目次
- 1. ACL/PCL(前十字・後十字靱帯/12テスト)
- 2. MCL/LCL(内側・外側側副靱帯/3テスト)
- 3. 半月板(8テスト)
- 4. 関節滑液貯留・関節水腫(2テスト)
- 5. 膝蓋骨(4テスト)
- 6. 臨床応用のコツと注意点
- 7. 参考文献
1テストの陽性で確定診断はできません。複数テストの組み合わせと画像所見(MRI/X線)・問診・受傷機転の統合が前提です。急性期は腫脹と疼痛で陽性率が低下するため、慎性期に再評価することも重要です。
1. ACL(前十字靱帯)/PCL(後十字靱帯)
ACL損傷ではLachman Test(感度高)とPivot Shift Test(特異度高)の組み合わせが標準です[1]。PCL損傷ではPosterior Drawer・Posterior Sag・Quad Activeのクラスターで評価します[2]。後外側回旋不安定性(PLRI)にはDIAL/Loomer/External Rotation Recurvatumを併用します。
Lachman Test(ラックマンテスト)
手順:患者背臥位、患側膝を20〜30度屈曲位。検査者は一方の手で大腿遠位を固定、もう一方で脛骨近位を把持し、脛骨を前方へ引き出す。
陽性所見:脛骨の過剰な前方移動、または end-feel の消失(軟らかいエンドフィール)。
対象組織:前十字靱帯(ACL)
感度/特異度:感度 84〜87%/特異度 93〜97%
Benjaminse 2006[1]
臨床のポイント:ACL評価のゴールドスタンダード。Anterior Drawerより感度・特異度ともに高い。健側との比較が必須。
Active Lachman Test(アクティブラックマンテスト)
手順:患者背臥位、患側膝を30度屈曲、足底をベッドに接地。患者は大腿四頭筋を能動的に収縮させる。
陽性所見:脛骨が前方に変位し、健側との左右差。
対象組織:前十字靱帯(ACL)
感度/特異度:感度 82%/特異度 99%(Lachmanの代替として)
Adler 1995[3]
臨床のポイント:検者の手で脛骨を引かない能動的テストのため、患者の協力が必要。膝周囲の防御性収縮が強い症例で有用。
Anterior Drawer Test(前方引き出しテスト)
手順:患者背臥位、股関節45度屈曲・膝関節90度屈曲、足底をベッドに接地。検査者は患者の足を自分の臀部で軽く固定し、両手で脛骨近位を把持して前方に引く。
陽性所見:脛骨の過剰な前方移動。
対象組織:前十字靱帯(ACL)
感度/特異度:感度 38〜92%/特異度 81〜94%(変動大)
Benjaminse 2006[1]
臨床のポイント:感度はLachmanに劣るが、慢性期や検者の手が小さい場合に有用。受傷直後はハムストリングス防御性収縮で偽陰性が多い。
Posterior Drawer Test(後方引き出しテスト)
手順:Anterior Drawerと同肢位。検査者は脛骨近位を後方に押し込む。
陽性所見:脛骨の過剰な後方移動(健側比5mm以上)。
対象組織:後十字靱帯(PCL)
感度/特異度:感度 90%/特異度 99%
Rubinstein 1994[2]
臨床のポイント:PCL評価のゴールドスタンダード。テスト前にPosterior Sag Signで脛骨が既に後方に落ちていないか確認(落ちていればAnterior Drawerに見えてしまう)。
※動画なし:Posterior Drawer Testは現状動画未掲載。次回更新時に追加予定。
Posterior Sag Sign(後方サグ徴候)
手順:患者背臥位、両股関節45度屈曲・両膝関節90度屈曲、両足底をベッドに接地。検査者は両膝の高さと脛骨粗面の位置を側方から比較する。
陽性所見:患側の脛骨粗面が後方に落ち込む。
対象組織:後十字靱帯(PCL)
感度/特異度:感度 79%/特異度 100%
Rubinstein 1994[2]
臨床のポイント:特異度100%で陽性ならPCL損傷を強く疑う。Posterior Drawer前に必ず実施し、初期位置を確認する。
Lateral Pivot Shift Test(ラテラルピボットシフトテスト)
手順:患者背臥位、膝伸展位。検査者は片手で足部を内旋させ、もう一方で外側下腿に外反応力を加えながら、ゆっくり膝を屈曲する。
