令和3年度介護報酬改定の主な事項については厚生労働省より具体的な内容の通知がなされ、Q&A等通達が活発となっているところである。
今回は通所系サービスに関連した疑義解釈・解釈通知等の一部をまとめていきたい。
【本日の目次】
【通所サービス共通】
①入浴介助加算について
②所要時間区分の設定
③サービス提供にあたっての所要時間と所要時間区分の考え方
④引き続きの通所介護の算定について
⑤延長加算に係る人員配置について
⑥延長サービスに係る利用料
①入浴介助加算(Ⅰ)について
※追記部分赤字
入浴介助加算(Ⅰ)は、入浴中の利用者の観察を含む介助を行う場合について算定されるものである(大臣基準告示第14号の3)が、この場合の「観察」とは、自立生活支援のための見守り的援助のことであり、利用者の自立支援や日常生活動作能力などの向上のために、極力利用者自身の力で入浴し、必要に応じて介助、転倒予防のための声かけ、気分の確認などを行うことにより、結果として、身体に直接接触する介助を行わなかった場合についても、加算の対象となるものであること。なお、この場合の入浴には、利用者の自立生活を支援する上で最適と考えられる入浴手法が、部分浴(シャワー浴含む)等である場合は、これを含むものとする。
②所要時間区分の設定
(問)
所要時間 区分(6時間以上7時間未満、7時間以上8 時間未 満等)は、あらかじめ事業所が確定させておかなければならないのか。利用者ごとに所要時間区分を定めることはできないのか。(答)
各利用者の通所サービスの所要時間は、 利用者の 心身の状況、希望及びその置かれている環境を踏まえて作成される通所サービス計画に位置づけられた内容によって個別に決まるものであり、各利用者の所要時間に応じた区分で請求することとなる。運営規程や重要事項説明書に定める事業所におけるサービス提供時間は、これらを踏まえて適正に設定する必要がある。
③サービス提供にあたっての所要時間と所要時間区分の考え方
(問)
各所要時間区分の通所サービス費を請求するにあたり、サービス提供時間の最低限の所要時間はあるのか。(答)
・所要時間による区分は現に要した時間ではなく、通所サービス計画に位置づけられた通所サービスを行うための標準的な時間によることとされており、例えば通所介護計画に位置づけられた通所介護の内容が 8 時間 以上 9 時間未満であり、当該通所介護計画書どおりのサービスが提供されたのであれば、 8 時間以上 9 時間未満の通所介護費を請求することになる。
・ただし、通所サービスの提供の開始に際しては、予めサービス提供の内容や利用料等の重要事項について、懇切丁寧に説明を行った上で 同意を得ることとなっていることから、利用料に応じた、利用者に説明可能なサービス内容となっている必要があることに留意すること。
④引き続きの通所介護の算定について
(問)
1人の利用者に対して、7時間の通所介護に引き続いて5時間の通所介護を行った場合は、それぞれの通所介護費を算定できるのか。(答)
それぞれのプログラムが当該利用者の心身の状況や希望等に応じて作成され、当該プログラムに従って、単位ごとに効果的に実施されている場合は、それぞれの単位について算定できる。
なおこの場合にあっても1 日につき算定することとされている加算項目は 、 当該利用者についても当該日に1回限り算定できる。
単に日中の通所介護の延長として夕方に通所介護を行う場合は、通算時間は12時間として 、9時間までの間のサービス提供に係る費用は所要時間8時間以上9時間未満の場合として算定し9時間以降 12 時間までの間のサービス提供に係る費用は、延長加算を算定(または延長サービスに係る利用料として徴収)する。
⑤延長加算に係る人員配置について
(問)
サービス提供時間の終了後から延長加算に係るサービスが始まるまでの間はどのような人員配置が必要となるのか。(答)
延長加算は、所要時間8時間以上9時間未満の指定通所介護等を行った後に引き続き日常生活上の世話を行った場合等に算定するものであることから、 例えば通所介護等のサービス提供時間を8時間30分とした場合、延長加算は8時間以上9時間未満に引き続き、 9時間以上から算定可能である。サービス提供時間終了後に日常生活上の世話をする時間帯(9時間に到達するまでの30分及び9時間以降)については、サービス提供時間ではないことから、事業所の実情に応じて適当数の人員を配置していれば差し支えないが、安全体制の確保に留意すること。
⑥延長サービスに係る利用料
(問)
延長サービスに係る利用料はどのような場合に徴収できるのか。
(答)
通常要する時間を超えた場合の延長サービスに係る利用料については、サービス提供時間が9時間未満である場合において行われる延長サービスやサービス提供時間が14 時間以上において行われる延長サービスについて徴収できるものである。また、サービス提供時間が 14 時間未満である場合において行われる延長サービスについて、延長加算にかえて徴収することができる。(同一時間帯について延長加算に加えて利用料を上乗せして徴収することはできない。)なお、当該延長加算を算定しない場合においては、延長サービスに係る届出を行う必要はない。
以上が【通所系サービスのQ&A】として通達された内容の一部となる。
通所サービスの所要時間に関わる疑義解釈を中心にまとめたが、
本質はより地域の細かいニーズと向き合っていき、
サービスの提供時間をうまくマネジメントする必要性を示唆する内容にも感じられる。
引き続き疑義解釈をまとめていく。
【目次】
第九回:令和3年度介護報酬改定案(通所リハビリテーション1)
第十回:令和3年度介護報酬改定案(通所リハビリテーション2)
第十二回:令和3年度介護報酬改定案(通所リハビリテーション4)
第十三回:令和3年度介護報酬改定案(通所リハビリテーション5)
第一七回:令和3年度介護報酬改定Q&A(訪問リハビリテーション)
第十八回:令和3年度介護報酬改定Q&A(通所系サービス1)