リハビリテーション関連医療費は、4か月連続で全体医療費の伸びを上回る+4.2%(確定)を記録。75歳以上の医療費は+3.8%、90歳以上の入院件数は前月比+0.2pt増と、高齢層におけるリハビリテーション需要の継続的・構造的な増加が顕著です。在宅〜生活期への移行支援や多職種連携体制の強化が今後さらに重要になります。
厚生労働省が発表した「最近の医療費の動向(MEDIAS)」令和6年度2月分のデータによると、リハビリテーション関連の医療費が4か月連続で全体医療費を大幅に上回る伸び率を示しています。
医療費全体とリハビリテーション料の比較動向
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全体医療費(令和6年2月):+3.5%
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リハビリテーション料(入院外):+4.2%(確定)
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リハ料は全体医療費を0.7ポイント上回る伸びで、4か月連続の高成長
リハビリテーション料と全体医療費の月次推移比較
月 | リハ料伸び率 | 全体医療費伸び率 | 差 |
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11月 | +7.2% | +2.2% | +5.0pt |
12月 | +5.4%(推定) | +3.3% | +2.1pt |
1月 | +4.8%(推定) | +3.8% | +1.0pt |
2月 | +4.2%(確定) | +3.5% | +0.7pt |
※リハ料2月分は「表Ⅴ-3-1」掲載の確定値です。
後期高齢者(75歳以上)医療費の構造的成長
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75歳以上医療費:+3.8%(前年同月比)
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75歳未満医療費:-0.9%(前年同月比)
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11月の+7.3%からは鈍化傾向ながら、高水準を維持
この結果、医療費全体の伸び(+3.5%)を支えているのは75歳以上の高齢者層であることが明確です。医療資源の集中的活用と、機能回復から生活支援型リハへのニーズ転換が進んでいます。
年齢層別:90歳以上で再び上昇
年齢層 | 2月伸び率 | 前月比差分 | 備考 |
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75〜80歳 | +5.4% | ▲0.4pt | 安定した成長 |
80〜85歳 | +5.8% | ▲0.3pt | 高水準維持 |
85〜90歳 | +4.6% | ▲0.3pt | 鈍化傾向 |
90歳以上 | +4.4% | +0.2pt増 | 再加速傾向 |
特に90歳以上層の入院件数が前月比で増加に転じたことは、リハビリ提供体制の在り方に大きな影響を与えます。
疾病分類別:リハ対象疾患の堅調推移
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筋骨格系疾患(入院外):+2.9%
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損傷・中毒・外因(入院外):+3.4%
2023年11月の損傷・外因(入院)+10.7%の急増以降、リハ対象疾患は緩やかな減速を見せつつも、高位で安定推移。特に冬季に多発する転倒や骨折からの外来リハビリ移行が活発です。
医療機関別動向:整形外科診療所がけん引
区分 | 医療費伸び率(2月) | 前月比差分 | 特徴 |
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医科病院計 | +3.4% | ▲0.5pt | 入院主導型の安定成長 |
医科診療所計 | +2.5% | +0.2pt | やや持ち直し傾向 |
整形外科診療所 | +3.8% | ±0.0pt | 高水準を維持 |
整形外科診療所が地域の運動器リハビリの拠点となっており、在宅〜外来〜入院の連続的ケアを担保する要所としての重要性が高まっています。
まとめ:高齢化対応フェーズの転換点に
令和6年2月のデータは、リハビリテーションが高齢者医療の主軸として確立されつつあることを改めて示しています。90歳以上への対応が本格化する中で、今後は単なる疾患ベースの機能回復から、生活・地域・社会をつなぐリハへと展開していくことが求められています。
今後もこの成長を「質と継続性」で支える専門職・経営戦略の両輪が不可欠です。
出典
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表Ⅰ-2、表Ⅴ-3-1、表3・4-2-a、電算処理分(202502-1.xlsx)
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筆者による推定値(12月・1月リハ料):関連指標と時系列トレンドに基づく
【合わせて読む】
・令和6年度2月「最近の医療費の動向(MEDIAS)」