小児の慢性疼痛で注意深く観察したい「距離感」

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理学療法士と患者、理学療法士と家族、患者と家族。リハビリには様々な関係があります。リハビリ中にも気になるその「距離感」について書きました。

Buenos noces!terapeuta!(スペイン語でこんばんは療法士のみなさん)、週の真ん中水曜日の江原です。以前に児童虐待についての記事を書きましたが、今回は続編となるような具体的な内容にしたいと思っています。小児の慢性疼痛のすべてに児童虐待がかかわっているわけではないですが、親子関係や、学校や生活環境の影響を多分に受けます。

 

しかしまだ考え方などが柔軟で、可塑性が高いともいえる小児の慢性疼痛は改善することもあるのですが、成人のリハビリテーションのように問題点を挙げて家族や環境にアプローチしようとするとうまくいかないこともあります。私見ですが、理学療法士と患者やその家族との距離感が重要と考えています。

 

小児の慢性疼痛

小児の慢性疼痛というと、慢性的なスポーツ障害をイメージする方もいると思いますので概略から説明します。成人の慢性疼痛患者1045例の小児期の状況をまとめた報告によれば、大学病院に通う慢性疼痛を持つ成人の17%(176例)は小児期にも慢性疼痛を持っていたことがわかりました。

 

その特徴としては、

・約17%(176例)が小児期に慢性痛があり、約80%の患者は未だに疼痛が続いていた(68%が女性)。広範性疼痛が多かった。

・小児期慢性疼痛の既往がない患者に比べ、小児期に慢性疼痛があった患者は、

 線維筋痛症のリスクがオッズ比2.94(95%信頼区間:2.04~4.23)
 慢性疼痛の家族歴がある場合のリスクオッズ比2.03(同1.39~2.96)
 精神疾患を有する近親者がいる場合オッズ比2.85、(同1.97~4.11)

・神経障害性疼痛様で、身体機能障害、不安傾向も高いことが分かった。

 

以上のように、非器質的疼痛やCWP(chronic widespread pain)や線維筋痛症様に発展し大人になっても苦しむ慢性一次性疼痛の様相を呈しています。この研究は外国人を対象にした国際論文ですが、大人になっても疼痛が継続する確率も非常に高く、大学病院に通うような小児の慢性疼痛は注意すべき痛みなのです。次に患者や注意の関係や環境についてまとめます。

 

本人への対応

小児の慢性疼痛で注意深く観察したい「距離感」

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