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【書評】肺炎は老人の友ーWilliam Osler

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肺炎での死亡数急増から激減へ。その裏にはカラクリが

 近年肺炎による死亡数の急増に注目が集まっていました。平成23年には死因の第3位に「肺炎」が位置し、脳血管疾患を上回る結果となりました。それから、6年間3位をキープしていましたが、平成29年に激減しました。

 

これにはカラクリがありました。同年に厚生労働省が人口動態統計の中で、「肺炎」から誤嚥性肺炎を独立して集計するようになりました。実際、その下の表(表7)を見ると「誤嚥性肺炎」は7位で、肺炎との数を足すと13万2629人となり、心疾患に次ぐ3位の死亡数になっています。

 

(厚生労働省「人口動態統計」より)

 

誤嚥性肺炎は全身疾患

 今回紹介する参考書(誤嚥性肺炎ケア基礎知識 )を読むと、タイトル通りのことが書かれています。実際、誤嚥性肺炎は疾患ではなく症状であるが、これは呼吸器疾患による全身状態の機能低下に起因して嚥下機能が低下します。

 

呼吸器疾患、中でもCOPDにおいても、全身の炎症性疾患であるとされています。実は、男性においてCOPDは誤嚥性肺炎に続き、第8位にランクされています。

 

これまで、嚥下機能に関しては主に言語聴覚士の業務と認識していた部分も多いと思いますが、本書を手に取ると早期の呼吸理学療法介入が必須であることが書かれています。

 

又、神経生理学的観点から見ると、脳12神経の半数以上の7神経(1,2,5,7,9,10,12)が「食べる」ことに必要な機能が含まれている点からも、様々な観点からの介入が重要であるということがわかります。

 

世界的にみても患者数が増え続ける、呼吸器、摂食・嚥下分野の専門家はまだまだ少ない現状にあります。今自分自身に専門分野のない療法士は、この分野に飛び込んでみてはいかがだろうか。

 

本日の書評書籍

誤嚥性肺炎ケア基礎知識 (みどりの町のクマ先生)
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これまでのシリーズ

5分以内で助けよう! 誤嚥・窒息時のアプローチ (みどりの町のクマ先生 シリーズ)
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嚥下機能は耳で診る! 肺音と頚部胸部聴診法
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