陽性所見:膝20〜40度屈曲時に「ガクッ」と整復される感触(亜脱臼から自発的整復)。
対象組織:前十字靱帯(ACL機能不全による前外側回旋不安定性)
感度/特異度:感度 28%/特異度 99%
Benjaminse 2006[1]
臨床のポイント:覚醒下では患者の防御反応で感度が低い(麻酔下では感度98%)。陽性なら ACL完全断裂を強く示唆。Lachmanとの組み合わせで診断精度が大幅に向上する。
DIAL Test(ダイアルテスト/Tibial External Rotation Test)
手順:患者腹臥位または背臥位。検査者は両膝を30度屈曲位とし、両足部を最大外旋させ角度を測定。次に膝90度屈曲位で同様に測定する。
陽性所見:30度屈曲位で健側比10度以上の外旋増加(PLC単独損傷)/30度・90度両方で増加(PLC+PCL複合損傷)。
対象組織:後外側支持機構(PLC:Posterolateral Corner)
感度/特異度:PLC損傷の検出に有用(信頼性 ICC 0.81〜0.94)
Veltri 1996[4]
臨床のポイント:30度と90度の両肢位で測定するのがポイント。PLC単独 vs PLC+PCL複合 の鑑別ができる。
Loomer Test(ルーマーテスト)
手順:患者背臥位、両股90度屈曲・両膝90度屈曲、両下腿を検査者が支える。検査者は両足部を最大外旋させ、脛骨粗面の高さを比較。
陽性所見:患側脛骨粗面の後方変位(PCL損傷)と外旋過剰(PLC損傷)。
対象組織:PCL+PLC複合損傷
感度/特異度:限定的データ
臨床のポイント:DIALより複合損傷の検出に特化。後方変位+外旋過剰の同時陽性で複合損傷を強く疑う。
Extension Overpressure Test(伸展オーバープレッシャーテスト)
手順:患者背臥位、患側膝伸展位。検査者は大腿遠位を一方の手で押し下げ、もう一方で踵を持ち上げて膝を最大伸展(過伸展)方向に押す。
陽性所見:脛骨の過剰外旋・後方反張(recurvatum)、または前方関節包痛。
対象組織:PLC、後方関節包
感度/特異度:限定的データ
臨床のポイント:膝伸展制限の評価兼用。可動域チェックの一環として組み込みやすい。
External Rotation Recurvatum Test(外旋反張テスト)
手順:患者背臥位。検査者は両母指で母趾を把持し、両下肢を持ち上げる。
陽性所見:患側の膝が過伸展し、脛骨が外旋する(健側比較)。
対象組織:PLC(特にACL併存損傷時)
感度/特異度:感度 30〜90%/特異度 99%(PLC損傷)
Veltri 1996[4]
臨床のポイント:感度のばらつきは大きいが、特異度は高い。ACL+PLC複合損傷で陽性率が上昇する。
Quad Active Test(クアッドアクティブテスト/Muller Test)
手順:患者背臥位、患側膝90度屈曲・足底をベッドに接地。検査者は足部を固定し、患者に大腿四頭筋を能動的に収縮させる。
陽性所見:脛骨が前方に2mm以上引き出される(PCL損傷で初期位置が後方に落ちており、収縮で整復される)。
対象組織:後十字靱帯(PCL)
感度/特異度:感度 75〜98%/特異度 97〜100%
Daniel 1988[5]
臨床のポイント:PCL評価で特異度が極めて高い。Posterior Drawer・Posterior Sagと併用すれば PCL損傷の検出ほぼ確実。
Slocum Test(スローカムテスト)
手順:Anterior Drawerと同肢位だが、足部を30度内旋(ALRI評価)または15度外旋(AMRI評価)に固定して脛骨を前方に引く。
陽性所見:内旋位で前外側回旋不安定性(ALRI)/外旋位で前内側回旋不安定性(AMRI)。
対象組織:ACL+外側/内側支持機構
感度/特異度:限定的データ(古典的テスト)
臨床のポイント:複合靱帯損傷の方向性評価。Pivot Shiftの方が感度が高いが、Slocumは静的評価で実施しやすい。
2. MCL(内側側副靱帯)/LCL(外側側副靱帯)
側副靱帯損傷はストレステストで「疼痛」と「不安定性(ラクシティ)」を分けて評価します。Grade I:疼痛のみ、Grade II:軽度不安定、Grade III:完全断裂(end-feel消失)。
Apley's Distraction Test(アプレイ牽引テスト)
