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産後の悩みの解消へ

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少子化が進む日本ですが、街で周りを見渡せば意外と多くの妊婦をお見かけします。「妊娠中あるいは出産後の女性は幸せでいっぱい」と思いがち。しかし、誰にも言えない不安や、悩みも多く持っておられます。

広島国際大学リハビリテーション学科 教授

蒲田和芳

 

今回はそんな悩みの一つにあげられる、産後の「尿失禁(尿漏れ)」について書きたいと思います。尿失禁は産後の女性の約半数が経験するというデータが物語るように、とても多くの女性に発生するトラブルです。産後の尿失禁で悩んでいる女性の方だけではなく、ご家族のため、もしくは患者様のために男性セラピストにも是非読んで頂きたい内容です。
 

 

■ 尿失禁のメカニズム

尿失禁のメカニズムは、加齢や出産により骨盤底筋や尿道周囲の支持機構の機能低下や尿道そのものの機能の破綻、などと書かれているのを目にしたことがあります。骨盤底筋の機能低下についてはよく語られていますが、産後における尿道や膀胱の問題、あるいは癒着の問題はあまり知られていません。これらを癒着の観点からみると以下の様に考えられます。

1)妊娠中の子宮による膀胱への圧迫により、膀胱が腹横筋、子宮及び膣外壁、外腸骨静脈などと癒着する。これらの癒着が生じると、

・膀胱と腹横筋の癒着は、咳などの速い腹横筋の収縮において膀胱が揺らされ、排尿反射を誘発する可能性がある。

・膀胱と外腸骨静脈の癒着は、座位から立位になったときなど股関節伸展において膀胱を下方に引き下げ、尿道をたわませる可能性がある。

・膀胱と子宮の癒着は、出産後の子宮の収縮によって膀胱を後下方に引き込み、膀胱を後屈させる。重度の場合は膀胱瘤となる。

・この膀胱の位置変化は尿道を曲げてたわませる可能性があり、尿道括約筋の機能にも影響を与える

切迫性尿失禁の場合、ほとんどのケースにおいて膀胱と子宮との間の癒着を剥がそうとすると尿意が発生します。そのポイントに速い動きが伝達されると排尿反射が誘発されると考えられます。

2)外尿道括約筋周囲と周囲の組織との癒着により外尿道括約筋の機能低下が生じる。特に恥骨や子宮・膣壁、側面では脂肪組織や閉鎖神経と癒着している例に遭遇することがあります。これにより尿道括約筋は正常に尿道を締めることができなくなってしまいます、

3)骨盤底筋には、第1層の最深部にある会陰膜と第2層の恥骨尾骨筋との間の癒着、また腸骨尾骨筋と内閉鎖筋との癒着が生じる。経腟分娩では、会陰切開やテント障害を含む骨盤底筋の損傷により、上記の癒着が重症化している例もあります。癒着のある状態での筋力トレーニングには、癒着を剥がすことはできません。この為、いくらトレーニングをしても癒着を保ったままでの筋収縮を強化するのみで、独立した筋機能は再獲得されません。

 

■ 治療の流れ

上記のメカニズムを考慮して治療の流れとしては以下のように進めます。

1)膀胱周囲のリリース

  膀胱壁への緊張伝達の解消(膀胱の排尿反射を止める)

  尿道括約筋の収縮を阻害する要因の解消(随意的な排尿のストップを実現させる)

  骨盤底筋の随意的・不随意的な機能の改善

2)スタビライズ(尿道括約筋、恥骨尾骨筋、尿道膣括約筋の機能改善)3)コーディネート(くしゃみ、咳、ジャンプなどの振動に対抗する下部腹横筋、骨盤底筋、尿道括約筋の強調した活動パターンの習得)

切迫性尿失禁、腹圧性尿失禁ともに上記の様に治療を進めることで機能の改善が見込めます。

 

■女性の悩みを解消できるセラピストを増やしたい

冒頭にも述べましたが、尿失禁に関する悩みを誰にも言えないまま抱えている方は周りにもいるかと思います。そんな悩みを解消できるセラピストを増やしていきたいと考えています。

来月11月に東京で「ウィメンズケアフォーラム2019」が開催されます。そこで、尿失禁に関するシンポジウムと産前・産後の仙腸関節痛に関する実技を行います。ご興味のある方は是非ご参加お待ちしております。

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ウィメンズヘルスケアフォーラム2019

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 □開催日:2019年11月10日(日)

 □会場:〒111-0053 東京都台東区浅草橋1-22−16

     ヒューリック浅草橋ビル 浅草橋ヒューリックホール

 □大会公式HP:https://woman-reha.jp/event/whcf_tokyo2019/

   [10%割引クーポンコード] glab2019womens

 ※ HPにて大会の詳しい内容やスケジュールはご確認いただけます。

   大会に関するお問合せは、直接主催者のウィメンズヘルスケアラボ様(株式会社エバーウォーク)へお問い合わせください。

 

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組織間リリース特別編(尿失禁ケア)11月9日(東京)

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組織間リリースの特別編を開催します。

ご興味のある方は下記のリンクより内容をご確認下さい。

https://realine.info/blog/203

※締め切りに9/30(月)と記載がありますが、10/31(木)へ変更となりました。

 若干名空きがありますので、お早目にお申込下さい。

 

■ 筆者・セミナーご紹介

筆者:蒲田和芳

・広島国際大学総合リハビリテーション学部 リハビリテーション学科 教授

・株式会社GLAB(ジーラボ) 代表取締役

・一般社団法人日本健康予防医学会 副理事長

セミナーご紹介:蒲田和芳が講師を務める~全身の関節疾患の治療法を学ぶためのセミナーシリーズ~CSPT2019 クリニカルスポーツ理学療法セミナーの受講者お申込み受付中です。

https://realine.info/seminar/cspt 

長期間の「拘縮」や「可動域制限」に対しても、確実に可動性を回復させるための徒手療法技術ISR(組織間リリース®)セミナー2019も受講者お申込み受付中です。

https://realine.info/seminar/isr 

 

 

■ 関節疾病の治療と進行予防のスペシャリストになるためのサイト

▼ ReaLine.infoのサイトはこちら

https://realine.info/

 

関節疾病の治療を進めるには、一時的な症状改善ではなく、メカニズムを含めた根本からの治療が必要です。メカニズムを解決することにより、効果を長続きさせ、再発しにくい状態に回復させることが可能となります。関節疾患の原因へ根本から働きかけるリアライン・コンセプトは、足関節から膝、股関節、胸郭、肩、肘など全身の関節に適用できます。


ReaLine.infoでは関節運動指導士の技術を取得するための各種セミナーとともに、アライメント修正に有効なリアライン商品をご紹介しております。リアライン・ブログでは、蒲田の治療経験などを惜しみなく紹介しています。是非お立ち寄りください。

 

 

 

 

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