実はまだよくわかっていない
さてこれから生理学的に筋硬結、筋攣縮、筋緊張の違いを解説していきたいと思います。ところで、筋硬結、筋攣縮、筋緊張の違いってわかりますか?少し頭の中で考えてみましょう。
それでは早速、筋緊張、筋硬結、筋攣縮の解説をそれぞれ行なっていきます。
筋緊張とは
筋緊張(=muscle tone)をすごく簡単に言ってしまうと「筋が持続的に収縮すること」となります。また、この定義にはいくつかあり参考書によっては「筋が引き伸ばされた時に生じる抵抗感」などと定義されたりします。つまり、定義すら一定ではありませんね。
また、「筋緊張って異常?正常」という点に関して、異常筋緊張の場合「亢進」と呼び、正常範囲内つまり何か疾患がないにも関わらず筋緊張が普通の人よりも高い場合「高い」と呼ぶことがあります。
これは、専門家が独自に設定しているだけであって、この定義も曖昧なままです。この辺りの使い方も、ご自身で説明できるようにしておきましょう。また、異常か正常化の違いに関しては、原疾患があるかないかに加え、“左右差”も大きな指標になります。
さて、用語の整理ができたところで、次に筋緊張を理解する上で覚えておきたい医学用語もまとめてみたいと思います。
・錐体路
・錐体外路
・錘内筋線維
・錘外筋線維
・α運動ニューロン
・γ運動ニューロン
・Ia線維
・ⅱ線維
なんか聞いたことあるなぁ〜と思っていると思うので、一旦これらを一つの画像に表してみましょう。ここまで図にするとどうでしょう?なんとなーくそれぞれの役割がわかるでしょうか?
上の図を、言葉で説明すると、
錐体路
→α運動ニューロン介して錘外筋線維、つまり筋線維を収縮させます。
錐体外路
→γ運動ニューロンを介してユルユルになっている錘内筋線維を引っ張ります。
仮に…
錐体路がαを介して、筋を収縮させるだけだと、錘内筋線維は緩んでしまいます。緩めば、張力を感知できませんから、適切な長さに筋肉を調整することができません。
そんなことにならないように、γ運動ニューロンとα運動ニューロンは協力して筋肉を調整してくれていると言うことです。これを、「α−γ連関」と言うのでしたね。
錐体路と錐体外路
それぞれの役割をまとめると、以下のようになります。ここで、わかるのは筋緊張を作っているのは錐体路よりも錐体外路であるということですね。ここで、錐体路と錐体外路の伝導路を一つずつ確認していくとややこしくなるので、一旦ここまで理解しましょう。
「筋緊張=錐体外路」と一旦、覚えてしまって大丈夫です。細かいことを言うと、足りないのですがいきなり詰め込むと理解が進まないので、これで止めておきます。
痙性とは?
ここでよくわからなくなってくるのが、痙性と呼ばれる状態の生理学的機序ですね。脳の血管が詰まったり(脳梗塞)、脳の血管が切れたり(脳出血)すると、初期段階では弛緩性麻痺となり、徐々に筋緊張が高くなっていきます。この状態がなぜ起きるのか?
まず、基本的にな生理学で知っておきたいのが伸張反射(→伸張反射の解説はこちらをご覧ください)です。
図で表すと以下のようになります。
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参考文献
・病気がみえる 〈vol.7〉 脳・神経 (Medical Disease:An Illustrated Reference)