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第四回:ナンパをしたら給与が上がる??【羽田真博先生】

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認定理学療法士と認定看護師の今後

 

―私は最近、理学療法士と作業療法士のはっきりとした差が無いのも、問題かなと思っています。もう少し理学療法士が作業療法士の職域を奪っていくくらいの感じで争ったほうがいいのではないかと思うんですけど、その辺はどうですか?

羽田先生 数という意味では、政治的な連携という部分で、協調が大事になるかなと思います。ただ、確かに現場では一緒くたにみられている傾向があると思います。「リハビリのヒト」として。ですから、差異を創りたいのであれば、そこをどう魅せていくかという考え方や行動が大事だと思います。皆さん、ショッックかもしれませんが、医師や看護職や介護職といった、日頃、関わることの多い職種の方々にさえ、よく分かってもらっていませんから。身近な方々に分かってもらえないのに、社会にその差を分かってもらおうというのは、少し、背伸びし過ぎかなとも感じます。

 

私の学生時代は、作業療法士の守備範囲の1つとして高次脳機能障害に対するアプローチというイメージが強く残っています。でも、私が臨床に出始めた10年ちょっと前あたりから、脳科学の分野に理学療法士の論文投稿が増えはじめました。それで、高次脳機能障害に対しても理学療法士の関わりが強くなってきたんですよね。

 

で、その時に作業療法士が何をしたかというと、確か、「大腿骨頚部骨折の作業療法」といったようなテーマで作業療法ジャーナルを出されたんですよね。印象深く残っています。その辺で、混ざったのではないかなと思っています。


個人的には、資格の差別化って、エンドユーザーや雇用する側にとっては、人員基準の部分はさておき、そこまで大きな問題ではないというか。優秀なら、どっちでもいいんですよね。優秀な人が、結果、PTだった、OTだったってだけで。ですので、資格で差を魅せるというよりも、能力で魅せる、成果や実績で魅せる方が大事ではないかなって思いますね。少なくとも、私の採用基準には、PT、OTというのは余り関係ないです。何をしてきたか、何が出来るか、これからどう成長したいかの方が遥かに重要です。

 

理学療法士協会が衆議院でPTを候補者として出さなかったことに対してどう思いますか?

 

羽田先生 それは協会に聞いてほしいんだけど。笑 「周囲には、変化の大きい時に出してほしかった」という意見があるのも事実ですし、チャンスもそれまでにあったとは思います。今回、作業療法士の方は当選していますよね。実際、山口議員が当選したとき、国会議員が一人いるかいないかで全然違うんだなと、関係者の方々はかなり感じたとお聞きしています。

 

協会が、どれだけ戦略的に選挙と向き合ったかどうか、そんなことは私には分かりませんが、先ほども少し話しましたけど、国会議員は多いに越したことはないですね。有資格者が現場だけではなくて、国政・行政に対して意見を伝えることができる立場にいることは本当に大事だと思います。ライセンスを持っていない人に代弁して貰うより、ライセンスを持っていて、感覚的に近い方に代弁してもらう方が絶対に良いですからね。

 

認定理学療法士とか最近話題に上がったと思いますが、看護師も含めて認定資格とかって今後どうなっていくと思いますか?

 

羽田先生 認定看護師と比べて、明確に違うのは、資格取得コストでしょうか。今の認定理学療法士を取るためには、そんなにコストがかからないですよね。時間的、金銭的負担が少ない。また、点数が取れるかとれないかっていうところも違いますね。特に診療報酬に結びつく認定看護師は分かりやすく病院に金銭的な価値をもたらすわけで。

 

セラピストの認定制度が、今後どうなっていくのか、というのはその部分も重要だと思います。診療報酬が付くか付かないか。今の業界の雰囲気的には、あんまり資格取得に積極的ではない空気があるのかなという気がしますけどね。

