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全身の関節疾患の治療法にリアライン・コンセプト

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リアライン・コンセプトは、関節マルアライメント(いわゆる“ゆがみ”や“ずれ”)を治し、関節が本来持つ運動機能を速やかに回復させるための方法です。マルアライメントを放置すると、機能回復が遅れリハビリテーションのスムーズな進行が不可能となます。さらに長期的には、変形性関節症のような不可逆的な病変への進行も懸念されます。そのため、リハビリテーションの過程において、マルアライメントの早期の矯正が必要となるのです。

リアライン・コンセプト(治療理論)を習得していただくことで、関節疾患の治療を進める上での「治療の設計図」を理解することができます。「治療の設計図」とは、人間の関節機能が改善していく流れの「共通項」に注目し、ほぼ全ての関節疾患に適用できる設計図です。

このリアライン・コンセプト(治療理論)とリアライン・コンセプトを進める上で必要な「治療技術」を習得できるセミナーが、CSPT クリニカルスポーツ理学療法セミナーです。

 

▼CSPT2018 クリニカルスポーツ理学療法セミナーご案内・お申込み

http://www.glabshop.com/cspt2018/

※セミナー1回分がお得となる10回セット受講お申し込み受付中!東京会場は3月31日締め切り!

 

CSPTは、全身の関節疾患の治療法を学ぶためのセミナーシリーズで、骨盤、胸郭、股関節、膝関節、足関節、足部、肩関節、肘関節など部位別の全10回となっています。下記URLよりこれまでご紹介した症例報告を掲載しております。

 

▼CSPT部位別症例報告

http://www.glabshop.com/cspt-theme/

 

CSPTではどのようなことが学べるのか、一部のセミナーをご紹介させていただきます。

 

その膝の痛みはどこから?―内側の痛みをテーマに―

多くの変形性膝関節症(以下膝OA)において、主症状は膝内側部の疼痛です。膝内側といっても、内側には多数の組織があります。まずは、膝内側のどの組織が痛みを発しているのかを特定し、その上で痛みを生じるメカニズムを推察しなければなりません。膝関節は解剖学的に非常に密に結合組織が重なり合っており、互いの組織の滑走不全があると組織間で互いにストレスを与えやすい状態になります。その痛みはどの組織の痛みなのかを特定する上で、何よりも精密な触診が重要になります。

 

■膝の解剖と運動

 膝関節は大きく、膝蓋大腿(PF)関節と脛骨大腿(FT)関節に分けられます。大腿骨膝蓋面の外側隆起は内側隆起よりも高く、幅広で、突出しています。膝蓋骨が通る溝である顆間溝軸は、大腿骨骨幹部軸に対し外方へ約10°傾斜しています。顆間窩は内・外側顆を分けるとともに、膝前十字靱帯と後十字靱帯の通路を形成します。FT関節における膝伸展に伴う脛骨外旋運動は“screw home movement”と呼ばれ、生理学的な回旋運動とされています。Screw home movementによってロックされた膝完全伸展位からの初期屈曲時には、下腿を内旋させることによって終末伸展が解除されます。これには膝窩筋の作用が重要とされています。

 

 膝蓋骨の関節面は滑膜と連絡し、膝蓋下脂肪体は滑膜と線維膜との間に存在します。内側膝蓋大腿靱帯・半月膝蓋靱帯が内側支帯深層に位置し、膝蓋骨外側への動きを制動します。そして、FT関節とPF関節の連動として、膝関節内・外旋と膝蓋骨の運動の理解は必須です。脛骨外旋時に膝蓋骨は外方移動・内方傾斜し、脛骨内旋時に膝蓋骨は内方移動・外方傾斜します。

 FT関節キネマティクス異常として、膝関節伸展に伴う過度の下腿外旋、膝屈曲に伴う下腿内旋不足がしばしば見られます。下腿が外旋位であることによって、膝関節疾患や機能異常につながるとともに、それは膝疾患の治療を難しくします。このような膝の異常な回旋動態を蒲田は「下腿外旋症候群」と名付けました。異常な回旋アライメントでの運動を反復することは膝内側へのストレスを増大させ、痛みや機能低下を引き起こします。

   

■下腿外旋症候群の治療法

 膝関節におけるリアライン・コンセプトの方針を下の図の通りとしています。OA膝のキネマティクス研究の結果をみると、これは典型的な下腿外旋症候群といえます。OA膝のリアライメントとして、下腿外旋拘縮を解消させて膝屈曲に伴う十分な下腿内旋運動を回復させることが必要となります。その結果、外方に偏位した脛骨を正常な位置に近づけることが可能となります。OA膝であってもキネマティクスが正常化してくると、徐々に関節としての運動機能が改善されてきます。他動伸展の痛みが消失したら、①リアライン(伸展制限の解消)、②スタビライズ(膝伸展筋力の回復)、③コーディネート(正常歩行の獲得)を進めていきます。

 膝の正常な回旋アライメントを取り戻すためには、運動療法だけでは困難であり、ISR®(組織間リリース®)の技術が求められます。「CSPT膝関節編」は、膝関節の回旋アライメント評価とともに、それを確実に改善するための治療を習得できるような内容となっています。

 