手順:患者腹臥位、患側膝90度屈曲。検査者は患者の大腿後面を膝で固定し、両手で足部を持ち上方に牽引しながら下腿を内旋・外旋させる。
陽性所見:牽引下での回旋で疼痛出現。
対象組織:側副靱帯・関節包靭帯(Apley's Compressionと組み合わせて半月板損傷との鑑別)
感度/特異度:感度 16%/特異度 80%(半月板鑑別)
Hegedus 2007[6]
臨床のポイント:Apley's Compression(半月板)と対比させて靱帯由来か半月板由来かを切り分ける目的。単独の感度は低い。
※動画なし:Apley's Distraction Testは現状動画未掲載。
Varus Stress Test(内反ストレステスト)
手順:患者背臥位、患側膝0度(伸展位)と30度屈曲位の2肢位で実施。検査者は片手で大腿外側を、もう一方で下腿内側を把持し、内反方向(外側に開く)に応力を加える。
陽性所見:外側関節裂隙の開大、または LCL部の疼痛。
対象組織:外側側副靱帯(LCL)、PLC
感度/特異度:感度 25%(伸展位)/特異度 100%(LCL断裂)
Hegedus 2007[6]
臨床のポイント:膝0度で陽性なら PLC含む複合損傷を疑う。30度のみ陽性なら LCL単独損傷の可能性。
Valgus Stress Test(外反ストレステスト)
手順:Varus Stressの逆方向。検査者は大腿内側と下腿外側を把持し、外反方向(内側に開く)に応力を加える。0度と30度屈曲位の2肢位で実施。
陽性所見:内側関節裂隙の開大、または MCL部の疼痛。
対象組織:内側側副靱帯(MCL)
感度/特異度:感度 86%/特異度 限定的
Harilainen 1987[7]
臨床のポイント:膝0度陽性は MCL+ACL/PCL併存損傷を疑う。スポーツ外傷で頻用。
3. 半月板
半月板損傷の単独テストはいずれも完全ではなく、複数テストの組み合わせが必須です。Smith 2015のメタ分析では、複合所見(圧痛+McMurray陽性+Thessaly陽性)で陽性的中率が80%以上に達します[8]。
McMurray's Test(マックマレーテスト)
手順:患者背臥位、膝最大屈曲位。検査者は一方の手で関節裂隙を触知、もう一方で足部を持つ。下腿を外旋させながらゆっくり伸展(内側半月板)/下腿を内旋させながらゆっくり伸展(外側半月板)。
陽性所見:「クリック音」または関節裂隙部の疼痛。
対象組織:内側/外側半月板
感度/特異度:感度 58%/特異度 72%(メタ分析)
Smith 2015[8]
臨床のポイント:「クリック音」のみでなく「疼痛再現」を陽性とすると診断精度が上がる。Joint Line Tendernessと組み合わせて使用。
Apley's Compression Test(アプレイ圧迫テスト)
手順:患者腹臥位、患側膝90度屈曲。検査者は患者の大腿後面を膝で固定し、両手で足部を下方に圧迫しながら下腿を内旋・外旋させる。
陽性所見:圧迫+回旋で関節裂隙部の疼痛(牽引下では疼痛が出ないこと)。
対象組織:内側/外側半月板
感度/特異度:感度 13〜38%/特異度 80〜90%
Hegedus 2007[6]
臨床のポイント:感度は低いが特異度高。Apley's Distraction(牽引)と対比させ、「圧迫で疼痛+牽引で疼痛なし」なら半月板由来を強く示唆。
Bounce Home Test(バウンスホームテスト)
手順:患者背臥位、患側膝最大屈曲位。検査者は一方の手で踵を保持、もう一方で膝下に手を置く。膝をゆっくり伸展位まで「自然に落とす」。
陽性所見:膝が完全伸展しない(柔らかい弾性抵抗を感じる)、または痛みで止まる。
対象組織:半月板(伸展制限による嵌頓所見)、関節水腫
感度/特異度:限定的データ
臨床のポイント:バケツ柄断裂(bucket-handle tear)など嵌頓型半月板損傷で陽性となりやすい。
Dynamic Test(ダイナミックテスト)
手順:患者立位。患側で片脚立ちし、膝を20〜30度屈曲位で内外旋を繰り返す。
陽性所見:関節裂隙部の疼痛。
対象組織:半月板(荷重下評価)
感度/特異度:限定的データ
臨床のポイント:荷重下で症状を再現するテスト。Thessalyに類似のコンセプト。
Ege's Test(エゲテスト)