以前、たまたま学生さんがそれについてSNSで投稿しているのを見たんですよ。その学生さんが取得出来る頃には、新しいプログラムなのですが、「それだけの時間とお金をかければ給料は上がりますよね」と書いていたのを見たときには、正直「この感覚は、まずいな」と思いました。

 

認定資格取得後、その価値を組織や周囲が認めて、はじめて「それなら給料上げようかな」という話なら分かりますが、自分は頑張った、努力した、だから給与は上がるはず。その感覚は危険だなと思いました。学校で、そういうことも教えた方がいいと思いますね。市場価値の決まり方とかね。

 

一応、平成33年から始まるって言われていますよね。

羽田先生 制度が浸透するか否かについては、あまり長期戦にはならないと思っています。社会保障制度の維持が厳しい中で、診療報酬上、国がそこに付加価値をつけるかどうかは分からないですが、例えば脳卒中の認定をもっている人がいて、病院で脳卒中の人だけを診るのかといえば、全然違う患者さんも担当すると思うんですよ。

 

そうなった時、機能するのかというところですよね。多くの認定看護師は、病棟や外来に配属されているので、その辺は大丈夫なんです。たまに意味の分からない配属をする病院もあるようですが(苦笑)。

 

セラピストの場合はどうしても1対1になるので、エンドユーザーに対して、認定理学療法士としての価値が出せるのか、その価値はアウトカムレベルで差異があるのか、仕組みとして機能するのか、というのが課題かなと思います。

 

その辺りの細やかな整備をどうするのかな?と。作業療法士、言語聴覚士の認定資格はどうなるのかな?と。ただ、採用する側としては、10年20年経験あります。という人より、何らかの認定資格をもっている人の方が、プロデュースをしやすいので、採用したいと思う可能性は高まりますね。

 

ナンパから学ぶコミュニケーションスキル

 

―20代半ばくらいの人たちが、身に着けておいた方がいい能力ってなんですかね?

羽田先生 経済学とコミュニケーション能力。経済学でいえば市場原理とか物の価値がどうやって決まるかとかですね。そういったものを知っていると、人生の為にもなるしキャリアアップにも繋がってくると思います。

 

どうやって勉強しているんですか?

羽田先生 最近はいくらでも情報が落ちているので、それをまとめているサイトを眺めているだけでも考え方は変わってくると思うんです。「医療しか知らない」とか「医療(介護)保険の中のことしか知らない」となってくると、まずいと思います。

 

例えば、今日、有楽町駅からここまで(銀座)来るまでにフルーツ屋さんがあったんですけど、めちゃくちゃ高くて、シャインマスカットが3000円もするんですよね。それが僕の地元のスーパー、サンヨネだったら、同質のものでも半額くらいなんですよね。でもそうやって、その値段で出すということは、それなりのマーケティングをして、価格が決定されているわけで。あくまでも一例ですけど、どうやって物の価値が決まるのかということを、疑問にもつことからでも始めてほしいなと思います。
少なくとも、経営サイドが考えていることは分かるようになりますし、この業界は経営人材が少な過ぎますし、異業種に比べて、その辺りの感覚も遅れをとっていますから、勉強することをお勧めします。

 

コミュニケーション能力でいえば、患者さんと毎日話をしているから、自然に身につくんじゃないか?と思う人もいると思うんですが、その辺はどうですか?

羽田先生 それは根本的に間違っていると思いますね。リハビリの先生と患者さんという関係性の中で行われるコミュニケーションというのは、環境に後押しされたコミュニケーション環境ですから、そこでどれだけ毎日話をしても、スキルとしては頭打ちだと思います。

 

ではどうしたらいいんでしょうか?

