15日中医協総会が開かれ「入院(その8):高齢者の救急患者等に対応する入院医療について」の議論が行われました。2024年度の診療報酬改定では、高齢の救急搬送患者の病棟受入れが重要課題です。高齢者の増加に伴い、軽症・中等症患者の受入れが増え、これに対応するための新たな方策が求められています。特に、回リハ病棟や地域包括ケア病棟に多くのリハ職が配置されているため、急性期病棟では手薄になりADLの低下や寝たきりのリスクが高まる可能性が指摘されています。
このため、急性期病棟での必要十分なリハの実施、地域包括ケア病棟での救急搬送患者受入れ強化、急性期病棟から地域包括ケア病棟への転送推進などの手法が検討されています。しかし、これらの手法だけでは十分ではなく、特に介護分野の人手不足や地域包括ケア病棟の看護配置の問題点があります。
高齢患者の栄養面や口腔面での課題を踏まえ、リハビリ・栄養管理・口腔管理の一体的実施が必要であり、急性期病棟・地域包括ケア病棟での多職種連携の不足が指摘されています。この背景から、高齢救急搬送患者への包括的対応を診療報酬で評価する提案が行われました。この提案は、新たな病棟や入院料の創設を含むもので、急性期病棟や地域包括ケア病棟の課題解消を目指しています。
この提案に対して、委員からは、高齢救急患者への多方面アプローチの重要性や、病棟に包括的な機能を持たせることの適切さが支持されました。特に、10対1看護配置の想定や、リハビリ、栄養管理、退院支援、在宅復帰支援などの機能が強調されています。
診療側委員からは、高齢の救急搬送患者への包括的な対応の評価に賛意が示されました。長島委員(日本医師会常任理事)は、「現場が新たな評価へ移行するための時間と適切な制度設計(人員配置、入院料)が必要」と指摘。太田委員(日本医療法人協会副会長)は、「高齢患者に適切に対応するためには、相応のマンパワーと報酬設定が必要」と述べ、現在の入院料がこれを反映していないことを懸念しました。また、池端委員(日本慢性期医療協会副会長ほか)は、「人員配置を賄うだけの報酬設定が必要」と強調しました。支払委員から指摘では、「急性期病棟ではリハビリ力にバラつきがある」との意見が出ましたが、一定数のリハ職を配置している病棟も少なくありません。
このように、高齢救急搬送患者への包括的な対応の方向性は了承されていますが、具体的な施設基準や点数設定については今後詳細な議論が行われます。急性期一般2-6病棟のリハ職等の人員配置を行いつつ、高齢救急搬送患者への包括的な対応を行う新たな病棟の新設などが考えられます。今後の議論により、具体的な方向性や対策が明らかになることが期待されます。
▶︎https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001178990.pdf
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