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梨状筋だけじゃない!臀部での坐骨神経絞扼ポイント

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皆さんこんにちは。茨城県で理学療法士をしています宮嶋佑です。

腰部疾患保存療法における理学療法評価▶︎http://ptix.at/sy49X5

本日は、臀部での坐骨神経絞扼ポイントについて紹介します。臀部での坐骨神経絞扼といえば、梨状筋が坐骨神経を圧迫する「梨状筋症候群」が有名ですよね。しかし最近では、梨状筋以外も坐骨神経を絞扼する組織があると言われており、臀部でのトラブルを総称してDeep gluteal syndromeと呼ぶそうです。

 

今回はその中でもセラピストと関係が深いと僕が思う絞扼ポイントを4つ紹介したいと思います。もしも坐骨神経様の症状が出現しており、腰椎や梨状筋にアプローチしても変わらない方がいらっしゃれば、是非試していただきたいと思います。それでは参りましょう!

⒈内閉鎖筋複合体による圧迫

一つ目は、内閉鎖筋複合体による圧迫です。内閉鎖筋複合体は、内閉鎖筋と上下の双子筋を合わせた総称であり、”the gemelli-obturator internus complex”と論文で表記されていたものを訳しました。内閉鎖筋複合体は坐骨神経の下に位置しているため、内閉鎖筋複合体の緊張が高まったり腫れたりすると坐骨神経を圧迫する可能性があります。

実際にどうやって検査するか?につきましては、私が調べた限りでは特定の検査法はありませんでした。

個人的には、

①坐骨神経様の症状がある

②SLR+内旋で増悪し、外旋で軽減する

③内閉鎖筋に圧痛がある

などの所見が見られた場合は疑ってみても良いのではないかと考えています。

⒉坐骨と小転子のインピンジメント

2つ目は坐骨と小転子のインピンジメント(ischiofemoral impingement)です。

股関節伸展位で内転すると小転子と坐骨の距離が縮まります。坐骨神経は、坐骨と小転子の間を走行する為、坐骨と小転子の間に挟まれ絞扼する可能性があります。通常、股関節を伸展、内転しただけでは挟まれることはありませんが、何らかの理由で大腿骨と坐骨の距離が短くなっていると、このような症状が出現しやすいそうです。

対照被験者と比較して坐骨大腿骨スペースが有意に狭かった(それぞれ13 +/- 5 vs 23 +/- 8 mm、p = 0.002)

Martin Torriani , Silvio C L Souto, Bijoy J Thomas, Hugue Ouellette, Miriam A Bredella「Ischiofemoral impingement syndrome: an entity with hip pain and abnormalities of the quadratus femoris muscle」AJR Am J Roentgenol. 2009 Jul;193(1):186-90.

DeepL利用し翻訳

このIschiofemoral impingementには2つの検査があります。一つ目はLong stride walking testです。この検査は、患者さんに長い歩幅で歩行してもらい臀部痛が生じるかを見るものです。長い歩幅で臀部痛が生じ、歩幅を短くすると痛みがなくなる場合、陽性となります。

もう一つが、IFI testです。IFI testは、患者さんを側臥位にして行います。セラピストは、患者さんの股関節伸展を内転させた状態で伸展させていき、疼痛が出現するかをみます。中間位や内転位での伸展では疼痛が生じるが、外転位での伸展では疼痛が生じない場合、陽性となります。

これらのテストは、股関節内転+伸展で小転子と坐骨の距離を縮めるストレスをかけています。もしも股関節伸展位で臀部痛や下肢痛が生じる患者さんがいたら確認してみてください。

⒊ハムストリングス

3つ目はハムストリングスです。坐骨神経はハムストリングスの側方を走行しており、ハムストリングスに炎症が生じて腫れたり、ハムストリングス腱と坐骨神経に線維性の癒着などがあると症状が生じます。これをischial tunnel syndromeといいます。