羽田先生 低コストでスキルを上げるという意味ではナンパをお勧めします(笑)。

 

ナンパは脳科学や心理学、行動科学を学んだ成果を確認する臨床の場と言い換えることもできます。学問なのです。ナンパは、前提条件として、話を聞いてもらえるか、足を止めてもらえるか分からない状況からスタートするわけです。合コンよりも厳しい条件ですよね。飛び込み営業に近いものがあります。いや、それよりも難しい。商品は自分自身ですから。そして、数十秒で相手にとって必要な価値を提供しないと、その先はありません。ただ、そのような厳しい環境に自らを落とし込むことが成長の糧になるのです。やみくもにやっても質は上がりません。常に、文献と臨床の場を往来することによって、正しい努力を正しく行い、打率を上げていくわけです。結果、セルフブランディング能力も交渉力も提案力も上がります。

 

同じ商品を扱った場合、爆発的に売る営業マンと売ることのできない営業マンがいます。その差は、こういった部分にあると私は思っております。

 

このような普遍的なスキルは、マネジメントや採用、様々な交渉の場面でも役に立ちます。ナンパをしたら給与があがるかもしれないという意味は、こういった側面があるからなんですね。

 

女性の場合はどうしたらいいですか?

羽田先生 女性の場合は、少し語弊があるかもしれませんが、ガールズBARやキャバクラ等で働いてみると、嫌でもコミュニケーション能力が身に付くと思います。上手ないなし方や値踏みされる感覚を知るというのは、社会人スキルの向上に役立つ側面もあると思っています。「そういうところで働くのは良くない」と言われる人もいますが、それには共感出来ません、そこで働くことでなにか悪いことをしない限り悪いという風にはなりませんし。 

 

そう思うのは、その人たちの暗黙のルールというか価値観ですよね。価値観の押しつけ。無関係な他人の不倫を叩くのと一緒だと思います。

 

外に出ていってみて、何かしらの結果を出してみる、経験してみるというのはすごく大事なことだと思います。外で何かを得られると、それがキャリアに繋がることもあると思いますし、若い時の方が打席に立ちやすいと思います。越境学習と言いましょうか。沢山、打席に立って、沢山、失敗する。その経験ができる期間というのは、どれだけ平均寿命が伸びようとも変わりません。

 

最後に、羽田先生にとってプロフェッショナルとは?

羽田先生 成果を出し続ける人

 

 

【目次】

第一回:祖父の死で感じた逝き方を選択するということ

第二回:理学療法士の技術を活かせなかった病院勤務時代

第三回:価値ある人間であれ

第四回:ナンパをしたら給与が上がる??

最終回:仕事は遊び。マルチプルに活躍するための10冊

 

羽田真博先生のプロフィール

看護師/理学療法士/介護福祉士

職歴

2006年4月:医療法人 仁斎会 国府病院 理学療法士

2012年4月:岡崎市民病院 看護局 看護師

2014年1月:協和ケミカル株式会社入職 

同年5月:総合ケア在宅支援事業部 

       キョーワ訪問看護リハビリステーション 寄り添い屋開設 マネージャー就任

2018年1月:株式会社 AGRI CARE入職 新規事業開発部 部長就任

 

その他

一般財団法人 日本尊厳死協会東海支部 理事

エンディングサービスセンター かかりつけライフマネージャー

自立支援リハビリテーション研究会 役員

株式会社COCOHALE 温故知新プロジェクト「-tsutau-つたう」 PR/プレス

医療・介護「働き方改革」推進協会 世話人

POTENTIALIZE(ポテンシャライズ) 

販売戦略室室長/適性・性格検査ポテクト 公認エバンジェリスト              ・・・等


 3次救急病院ERから療養型病院、介護施設、在宅まで様々な領域で経験を積み重ねてきた過程で得た「見る・視る・観る・看る・診る」といった多角的な視点と、職種・領域の違いによって起こる連携上の課題を実践知として経験していることが最大の強み。多様な「み方」を用いて、臨床・共育・組織マネジメント・異業種連携に携わっている。 弱みは、一つの領域に対する経験の浅さと、女子からの「おねだり」と「お願い」。座右の銘は、「日々是愛撫」。

第四回:ナンパをしたら給与が上がる??【羽田真博先生】

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