勤務外活動を行う場合に壁となる「就業規則」
その中で私たちの業界では、多くの事業所が「副業の禁止」を謳っているようです。
では、これに法的な制限があるかというとそういうわけではありません。※雇用契約などで例外もありますが。
むしろ仕事時間以外の生活について拘束する方が問題という考え方もあります。
では、なぜ多くの事業所で兼業が禁止されるのでしょう?
要素として主に挙げられるのは以下の項目です。
・業務への支障が出る
・事業所のブランドイメージに影響する
・例外を出したくない
・古い慣習に凝り固まっている
ではこれらがなぜ挙げられるのでしょうか?
また、これらをクリアするにはどうすればよいのでしょうか?
業務への支障への対応
雇用先がこれを気にするのは当然です。
また、日頃の勤務態度が悪いと兼業など話になりません。
仮に勤務態度が良くても「兼業なんかしたら何かしら影響が出てくるのでは?」と考えるのが人というものでしょう。
では、業務への支障という部分をクリアするにはどうすればよいのか?
それは、常日頃より「人よりも多く」「人よりも確実に」仕事をすることです。
「こいつなら大丈夫」そう言われるぐらいまずは「今すべきこと」「やらないといけないこと」を確実にすることです。
そして事業所にとって必要な存在という”信頼を得る”こと。これがこの問題をクリアしやすくします。
事業所のブランドイメージに影響する事への対応
個人で活動するにしても、”○○病院のだれだれ”というものはついてまわります。
事業所にとって大事なのは、兼業という活動で事業所の名を落とす可能性はないのか?ということです。
例えば、兼業として行う事が一般的な雇われのアルバイトの場合「○○病院のAさんがアルバイトをしている」というのが世間に知れた場合の印象はどうなのか?ということですね。
正直、こういった事例の場合、兼業許可をもらうのは難しいです。
「○○病院では十分な給料がないからアルバイトしているんだね」なんて世間から思われたら病院もたまったものではありません。
ただ、それがNPOなどを設立した社会活動の場合「通常は○○病院で働かれているのですか!その上でこんな活動をされているとは!」と評価を頂く場合もあります。
だからといって、NPOを設立すればよいというものではありませんが、病院の広告塔としてメリットがあると認識されるような活動であればこの問題はクリアしやすいと考えています。
例外を出したくないという事への対応
今まで兼業は認めてなかったが一人を認めると収拾がつかなくなるのでは?と考える事業所さんは多いでしょう。
ただ、そこは上記で挙げた内容と一緒で、日ごろの働きぶりで歴然たる違いをみせるのと、事業所にとってプラスになる活動と認めてもらう事でクリアできると考えています。
古い慣習に凝り固まっている方への対応
働き方の変革期である現在、必ず従来の働き方をされてきた方々とぶつかります。これはしようがないことです。
ただ、そう言った方々の場合、その多くは安定的な地位にあられる方だと思います。とはいっても力ずくで押さえつけるわけにもいきません。自分がなぜ兼業をしたいのか、切々と説き理解をしてもらうしかありません。
どうしても無理ならば職場を変わることも検討しましょう。なにかをしようとする時、時間だけは待ってくれません。
総合的に、留まるべきなのか飛び出すべきなのかよくよく考えて選択しましょう。
いかがでしょうか?
すべての面で大事な事は、今働いている職場に対し否定的な印象で兼業を始めてしまう事や、悪い影響を与えてしまう兼業は成立しにくいということです。
まずは、今いる場所を大切にできるのか?そこにプラスをもたらせるのか?これを考えてみてください。
私個人の場合で言うと、兼業の代わりにPTとしての通常業務に加え、病院HPの作成、管理運営や病院イベントの案内作成など行っているのですが、特にこれに関して別途手当てなどもらっていません。本来なら月数万円するものを無料で対応するスタッフがいるというのは、病院にとってもメリットがあるはずです。
また、今まで異業種の方々にも数多くお会いし、名刺もたくさんのお渡しさせていただきました。病院というのは、医療法における医療広告ガイドラインに沿う必要があり、積極的な広報はできません。なので、外での活動を通じ名刺をお渡しし仕事についてお話する機会と言うのは病院にとって実に貴重な口コミなのです。
このように自分のやりたい事ばかり先行させず、現状を冷静に考え、今の職場にいかに貢献できるか?兼業で得たものをどう活かすか?ということも考え、プレゼンできるかが兼業成功への第一歩だと思っております。
では次回は、兼業による労働基準法違反についてお伝えできればと考えています。
*セラピストのためのマナー講座 目次
- 【第1回】マナーの基本とは?
- 【第2回】相手の時間の使い方
- 【第3回】相手の人生歴や生活歴を考慮する
- 【第4回】勤務外活動のモラルとマナー
- 【第5回】勤務外活動の壁となる「就業規則」
文責
POST編集部(国家試験対策責任者):野田卓也RPT