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【厚生労働省】令和3年度介護報酬改定案(介護老人保健施設)

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令和3年度介護報酬改定の主な事項について1月18日、第199回社会保障審議会介護給付費分科会にて発表された。
シリーズ第13回目の記事となる今回は介護老人保健施設 (以下老健)におけるリハビリテーション関連部分としていきたい。
 

【本日の目次】

・老健におけるリハビリテーションの実態を把握する
①    老健の背景と介護報酬の変遷

・改定ポイントの整理
①    リハビリテーションマネジメント計画書情報加算
②    在宅復帰・在宅療養支援機能の評価の充実
③    自立支援促進加算
 

老健におけるリハビリテーションの実態を把握する

①    老健の背景と介護報酬の変遷
入所者については年齢階級としては「85〜94 歳」、障害高齢者の日常生活自立度としては「 B 」、認知症高齢者の日常生活自立度としては「Ⅲ」が最も多い。
入所時の主病名の割合は、「認知症」が最も多く、ついで「脳卒中」。

超強化型について、平成 30 年5月時点の 7.4% から令和元年 11 月時点で 20.6% に増加し、基本型について、平成 30 年5月時点 の 54.4 から令和元年 11 月時点で 32% に減少。
居宅ケアマネと入所前に連携した場合、それ以降に連携した場合と比較して入所期間が短かった。

リハビリテーションに係る医師の指示について、「リハビリテーションの実施の有無 のみ」と「その他の詳細が含まれる指示」を比較すると、後者でより大きな ADL向上がみられていた。
入所時から退所時のBarthel IndexでのADL変化をみると、入所時のADLに関わらず大方で改善がみられた。
 



平成 30 年度の改定では、

①    在宅復帰・在宅療養支援機能に対する評価
②    かかりつけ医との連携
③    入所者への医療の提供

が行われている。

これまでの指摘では、

【在宅復帰・在宅療養支援の機能をさらに推進】
【予防的なリスクマネジメントと運営基準】

についてメスをいれるべきと検討が進められている。
 

改定ポイントの再整理

①    リハビリテーションマネジメント計画書情報加算

【概要】

介護老人保健施設(リハビリテーションマネジメント)について、自立支援・重度化防止に向けた更なる質の高い取組を促す観点から、訪問リハビリテーション等と同様に、CHASE・VISITへリハビリテーションのデータを提出しフィードバックを受けてPDCAサイクルを推進することを評価する新たな加算を創設する。【告示改正】

<単位数>
リハビリテーションマネジメント計画書情報加算(老健) 33単位/月(新設)

【算定要件等】

○ 医師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士等が共同し、リハビリテーション実施計画を入所者又はその家族等に説明し、継続的にリハビリテーションの質を管理していること。

○ 入所者ごとのリハビリテーション実施計画の内容等の情報を厚生労働省に提出し、リハビリテーションの提供に当たって、当該情報その他リハビリテーションの適切かつ有効な実施のために必要な情報を活用していること。
 

②    在宅復帰・在宅療養支援機能の評価の充実

【概要】

○ 在宅復帰・在宅療養支援等評価指標と要件について、介護老人保健施設の在宅復帰・在宅療養支援機能を更に推進するため、指標の取得状況等も踏まえ、以下の見直しを行う。その際、6月の経過措置期間を設ける。【告示改正】

・居宅サービス実施数に係る指標において、訪問リハビリテーションの比重を高くする。
・リハビリテーション専門職配置割合に係る指標において、理学療法士、作業療法士及び言語聴覚士の3職種の配置を評価する。
・基本型以上についてリハビリテーションマネジメントの実施要件が求められているが、医師の詳細な指示に基づくリハビリテーションに関する事項を明確化する。
 

【算定要件等】

 

③    自立支援促進加算

【概要】

○ 介護保険施設において、入所者の尊厳の保持、自立支援・重度化防止の推進、廃用や寝たきりの防止等の観点から、医師の関与の下、リハビリテーション・機能訓練、介護等を行う取組を推進するため、

