第二回:監視型運動療法から日常生活の身体活動量の増加へ【日本糖尿病理学療法学会 副代表運営幹事|井垣 誠先生】

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テレビ視聴時間は2型糖尿病、心血管疾患の罹患率に関係する

 

―――最近の取り組みは?

登録患者数について、現在は以前と比べるとかなり減りました。この体制では、監視型の運動療法となるため、確実に通院して運動頻度を確保すれば、必ず結果が伴ってきます。

 

ですが、この取り組みは、週2~3回の通院が可能な限られた患者さんにしか対象にできないものでした。最近の動向としては、生活活動というところに厚労省も着目しており、監視型の運動療法で行うエルゴメーター運動やレジスタンス運動は、1日の生活の中のほん一部でしかありません。

 

より生活活動の中で体を動かすということに着眼点を置かれている昨今では、日常生活での身体活動量の把握が大事になります。

 

近年、テレビ視聴時間と2型糖尿病や心血管疾患の罹患率に関係があるという研究結果が示されています。つまり座位時間が生活の中で多いと病気になりやすいということです。

 

それから、週単位で十分な運動量がある人でも生活の中での座位時間が長すぎれば、病気になるリスクは低下しないということが言われています。ですから、患者さんがここで運動をいくら頑張っても、自宅でじっとしすぎていれば効果が少ないということが現在の課題です。

 

取り組みを始めた頃は、患者さんの血糖値や体重が落ちることが、すごく嬉しくて目先の目標ばかりに注目していました。頭の中では「糖尿病合併症を予防する」という目標が重要だとわかっていても、すぐに結果が見出せないアウトカムに対しては何もできない状況でした。

 

色々と考えていく中で「動脈硬化を予防する」にはどうすればよいかということで、そこで着目したのが、血流依存性拡張反応(Flow Mediated Dilation:FMD)や脈波伝播速度でした。

 

そして、それらを指標として血管機能の評価を行い、運動療法との関連を検証していきました。現在進行形なのですが、「糖尿病の重症化予防」を一つのキーワードとして、運動・身体活動がどこまで貢献できるかを検討していきたいと計画中です。

 

今までは、ここに通って来ることができる比較的元気で意欲的な人を対象に研究してきましたが、これからはここに来られない方も対象にしていきたいと思っています。そのために地域医療連携を構築することや行政の協力もいただきながら広域の人を対象とする方法を模索している段階です。

 

情報交換できる理学療法士との出会い

 

ここまで話したのは私の中での運動療法の話ですが、理学療法の世界もかなり進化し、まず情報交換ができる理学療法士の仲間が増えました。十数年前は糖尿病に興味を持っている理学療法士の数は極めて少なく、日本糖尿病学会に参加しても理学療法士の参加が2~3名という時代でした。

 

そうしていくうちに理学療法士の中でもいろんな研究をしている人がいることを知りました。

 

身体活動量の評価手法、糖尿病神経障害に関連した筋力低下やROM制限、糖尿病足病変、行動科学的理論に基づく教育手法、糖尿病腎症と運動耐容能など、糖尿病の勉強をする中で様々な人に出会い、多くのことを気づき、いろんな視点が持てるようになりました。

 

*目次

第一回:運動療法の達成感を味わってもらいたい

第二回:監視型運動療法から日常生活の身体活動量の増加へ

第三回:糖尿病に関する運動療法を生理学からわかりやすく解説

最終回:先生にとってプロフェッショナルとは?

 

日本糖尿病理学療法学会の情報

|設立の趣旨

糖尿病は増加の一途を辿る国民病であり、理学療法士には糖尿病の基本治療である運動療法の専門家として、糖尿病チーム医療の主軸を担うことが期待されています。

理学療法士による糖尿病患者への関わりは世界的にも類がなく、また、糖尿病理学療法に関するエビデンスは蓄積されていません。本学会は、糖尿病に対する理学療法の理論、介入方法および効果検証に関する学術研究の振興と発展を図り、世界に先駆けて糖尿病理学療法学の体系化を目指します。

また、理学療法診療ガイドラインや成書の作成、糖尿病理学療法を専門とする人材育成への活動も推進します。

引用:日本糖尿病理学療法学会HPより

 

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井垣 誠先生のプロフィール 

所属        

公立豊岡病院日高医療センター リハビリテーション技術科 科長

 

資格        

専門理学療法士(内部障害)、認定理学療法士(代謝)、日本糖尿病療養指導士

 

学 歴

1991年 川崎リハビリテーション学院 理学療法学部卒業

2012年 兵庫県立大学大学院環境人間学研究科 博士前期課程修了 修士(環境人間学)

兵庫県立大学大学院環境人間学研究科 博士後期課程 在籍

 

学会等での活動

<日本理学療法士協会>

2013年~日本糖尿病理学療法学会 運営幹事

2015年~同学会 副代表運営幹事

2014年~理学療法学 査読委員

               

<日本糖尿病療養指導士認定機構>

2014年~編集委員会委員

 

<兵庫県理学療法士会>

2009~2015年         健康増進部 部長

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