繰り返す捻挫の原因は靱帯が緩いだけ?? -ぐらぐらの足関節に対する捻挫再発予防

足関節の怪我として多いのは足関節捻挫です。足関節内反捻挫は足関節の外側靱帯損傷を引き起こし、距腿関節や距骨下関節の不安定性を引き起こします。これはスポーツ選手で頻繁に起こり、しばしば不十分な治療で復帰してしまいます。しかし、足関節捻挫に対して、適切な対処をしなければ慢性足関節不安定性に繋がり、不安定感や可動域制限、筋力低下などの機能低下によりパフォーマンスを低下させます。さらに、将来の変形性膝関節症(OA)のリスクを高めることになります。

 

慢性化を防ぐため、スポーツ現場に対して、適切な治療の重要性を啓蒙するとともに、医療者として最短かつ最適な治療と再発予防プログラムを提供できるように準備する必要があります。しかし、残念なことに、医療者側にもそのような治療と再発予防を確実に進めていくだけのノウハウが構築されているとはいいがたい状況にあります。

 

■ 不安定性の原因と病態

距腿関節において、距骨滑車の前部よりも後方が広いため、その適合性は背屈位で向上し、底屈位で低下すると考えられています。これが底屈位で捻挫が起こりやすい原因であると理解されています。

 

底屈位で捻挫が好発する理由として、

①底屈位における骨性の安定性の低下

②靱帯損傷による異常な内反可動域の増大

③内果周辺における前脛骨筋の癒着により他動底屈に足部内返しが合併する「足関節内側の底屈制限」

が挙げられます。①と②は保存療法では改善できませんが、③については前脛骨筋などの滑走性改善により改善することができます。ジャンプの着地などで脱力した底屈位で荷重するような場面で、少なくとも内返しのない純粋な底屈位となることで、捻挫発生のリスクをある程度低下させることができると推測されます。

 

底屈位での捻挫に加え、背屈位でも捻挫が起こることが、動作分析の実験中に発生した捻挫についての症例報告に記載されました。これは、靱帯損傷による不安定性の有無にかかわらず、背屈位においても骨性の安定性が十分に獲得されていない状態と関連があります。背屈時に距骨が脛骨と腓骨が作っているほぞに十分にはまり込んでいないことが、背屈位での距腿関節の安定性を著しく低下させます。この足関節の背屈位における機能的不安定性を、我々は「足関節背屈位動揺性(unstable mortise)」と呼んでいます。

 

足関節背屈位動揺性の病態として、

①足をひねり(giving-way)やすいこと

②歩行の立脚初期(足関節背屈位)でも捻挫を起こすことがあること

③中間位では背屈制限があるが、距骨外旋位で背屈が増大すること、

などが挙げられます。これらに対して、足関節の安定性を高めるようなテーピングが用いられますが、長期間のテーピングの使用は足関節周囲の皮下組織の滑走不全(癒着)をもたらし、さらに背屈位での安定性を低下させることになります。

 

このときに生じるマルアライメントには以下の図のようなものが挙げられます。すなわち、中間位での背屈に制限が生じ、足部外旋位での背屈が増大します。その結果、荷重位では足部に対して脛骨が内旋することになり、下肢全体にknee-inというマルアライメントを招きやすくなります。また、外旋位となった距腿関節を内旋させようとすると踵骨が回外し、捻挫を起こしやすい肢位になります。このマルアライメントは、捻挫を繰り返し、背屈制限が増強するとともに悪化し、捻挫を起こしやすい状態となるため、スポーツを行う上でブレースやテーピングなどの外的固定に依然せざるを得なくなります。

足関節背屈位動揺性の原因として、距腿関節内側部の背屈制限、すなわち距骨滑車内側部の後方滑りの制限が挙げられます。これをもたらすのは主に足関節内側の軟部組織の滑走不全であり、徒手的な組織間リリースで解消可能な要素が大部分を占めています。具体的には、アキレス腱周囲や脛骨前内側部の皮下組織の滑走不全、アキレス腱とその全部のKager’s fat padの滑走不全、後脛骨筋・長趾屈筋・長母趾屈筋と後方関節包や内果との滑走不全などが原因となります。

 

■ 治療・再発予防

上記の③は背屈位における距腿関節のマルアライメントと呼ぶべき状態であり、症状を改善するにはリアライン・コンセプトに基づく治療を行うことが必要となります。具体的には、以下の手順で治療を進めます。
 
①リアライン相:組織間リリースやエクササイズを用いて、足関節背屈位における正常なアライメントを獲得するとともに、背屈位動揺性を解消して他動的な足関節内旋時の骨性のend feelを獲得する。
②スタビライズ相:主にトレーニングにより、リアライン相で獲得した正常なアライメントを失わないために必要な筋力、筋活動パターンを獲得させる。
③コーディネート相:動作修正により、捻挫発生のリスクの高い動作やマルアライメント再発のリスクの高い動作を修正する。

クリニカルスポーツ理学療法セミナー(CSPT)足関節編では、この足関節不安定性に対して、適切な評価のもと、ISR®を用いた治療にて、骨性不安定性を解消し、安定した足関節を再獲得させる知識・技術を講習しています。

 

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全身の関節疾患の治療法にリアライン・コンセプト

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