・定期的に全ての入所者に対する医学的評価と、それに基づくリハビリテーションや日々の過ごし方等についてのアセスメントを実施するとともに、
・介護支援専門員やその他の介護職員が、日々の生活において適切なケアを実施するための計画を策定し、日々のケア等を行う取組を評価する加算を創設する。【告示改正】

○ その際、CHASEへのデータ提出とフィードバックの活用によるPDCAサイクルの推進・ケアの向上を図ること
を求める。【告示改正】

<単位数>
自立支援促進加算300単位/月(新設)

【算定要件等】

○ 以下の要件を満たすこと。

イ  医師が入所者ごとに、自立支援のために特に必要な医学的評価を入所時に行うとともに、少なくとも六月に一回、医学的評価の見直しを行い、自立支援に係る支援計画等の策定等に参加していること。

ロ  イの医学的評価の結果、特に自立支援のための対応が必要であるとされた者毎に、医師、看護師、介護職員、介護支援専門員、その他の職種の者が共同して、自立支援に係る支援計画を策定し、支援計画に従ったケアを実施していること。

ハ  イの医学的評価に基づき、少なくとも三月に一回、入所者ごとに支援計画を見直していること。

二  イの医学的評価の結果等を厚生労働省に提出し、当該情報その他自立支援促進の適切かつ有効な実施のために必要な情報を活用していること。
 



以上が老健に係るリハビリテーション部分の改定概要となる。

5類型への変更後、報酬にさらにメリハリつけて在宅復帰、在宅療養支援機能の強化に向けた評価の充実が謳われている老健については、

概ね想定通りの改定内容となっていると言える。
 

経営実態については、各累計による差や課題があるため細かな点については記載を差し控えるが、

在宅復帰率を高めれば、空床が生じやすくなり経営的に打撃がある。地域によってはやむを得ず受け入れが必要な要介護者もいる等の課題もあること、入所時の主病名が認知症である実態等を加味すると、今後地域の役割としてどのようなものが求められているか等についても報酬のメスが入る可能性もあるといえる。


本来の目的である

【心身の機能の維持回復を図り、居宅における生活を営むことができるようにするための支援】
【居宅における生活への復帰を目指すものでなければならない】

上記2点を達成すべく、


地域に他のサービスを拡充して在宅支援の機能を維持確保するのか?
老健施設の質全体の底上げが必要なのか?


地域の実態把握と課題整理を組織全体で考える必要性があるのではないだろうか。

リハビリテーション職種としては、

大前提としての医師との連携強化、入所前後のフォロー強化が必要であり、

老健内における疾患の発生の割合の多い呼吸器系の疾患予防、転倒予防など、施設内で連携し予防的な関わりも加えて取り組みを行う姿勢をもって行きたいところである。
 

【目次】

第一回:令和3年度介護報酬改定案(概要サマリー)

第二回:令和3年度介護報酬改定案(訪問看護)

第三回:令和3年度介護報酬改定案(訪問リハビリテーション)

第四回:令和3年度介護報酬改定案(通所介護1)

第五回:令和3年度介護報酬改定案(通所介護2)

第六回:令和3年度介護報酬改定案(通所介護3)

第七回:令和3年度介護報酬改定案(通所介護4)

第八回:令和3年度介護報酬改定案(通所介護5)

第九回:令和3年度介護報酬改定案(通所リハビリテーション1)

第十回:令和3年度介護報酬改定案(通所リハビリテーション2)

第十一回:令和3年度介護報酬改定案(通所介護3)

第十二回:令和3年度介護報酬改定案(通所リハビリテーション4)

第十三回:令和3年度介護報酬改定案(通所リハビリテーション5)

第十四回:令和3年度介護報酬改定案(介護老人保健施設)

【厚生労働省】令和3年度介護報酬改定案(介護老人保健施設)

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