目標設定の魅力と難しさ
実は私は、訪問リハビリテーションが苦手だと感じていた。
ずっと医療保険領域のリハビリテーションに携わっていて、いざ訪問リハビリに従事してみると、これほどまで違う考えが必要なのかと悩まされたことがある。
『医療と介護は違う』
そんな言葉を耳にすることがある。
私は特に、【目標設定】において、この違いを強く感じる。
目標設定の重要性は医療・介護にかかわらず重要なものだ。
この目標設定が訪問リハビリではさらに難しいと感じていたのだ。
医療保険分野で言えば、
例えば、回復期リハビリテーションであれば「退院」という日程設定があり、それに向けた目標が一つのテーマになってくる。
整形外科・クリニックで言えば、「痛み・関節可動域」などの機能障害がテーマになることも多いだろう。
もちろん、退院や機能障害の改善の先には、「生活動作」につながっていかなければならない。
これに対し、訪問リハビリでは「生活動作」にダイレクトにアプローチしていく必要性が強い。
私が訪問リハビリへ従事したての頃はこの切り替えが非常に難しく、様々な思いを抱いた。
どうしても「機能」を見てしまうのだ。
もしかしたら療法士「あるある」になるのではないか。
【ハンズオン(hands-on)】をキャッチーとしたものが多い昨今のセミナー事情。
しかし私は、ハンズオフ(hands-off)こそが重要ではないかと考えている。
ハンズオンによる介入ももちろん重要だ。
それなくして進まないこともある。
しかし、ずっとハンズオンではいけないのだ。
それでは療法士・リハビリテーションに依存していることにもなる。
リハビリテーションは、re・habilitation。再び戻す。
療法士と関わっていなかった頃に、その生活に、
近づけていく・新たに構築していくことがリハビリテーションだ。
訪問リハビリでは重症度が高いケースも多い為、一概には言えない。
しかし、いかにハンズオンをハンズオフにしていくか。
これも、重要な観点ではないだろうか。
目標設定をしていく上で私が大切にしていることがある。
それは階段方式で考えていくというもの。
1年間の目標があれば、それを6か月に区切る。そしてそれを3か月、1か月にさらに区切っていくというもの。
当たり前かもしれないが、この考えに行き着くのに私は時間がかかってしまった。
だからこそ伝えたい。
人は階段を、一度にたくさん飛び越えることはできない。
足元をおろそかにして転げ落ちてしまうこともあるだろう。
息が切れ、途中で断念することにもなりかねない。
一段ずつしっかりと歩んでいかなければ、長い階段を登りきることは出来ないのだ。
目標を設定する上で大切なことは、対話だ。
その人が何を考え、何を望んでいるかを知ること。
デイサービスや訪問リハビリを利用している人は、目標が明確でないことも多い。
『まずは、運動や交流をする機会を作りたい。』
そんな入り口から、利用を始める人も多いだろう。
「運動の機会を作る」のは利用者とケアマネージャー間の目標であり、それをそのままにリハビリテーションを進めることはできない。
目標を聞いても、そこまで明確なものを向こうから提示してこないこともあるだろう。
そんな時こそ、我々の腕の見せ所ではないだろうか?
利用者の潜在的な目標を探り、ニーズを引き出していく。
ケアマネージャーからのプランも考慮した上で、その人にあった目標を設定していく。
どんな人であっても、目標のない人生はつまらないものだ。
我々療法士により、その人の1日や1年の目標が決まる。
目標が決まることで、人生の歩む道が明確になる。
歩む道や方向性が明確になれば、生きがいが生まれる。
つまりは我々の導き方次第で、人を豊かにすることができる。
そんな訪問リハビリテーションはやはり魅力的な仕事である。
【目次】
第一回:百聞は一見に如かず
第二回:その人の人生に寄り添える
第三回:その人の感性に触れることができる
第四回:ありがとうの意味
第五回:人はいつまでも変わることができる
第六回:移動時間も貴重なリハビリの時間
〈訪問リハビリテーション分野に転職をお考えの方にオススメ〉
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ベストリハ株式会社 総務 本田、尾崎 宛
tel:03-5813-9897 mail:info☆bestreha.com(☆を@に変えてご連絡ください)
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※今回の見学は、就職希望の方のみに制限させていただいております。
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