日常生活や生活動作の評価が不十分
作業療法士の養成校は、DegreeとDiplomaがあり、大学は3箇所,専門学校が6箇所あり,大学は4年制,専門学校は3年制です(活動中の情報なので、変わっているかもしれません)。実習内容は養成校毎によりシラバスが作成されています。実習では年次毎に目標や期間が具体的に設定され、担当ケースを複数持ち、バイザーにアドバイスをもらう形は日本と似ています。しかし、日々のケース記録は書かず症例レポートを作成してしまうため、評価内容がほぼ検査所見となり,日常生活や生活動作の評価が不十分なケース報告が数多くありました。
国内におけるOTの需要は増えてきている
私の配属先病院の精神科部門では、急性期の精神科病棟のOTにも関わらず、備品管理や処方箋がないままのOTが当たり前となってしまっており、現場のスタッフだけではなく、実習生にも運営管理の重要性を伝える必要がありました。マレーシアでは、同一の実習地に複数の学生が実習を行うため、日本のように個別に丁寧な実習指導を受けずに実習を終了してしまうパターンが非常に多いです。また、臨床現場のスタッフは実習生に治療や記録を任せてしまい、実習生の記録がそのまま療法士の記録として、電子カルテに記載されてしまう結果に・・・。何度も上司とやり取りして改善を求めた記憶があります(ここにはリハビリは無料で、実施や検査等が診療点数として加算されないハード面の問題も影響していると思います)。実習日数や期間的には日本と変わらないのに、もったいないです(逆にいいように捉えるなら、日本より早く「臨床」に慣れることができるかもしれません)。今後、マレーシアではオーストラリアに習って、5年以内にOTの数を5000人に増やそうという目標を掲げています。学生の数が今後も増え続けるマレーシアでは、学生教育だけでなく、新人教育等のスキルの向上が非常に重要になってくると思います。
原早恵子先生経歴
経歴
専門学校卒業後、精神科病院で6年,身障リハセンターで3年勤務した後、青年海外協力隊としてマレーシアの公立病院の精神科にて活動を行った。帰国後も、作業療法士として、高次脳機能障害を持つ方への社会参加に向けた支援を行っている。