるビッグチャンスが訪れたのは、本当に恵まれていたというか。それからは日本サッカー協会ともお仕事をさせていただけるようになり、フットサル日本女子代表やサッカーU−23日本女子選抜などに帯同し、引き続き国際大会という舞台で経験を積ませていただいたり。

帰国直後は日本のPT免許を付与されていなかったということもありますが、そういったトレーナー活動をメインに行っていましたね。

厚生労働省から特例認定をいただき、PT免許を持てるようになってからも、スポーツに対するこだわりは持ち続けていたかったですし、やはりこれまでと変わらないスタイルで色々なことにチャレンジしたいと思っていたので、医療機関ではなくこちらの会社(株式会社アレナトーレ)で頑張っていきたいと思いました。

44受けて43の医療機関に断られた

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インタビュアー:ドイツではどれくらい働いていたのですか?

岡田先生:実際に常勤として働いていたのは約3年ですね。スポーツリハ=ベルリンというクリニックで。スポーツ傷害やアスリートのコンディショニングに力を入れていて、ベルリンを拠点として活動しているブンデスリーガやナショナル選手も多く通う恵まれた環境でした。

ここで働くまでにも様々な経緯がありまして。養成校を卒業してすぐに帰国するのではなく、やはり経験を積みたいということでリンパドレナージを学びながら就職活動を始めました。

より良い環境で最新の情報に触れなくてはと、大都市を中心に履歴書を送りました。ところが、そう簡単にはいきません。

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私は外国人ですから、ドイツで働くためには就労ビザが必要になるんですが、それは雇用契約を結んでからでなければ申請すらできないんですね。

その事実を面接で伝えなければならないわけです。「採用していただいても、働くためには就労ビザが必要です。しかしビザがいつ下りるかは分かりませんし、下りる可能性は高くはありません」と。

実際、就労ビザを申請して許可が下りることは特別な事情を除いて、ほとんどありません。外国人というだけでも難しい面がありますが、さらにそのような問題を抱えていたら採用されるわけがありませんよね。

私の場合は、44受けて43の医療機関に落とされました(笑)その中で、記念にでもと履歴書を送っていたのがオリンピックセンターとサッカーの某ビッグクラブ、そして最終的に採用されることとなったスポーツリハビリテーション=ベルリンでした。

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就職活動に希望が見出せなくなり、学生ビザの期限もあと数ヶ月というときに、何の反応もなく忘れかけていたスポーツリハのボスから電話がありました。

「一度、見学と面接に来ませんか?」という内容でしたが、電話の段階で事情を説明したら、やはり残念ですがということになりました。

ところがその数日後に、再び電話がありまして。「ビザに関して我々は知識がないから、もう一度詳細を説明してくれませんか?」と。

びっくりしましたね。そのときに、どちらにせよ何もせずにこのまま帰国というのは避けたかったので、「臨床実習のような形で、お給料は求めませんので働かせてもらえませんか?とにかく経験を積みたいんです。」と咄嗟にお願いをしたんです。

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それでいいのなら、と前向きなお返事をいただけたのですが、なんと一ヶ月後にボスが、「ここで一緒に頑張ろう。」と力強い言葉をかけてくれました。

ビザに関しても、たくさんの人々が助けてくれました。実は一度目の申請では許可が下りなかったんですが、クリニックのトップはオリンピックの元金メダリストで各界に人脈やコネクションを持っていましたし、同僚も選手やスタッフとして代表経験のある人ばかりでしたから、全勢力を駆使して再度外国人局に挑みまして(笑)帯同していたブンデスリーガ2部のハンドボールチームの監督も、ハンドボール連盟からの文書という形で働きかけてくれました。

色々な方向から、「彼女はドイツのスポーツ界・医療界に必要な人材だ」という恐れ多いレターを用意していただき、弁護士の協力も得て改めて申請したら、あっさりと就労ビザを発行していただけました。全ての不安が一気に吹っ飛んで、人の温かさに感動しましたね。

講習会情報

 

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【目次】

第一回:不安を感じる前に自ら動く姿勢を大切に

第二回:ドイツの教育システム

第三回:留学のお金事情

第四回:ドイツ理学療法士国家試験

第五回:44の医療機関を受けて43落とされた

第六回:人に認めてもらう方法

最終回:ドイツと日本でPT免許を取得

 

岡田瞳先生経歴

経歴:

1982年10月31日生まれ、茨城県出身。 筑波大学在学中に女子バスケットボール部に所属しながらスポーツ医学を専攻し、アスレチック=トレーナーの基礎を学ぶ。

卒業後は単身ドイツに渡り、フィジオセラピスト(理学療法士)の国家資格を取得。その後アスリートのコンディショニングに特化したスポーツクリニック『スポーツリハ=ベルリン』にてブンデスリーガやナショナルアスリートの治療、リハビリ、トレーニング指導に携り、同時に様々なブンデスリーガ加盟クラブの専属フィジオとしても活動。

2012年、約7年半のドイツ生活に終止符を打ち、2012 FIFA U-20女子ワールドカップをきっかけに帰国。同大会ではFIFAメディカルスタッフの一員として国際レフェリーのコンディショニングをサポートした。

2013年 厚生労働省より特例認定を受け、日本でも理学療法士の免許を付与される。

2014年、株式会社アレナトーレに入社し、さらに活動の幅を広げる。

2015年、医療法人社団SEASONS 自由が丘整形外科において非常勤理学療法士として勤務開始。

【所属】

株式会社アレナトーレ

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【資格】

理学療法士(ドイツ/日本)

国際スポーツ理学療法連盟公認スポーツフィジオセラピスト(ドイツ)

マニュアルセラピー(ドイツ)

医療徒手リンパドレナージ(ドイツ)

高等学校保険体育教員免許(日本)

赤十字救急法救急員(ドイツ/日本)

キーワード

♯スポーツリハビリテーション ♯FIFA  ♯ベルリン

♯ブンデスリーグ

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