JICA要請30人に対して試験通過は10人
POSTインタビュアー:先生がされている海外支援についてうかがってもよろしいのでしょうか?
小林先生:PT協会の国際部で、国際協力に興味のあるPTやOTに集まっていただき、海外技術協力セミナーを20年くらいやっていましたが、一昨年に終了しました。
だいたい毎年、50〜80人ほどの方が申し込みをしていて、実際に行く人は1割以下でしたね。男性よりも女性の方が度胸あって、スカッと職場を辞めて国際協力に行っていました。
JICAからの要請が30人のところPTとOT合わせて試験に通過する方は10人ほどですね。知識的には受かるけど体調面で落とされてしまうことが多いようです。
看護師に関しては、30人の募集があれ100人以上は応募がくるようです。
今でも、アジアやアフリカに行くことがあって、FBなどで写真を投稿するとコメントに「公務員は休みが多くていいですね」と書かれたので投稿はやめました(笑)。
私としては、途上国のリハビリや医療の状況を伝えようと思っていたのですが、すぐに心が折れました。
アジアのほとんどの人は田舎に住んでいて、都会の先進的な医療を受けられる人たちはごく少数です。
私たち夫婦が、国際協力の目的として行ってきたリハビリテーションは、医療的リハだけでなくもっと広い意味での支援を可能にしたいという思いでやってきました。
地域リハってそういうこと
インタビュアー:先生が現在興味・関心があるのはどのような部分でしょうか?
小林先生:私が今興味を持って行っているのが、ICFで言うところの“参加と活動”の部分です。
今行われている学会発表のほとんどが、“心身機能や構造、機能障害”の部分です。最近では、訪問やデイサービスも多く、“活動や参加”に関する発表が増えました。
私は特にその中でも社会環境と障害の関係、とくに今、内部障害が増えていて、基本的に完全に治るものばかりではありません。
心不全やCOPD、DM、腎不全などの患者さんがその対象になります。その方々が、リハビリテーションにいらっしゃることが多くなりました。
とくに昔ほど、大病を患ってもすぐに亡くなってしまう方も少なくなりました。
ICIDHからICFに変わって、一番の変化といえば、障害は個人のものではなく社会全体のものだという認識になったことだと思います。
ですから、その社会環境について考え、その考えるということが地域包括ケアにつながるのではないかと思っています。地域リハってそういうことだと思います。
そういった活動を統計学的に分析してこそ、我々が地域に貢献できたと言えるのではないでしょうか。
<第3回は11月11日に配信します>