ハムストリングスの中でも最も坐骨神経に近いのが、半膜様筋なので、半膜様筋のトラブルと考えてもよさそうです。こちらはActive hamstrings testという検査があります。患者さんを座位にして股関節屈曲90°位にします。膝関節屈曲90°位と膝関節屈曲30°位で、それぞれ膝の屈曲伸展運動を行ってもらい、セラピストはそれに抵抗をかけます。屈曲30°位では、痛みが生じたり筋力低下がみられるが、屈曲90°位では痛みも筋力低下も見られない場合、陽性となります。

ハムストリングスが伸長させる股関節屈曲+膝関節伸展位で症状が誘発されれば陽性という事ですね。

4.大転子・坐骨インピンジメント

4つ目は、大転子と坐骨のインピンジメントです。股関節を最大限まで屈曲・外転・外旋位にした場合、大転子と坐骨の間に挟まれて絞扼される可能性があります。

また、この姿勢では坐骨神経は大転子の後緑を横切るとも言われているため、大転子によって坐骨神経が圧迫されて症状が出現する可能性があります。

股関節の深屈曲、外転、外旋時には、坐骨神経は大転子の後縁を横切ることが報告されています。さらに、完全に屈曲、外転、外旋した状態では、半膜様筋の起始部と大転子の後縁が接触する可能性があります。

Hal David Martin,1 Manoj Reddy,1,2 and Juan Gómez-Hoyos「Deep gluteal syndrome」J Hip Preserv Surg. 2015 Jul; 2(2): 99–107

DeepL使用して翻訳

こちらの検査につきましては、私が調べた限りではありませんでした。ただ、股関節を最大屈曲・外転・外旋する姿勢と言えば「あぐら」が当てはまりますので「あぐらをすると足がしびれる」といった症状の方はこれの可能性がありますね。

 

ちなみに私はあぐらをかくと左足がしびれてしまいます・・・もしかしたら大転子による坐骨神経の圧迫かもしれません。いかがでしたでしょうかDeep gluteal syndromeは今回紹介した以外にもあります。症例数としては梨状筋症候群が一番多い様ですが、梨状筋にアプローチっしても変わらない場合は他の原因も疑ってみましょう。以下に参考文献を記載いたしますので、是非ご覧になってみてください。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

宮嶋佑先生の腰部疾患セミナー

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・神経由来でない「痺れ」とは何なのか?
(2)腰椎椎間板ヘルニアと脊柱管狭窄症の鑑別
・脊柱管内の圧迫と神経根症の違い
・腰椎椎間板ヘルニアの評価・治療法
・脊柱管狭窄症の評価・治療法
・知っていないとまずいレッドフラッグスについて
(3)臀部での坐骨神経絞扼について
・梨状筋症候群はもう古い!Deep gluteal syndromとは?
・坐骨神経絞扼の評価・治療
・腰椎由来と臀部由来を鑑別する方法

講師:
Confidence代表
宮嶋 佑(理学療法士)
 

概要

【日時】 9月24日(日) AM10:00~12:00
【参加費】3,300円
【定員】50名 
【参加方法】ZOOM(オンライン会議室)にて行います。お申し込みの方へ、後日専用の視聴ページをご案内致します。

お申し込み▶︎http://ptix.at/sy49X5

参考文献

・Luis Perez Carro, Moises Fernandez Hernando, Luis Cerezal,et al.「Deep gluteal space problems: piriformis syndrome, ischiofemoral impingement and sciatic nerve release」Muscles Ligaments Tendons J. 2016 Jul-Sep; 6(3): 384–396.

・Hal David Martin,1 Manoj Reddy,1,2 and Juan Gómez-Hoyos「Deep gluteal syndrome」J Hip Preserv Surg. 2015 Jul; 2(2): 99–107

・Martin Torriani , Silvio C L Souto, Bijoy J Thomas, et al.「Ischiofemoral impingement syndrome: an entity with hip pain and abnormalities of the quadratus femoris muscle」AJR Am J Roentgenol. 2009 Jul;193(1):186-90.

・Juan Gómez-Hoyos,RobRoy L. Martin,Ricardo Schröder,Ian James Palmer「Accuracy of Two Clinical Tests for Ischiofemoral Impingement in Patients With Posterior Hip Pain and Endoscopically Confirmed Diagnosis」The Journal of Arthroscopic and Related Surgery 32(7) March 2016Arthroscopy

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