【書評】ありそうでなかったn=1書籍

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カルテ書籍

 本日は、三輪書店様より献本いただきました書籍の書評をさせていただきます。今回の書籍は、POSTインタビューでもご協力いただきました冨田先生小林先生による書籍です。

 

皆さんもご存知のことと思いますが、小林先生は23歳にして脳卒中を発症。その経験をもとに、当事者と療法士の橋渡し活動を精力的に行なっている理学療法士です。

 

そんな小林先生を、理学療法士業界のレジェンド冨田先生が画像から読み取れる情報から評価、アプローチ、セルフエクササイズまでを一冊にまとめた一症例のカルテ書籍となっています。

 

カルテに動画

 本書の注目ポイントは、目次(下記に記載)を見てわかる通り、理学療法のプロセス全てを記載したカルテのような書籍です。ちょっと視点を変えると、学生が実習で作成するケースレポートの参考にもなる本書。

 

個人情報の観点からこのような書籍の出版は難しい中、患者役として当事者の小林先生を起用するあたり、三輪書店らしい挑戦がうかがえる書籍です。一番の学びは、小林先生なのではないかと思う本書ですが、カルテとは違い介入風景が動画で確認できるあたり、ごまかしのきかないものとなっています。

 

我々、療法士にとってn=1の積み重ねは非常に重要なデータです。また、患者役が理学療法士ということもあってフィードバックも患者目線、理学療法士目線の混在した対談が個人的な見所です。

 

かなりのチャレンジ書籍

 個人的に気になる点を一つ挙げるならば、読者の満足度の部分です。参考書の値段としては一般的ですが、大きく違う点はn=1である点です。これまでの参考書は、広く数多の情報をまとめているため情報量としてはn=xが基本となる点が読者にどう刺さるのか。

 

これまでの参考書をx-y軸で表すのに対して、x-y軸の広がりを最小限に留めz軸を伸ばしたチャレンジングな書籍です(これまでの参考書にz軸がないという話ではありません)。

 

この辺りは、読者の方々の意見を聞いてみたいところですので、ぜひTwitter等で「#冨田・小林著」のハッシュタグをつけ感想をもらえればと思います。

 

冨田昌夫のリハ治療を脳卒中経験者&PTの小林純也が解き明かす!*動画付き

 リハ治療による変化を患者はどのようにその体で感じているのか。セラピストの誰もが強い関心を持つテーマであるが、一般の患者からフィードバックを得ることは難しい。

 

本書は、プロボクサーを目指していた矢先に23歳にして脳卒中を発症し、その後理学療法士となった小林氏が冨田氏から受けた治療セッションを収録し、経過中に感じた変化や主観について忌憚なくやりとりし合い誕生した書籍である。

 

対象者が治療をどう感じているのかを理解できるとともに、豊富な動画と対話を通して、冨田氏の考えるリハ治療のあり方、評価方法、手技がより明確化され理解しやすくなっている。

 

さらに実際の患者を通した治療動画や冨田氏提示のホームプログラム、補助具や今後のリハ世界の流れなどをテーマにした対談も収載。SNSで募ったQ&Aをまとめた購入者特典付録付き。冨田氏が伝えたいことをすべて詰め込んだ本書をぜひ手に取ってみてほしい。

【目次】

序 臨床家にとって、一番大切なこと・・・冨田昌夫
序 「人間」であるというコト・・・小林純也

第1章 概論
1 はじめに
2 片麻痺の捉え方
3 片麻痺の体幹機能
4 バランス戦略
5 ワイドベース
6 正中を出す
  1.  正中を出し、運動の自由度を高めるためのアプローチ

第2章 評価
2-1 脳画像からの推論
1 評価にあたり
  1.  対象者とセラピスト
  2.  情報収集について
  3.  身体探索の仕方・思考の仕方
  4.  補助具の活用
  5.  計測について
  6.  体幹機能の評価とそこから予測できるバランス戦略
  7.  体幹の他動的可動性の評価方法
2-2 臥位にて目視と触診で確認 動画2-2
2-3 肩甲帯の評価――左右の可動性を確認 動画2-3
2-4 胸郭の可動性を確認 動画2-4
2-5 股関節周囲での可動性の評価 動画2-5
2-6 足関節の評価 動画2-6
   参考資料 計測事項の解析

第3章 治療
1 はじめに
2 治療の柱
3-1 頭頸部への治療アプローチ 動画3-1
3-2 頸部から下肢にかけての治療アプローチ 動画3-2
3-3 股関節周囲への治療アプローチ 動画3-3
3-4 腰背部への治療アプローチ(1) 動画3-4
3-5 腰背部への治療アプローチ(2) 動画3-5
3-6 股関節包内の動きへの治療アプローチ 動画3-6
3-7 肩甲骨と胸郭レベルへの治療アプローチ 動画3-7
3-8 足関節への治療アプローチ 動画3-8
3-9 緩んだ体を使う――前庭にアプローチ

第4章 自己管理プログラム
1 はじめに
2 麻痺の起こらない体幹機能を最大に利用する
3 正中を出すことへのこだわり
4 身体機能を評価する動作を持っておく
5 自己管理プログラムについて
  1. 10秒体操(動きたくなるような構えを作る動作のホームプログラム)
  2. 機能維持・改善するためのホームプログラム
6 自己管理プログラムの例
動きたくなるような構えを作る動作のホームプログラム
  腹臥位で長ーく息を吐く
  上肢(腕)のリズム運動 動画4-1
  骨盤の左右への交互のリズム運動 動画4-2
  上肢下肢のリズム運動(歩行様リズム動作) 動画4-3
  ごろごろ転がる動作(ローリング) 動画4-4
  座位での正中を極める方法 動画4-5
  座位からの立ち上がりと立位から座る――台の縁を利用 動画4-6
  脊柱の探索 動画4-7
機能を維持・改善するためのホームプログラム
  立位から腰をおろす――深屈曲まで 動画4-8
  肩甲骨をスタビライズするためのモビライゼーション 動画4-9
  体幹前面筋のブリッジ活動 動画4-10
  体幹と近位大関節のスタビライズ 動画4-11

第5章 Clinical Training『足が引っかからずに、速く歩けるようになりたい』
1 画像からの臨床推論
2 冨田の臨床指導(1日目)
  頭頸部の調整指導 動画5-1
  筋緊張の調整指導 動画5-2
  背臥位での方向転換指導 動画5-3
  ごろごろ転がる(寝返り)動作の指導 動画5-4
  パピーポジションで肩甲骨の可動性を上げる 動画5-5
  臥位から座位への姿勢変換指導 動画5-6
  座位から臥位への姿勢変換指導 動画5-7
  立ち上がり動作・立位姿勢指導 動画5-8
  歩行動作指導(1) 動画5-9
3 冨田の臨床指導(2日目)
  Mさんへのフィードバック
  歩行動作指導(2) 動画5-10
  階段昇降の練習(1)―― 一足一段で上る 動画5-11
  階段昇降の練習(2)―― 一足一段で下りる 動画5-12
  階段昇降の練習(3)―― 両足を交互に踏み出す 動画5-13
4 担当者へのアドバイス
  階段昇降について 動画5-14
  起き上がり動作について 動画5-15
  歩行時のつま先の引っかかりについて
  インソールについて
  身体変化と下肢装具 動画5-16
  ZAFUについて
5 評価総括
6 目標の達成度

第6章 対談―治療セッションを振り返って

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