手順:患者立位、両足の踵を接した「外旋スクワット」(外側半月板)または「内旋スクワット」(内側半月板)を行う。
陽性所見:スクワットで関節裂隙部の疼痛またはクリック音。
対象組織:内側/外側半月板
感度/特異度:感度 67〜76%/特異度 81〜89%
Akseki 2004[9]
臨床のポイント:荷重下評価のため、McMurrayに比べて関節への圧迫が強く、感度が高い。
Joint Line Tenderness Test(関節裂隙圧痛テスト)
手順:患者背臥位、膝90度屈曲位。検査者は内側および外側関節裂隙を母指で順番に圧迫する。
陽性所見:限局性圧痛。
対象組織:半月板
感度/特異度:感度 76%/特異度 29%
Smith 2015[8]
臨床のポイント:感度高・特異度低。McMurrayやEge'sと組み合わせて使う。圧痛のみで陽性とせず、複合判定で。
KKU Knee Compression-Rotation Test
手順:患者背臥位、膝90度屈曲位。検査者は両手で大腿遠位と下腿近位を把持し、関節面に軸圧をかけながら下腿を内旋・外旋する。
陽性所見:関節裂隙部の疼痛またはクリック。
対象組織:半月板
感度/特異度:限定的データ(タイ・コーンケン大学発の改良テスト)
臨床のポイント:McMurrayの軸圧版。膝深屈曲が困難な症例で代替に。
Merke's Sign / Thessaly Test
手順(Thessaly):患者立位、患側で片脚立ち。膝を5度屈曲位、次に20度屈曲位で骨盤・体幹を3回ずつ内外旋させる。
手順(Merke's):患者立位。患側で半スクワット位を取り、内外旋を繰り返す。
陽性所見:関節裂隙部の疼痛、クリック音、引っかかり感。
対象組織:半月板
感度/特異度:Thessaly 感度 64〜92%/特異度 92〜97%
Karachalios 2005[10]
臨床のポイント:Thessalyは荷重下半月板テストの代表で感度・特異度ともに高い。Merke'sは類似コンセプトの簡易版。
4. 関節滑液貯留・関節水腫
関節水腫は急性外傷(ACL断裂・骨折・半月板損傷)や慢性疾患(変形性膝関節症・リウマチ性関節炎)の重要徴候。少量から大量まで段階別に検出するテストを使い分けます。
Bulge Sign(バルジサイン/Wipe Test)
手順:患者背臥位、膝伸展位。検査者は内側膝蓋骨周囲の窪みを大腿側から膝蓋骨上方へ向かって2〜3回ストロークし、続いて外側膝蓋骨周囲を上方から下方へストロークする。
陽性所見:内側に膨らみ(bulge)が出現。
対象組織:膝関節滑液包(少量〜中等量水腫)
感度/特異度:感度 29%(少量水腫検出)
Sturgill 2009[11]
臨床のポイント:少量水腫の検出に有用だが、Modified Stroke Testの方が感度が高い。
Modified Stroke Test(モディファイドストロークテスト)
手順:患者背臥位、膝伸展位。検査者は内側膝蓋骨周囲を大腿側へ向かって2〜3回ストロークし、続いて外側を下方にストロークする。Sturgill分類で重症度(Trace, 1+, 2+, 3+)を判定。
陽性所見:水腫の波動(fluid wave)が観察できる。
対象組織:膝関節滑液包
感度/特異度:感度 70〜82%(少量〜中等量水腫検出)、検者間信頼性 ICC 0.86
Sturgill 2009[11]
臨床のポイント:Bulge Signより感度が高く、4段階で重症度評価可。経時変化(リハ進捗の客観評価)に有用。
5. 膝蓋骨
膝蓋大腿関節障害(PFP:Patellofemoral Pain Syndrome)や膝蓋骨不安定症の評価。Q-Angleや膝蓋骨アライメントは静的、Apprehensionは動的(不安感)所見。
Moving Patellar Apprehension Test(ムービングパテラアプリヘンションテスト)
手順:患者背臥位、膝伸展位。検査者は両母指で膝蓋骨を外側に押し、患側膝をゆっくり屈曲(90度まで)させる。次に膝蓋骨を内側に押して屈曲。
陽性所見:外側押圧での屈曲時に「外れそう」な不安感(apprehension)が出現し、内側押圧では消失する。
対象組織:内側膝蓋大腿靭帯(MPFL)、膝蓋骨不安定症
感度/特異度:感度 100%/特異度 88%(外側脱臼性膝蓋骨不安定症)
