境界線の引き方と手段
こんにちは。寒い日が続いていますね。
今回は、冬に使える車椅子ユーザーさん向け裏ワザをコッソリ(?!)交えながら、お話ししたいと思います。
第2回では、『“○○したい!”と言っていただける関係性の構築』について。
そして第3回では、“○○したい!”に対して、『セラピストとゲストさん(患者さん)が一緒に境界線づくりをする大切さ』についてお話しをさせていただきました。
境界線とは、その人の身体機能・経験・生活様式・環境等と、セラピストの知識・技術を掛けあわせて始めて、一人ひとりの患者さんにとってピッタリの線を引くことが出来ると考えています。
ですが、セラピストが正しく身体機能を評価しても、解決するための知識・手段を持ちあわせていないと、境界線はとても狭い範囲で引かれてしまい、患者さんの選択肢は限られたものになってしまいます(安全ですけどね)。
前置きが長くなってしまいましたが、今回は続編、『境界線の引き方と手段』についてです。
私は、セラピストとして次にやるべきことは、『ゲストさんが◯◯したい!と言った希望は実現可能か、本人に判断する力をつけてもらう』ことだと考えています。
車いすに1日乗ったご経験は?
私自身、普段は臨床に出ています。
そこで例えば、「岡野さんあのね、僕今までずっとテニスと水泳をやってきたんだ。何かまたスポーツ始めたいな。」
と患者さんから言われたら、めちゃくちゃ焦る訳です。
なぜなら、私はテニスが大の苦手。水泳も自己流で水をガブガブ飲みながら何とか泳いでいるレベルです。
身体機能をどんなに正しく評価できていても、
セラピストがその分野に対する知識・手段を持ち合わせていないと、患者さんが願うゴールが“不可能”なものになってしまう可能性があります。本来であれば可能であっても、です。
さあ、これを車いすユーザーさんのファッションの世界へ落とし込みます!!
この時期、“綺麗な色のコートが着たい!”と車いすユーザーさんから多くの声をいただきます。
ですがみなさん、車いすに1日乗ったことありますか??
袖口が、ビックリするほど汚れます。
(私もこの日着たパステル色のニット、ダメにしました…。)
さてここで、汚れはつくものだからね〜、せめてネイビーくらいかな??と言ってしまいますか?!
もしあなたの頭のなかに、このようなコートのデザインを知識として持ち合わせていたら…。
白いアウターはちょっとリスクが高いですが、明るいグレーやキャメルまでなら、チャレンジ出来そうですね。
選択肢が少し拡がりました^^
ただ、上の写真のようなデザインのコートは数が少ない…。
ここで手段を用います。
①ゴムやシュシュを用意
②袖をまくり、ゴムやシュシュで留める
③上から被せる
これなら、ユニクロのお買い得なダウンジャケットも、冬物セールで一目惚れしたコートも、デザインを損なわずに着ることが出来ますね^^
かつインナーの色を変えると、1つのアウターで何通りにも楽しむことができます。
このように、リハビリ×様々な知識×手段で、ゲストさん(患者さん)の選択肢をどんどん拡げることができます。
ファッション・スポーツ・旅行・ギャンブル・仕事…。
全ての知識や手段を、1人のセラピストで賄うことは現実的ではありません。
ですが、自分の興味のあること・好きなことは、とことんリハビリに落とし込んでいくと、普段の臨床が面白く、かつ患者さんの選択肢が拡がっていくと信じています。
みなさんは、どんな分野の境界線づくりのプロになりますか^^?
P.S. 1/23『車椅子でお買い物ツアー@大阪』無事終了しました。
たくさんのお問い合わせ、ありがとうございました!
次はどこへ行こうかな^^
お声がけ、お待ちしております!!
【目次】
岡野菜摘先生経歴
『大好きな服を着て 大好きな人と 大好きな場所へ』をモットーに、 理学療法士の知識と技術をファッションに混ぜ込みながら、ブログで発信。
また、デザイナーの鈴木綾と共に、イベント『車いすでお買い物ツアー』を実施中。 外出のきっかけ作りや、仲間作りを、ファッションを通して創造している。
選択肢を増やし、自ら選択することの楽しさを伝えることで、車いすユーザーが、 自分らしく生きることのできる社会を目指す。
ブログ:「あのモデルさんと同じ服が着られた!車椅子女子の表参道ファッション」
HP:「車いすファッションプロデュース」