世界最古のマンガ
鳥獣戯画といえば、平安時代から鎌倉時代の間に、多数の作者によって描かれた世界最古のマンガと称される。西洋の絵画とは違い、俯瞰した視点での表現が日本絵画の特徴ともいえるが、まさに本書は脳卒中体験者の俯瞰した視点で描かれている。
今回は、建築士である村越正明さんが、自身の脳卒中体験を鳥獣戯画を通して描いたリハの世界「鳥獣りは」をご紹介します。
俯瞰して見えたリハビリの世界
普段、我々療法士はリハ室にいる。その景色をどう表現するのか、それは各個人によって様々であることは間違いないだろう。“患者目線で考える”とはよく言うが、本当の意味で患者目線になることは、自分が患者にならなければわからないわけだ。
ただ、本書を手に取り読み進めると、普段我々が行うリハが別の形としてみてとることができる。その一つが、ここで表現される言葉に現れている。また、その一つ一つの場面を通して感じることは、評価・リハしている、療法士や看護師の姿、表情を我々が思う以上によく観察されている点だろう。
我々療法士は、患者さんを評価していると同時に、患者さんに評価されているのだ、と言う認識が俯瞰した視点から理解することができた。
当事者である、村越さんのリハビリから始まった本書は、我々療法士に俯瞰した視点を与えてくれる、ある意味では我々のリハビリ書ではないだろうか。