Ahmad 2009[12]
臨床のポイント:膝蓋骨脱臼既往者の評価で極めて有用。「不安感」を陽性とすると特異度が上がる。
Patellar Compression Test(膝蓋骨圧迫テスト/Clarke's Sign)
手順:患者背臥位、膝伸展位。検査者は膝蓋骨上縁に手のひらの根を置いて下方へ押し付け、患者に大腿四頭筋を能動収縮させる。
陽性所見:膝蓋骨後面の疼痛、または収縮できない。
対象組織:膝蓋大腿関節(軟骨、滑膜)
感度/特異度:感度 39〜49%/特異度 67〜75%(PFP)
Cook 2012[13]
臨床のポイント:健常者でも軽度の不快感が出るため、症状再現と左右差で判定する。
Patellar Tilt Test(膝蓋骨傾斜テスト)
手順:患者背臥位、膝伸展位。検査者は膝蓋骨外側縁を持ち、内側縁を浮かせる方向(lateral tilt 解除方向)に動かす。
陽性所見:膝蓋骨外側縁が水平面以上に挙上できない(外側支帯の短縮)。
対象組織:外側膝蓋支帯
感度/特異度:限定的データ(信頼性研究は中等度)
臨床のポイント:外側支帯のタイトネス評価。陽性なら外側支帯リリースの介入適応を検討。
Q-Angle Test(Qアングルテスト)
手順:患者背臥位または立位、膝伸展位。検査者はゴニオメーターを膝蓋骨中心に置き、ASIS(上前腸骨棘)と脛骨粗面を結ぶ2線のなす角度を測定する。
陽性所見:男性 14度以上/女性 17度以上で過大(PFP発症リスク)。
対象組織:下肢アライメント(PFP関連)
感度/特異度:単独でのPFP予測力は低いとの報告(Lankhorst 2013)
Lankhorst 2013[14]
臨床のポイント:単独所見としての診断価値は限定的だが、Knee-in(knee valgus)パターン評価の補助として使う。動的Qアングル(着地時の膝外反)の方が予測力が高い。
6. 臨床応用のコツと注意点
ACLは「Lachman+Pivot Shift」のセット運用
Lachman(感度高)で陰性なら除外、陽性かつPivot Shift陽性で確定に近づきます。Pivot Shiftは覚醒下では患者の防御反応で感度が低いため、陰性でも除外できない点に注意。
PCLは「Posterior Sag → Posterior Drawer → Quad Active」の順序
Posterior Drawerの前に必ず Posterior Sag Sign で初期位置を確認。脛骨が後方に落ちている状態でDrawerを実施すると、Anterior Drawer陽性に見えてしまうため。Quad Active の特異度が極めて高いため、3つすべて陽性なら PCL損傷ほぼ確実。
半月板は「複合所見クラスター」で判定
関節裂隙圧痛+McMurray陽性+Thessaly陽性 の3つが揃えば陽性的中率は80%以上に達します。単独テストの感度・特異度は限定的なので、必ず複合判定を。
急性期は感度低下を考慮、亜急性期に再評価
受傷直後は腫脹・防御性筋収縮で感度が大きく低下します。急性期で陰性でも、腫脹が引いた1〜2週後に再評価することが重要。
膝水腫は「Modified Stroke Test」で重症度評価
Bulge Sign(陽性/陰性のみ)よりModified Stroke Test(Trace〜3+の4段階)の方がリハ進捗の客観評価に向きます。経時的に同じテストで評価し続けることが重要。
Q-Angleは動的評価で補完する
静的Q-Angleの単独予測力は低いため、片脚スクワット時の動的knee valgus(FPPA:Frontal Plane Projection Angle)と組み合わせて評価します。
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7. 参考文献
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理学療法士として整形外科クリニックで3年間勤務し、肩・膝・腰など運動器疾患のリハビリテーションに従事。BCリーグ(プロ野球独立リーグ)のチームトレーナーとしてアスリートのコンディショニングに携わるほか、東京2020パラリンピックでは理学療法士ボランティアとして車椅子バレーの競技サポートに参加。







