令和3年度介護報酬改定の主な事項については厚生労働省より具体的な内容の通知がなされ、Q&A等通達が活発となっているところである。
今回は介護老人保健施設に関連した疑義解釈・解釈通知等の一部をまとめていきたい。
【本日の目次】
①褥瘡マネジメント加算 、褥瘡指導対策管理の算定
②自立支援促進加算について
③排泄支援加算
④留意事項
⑤運営に関する基準について
①褥瘡マネジメント加算 、褥瘡指導対策管理の算定
(問1)
褥瘡マネジメント加算、褥瘡対策指導管理は、褥瘡が発生するリスクがあるとされた入所者ごとに、医師、看護師、管理栄養士、介護職員、介護支援専門員その他の職種の者が共同して、褥瘡管理に関する褥瘡ケア計画を作成していることが要件となっているが、医師の事由等により参加できない場合は、当該医師の指示を受けた創傷管理関連の研修を修了した看護師や皮膚・排泄ケア認定看護師が参加することにして差し支えないか。(答)
差し支えない。
(問2)
褥瘡マネジメント加算 について、施設入所後に褥瘡が発生し、 治癒後に再発がなければ、加算の算定は可能か。(答)
褥瘡マネジメント加算は、施設入所時に褥瘡の発生するリスクがあった入所者について、褥瘡の発生がない場合に算定可能である。施設入所時に褥瘡の発生するリスクがあった入所者について、入所後に褥瘡が発生した場合はその期間褥瘡マネジメント加算を算定できず、褥瘡の治癒後に再発がない場合は褥瘡マネジメント加算を算定できる。
②自立支援促進加算について
(問1)
加算の算定を開始しようとする場合、すでに施設に入所している入所者について、提出が必要な情報は、当該時点の情報に加え、施設入所時の情報も必須なのか。(答)
既に施設に入所している入所者については、入所時の介護記録等にて評価が可能であれば、施設入所時の情報を提出していただきたいが、やむを得ず仮に提出ができない場合であっても、加算の算定ができなくなるものではない。
(問2)
入浴は、特別浴槽ではなく、一般浴槽での入浴とし、回数やケアの方法についても、個人の習慣や希望を尊重することが要件となっているが、仮に入所者の状態から一般浴槽を使用困難な場合は要件を満たすことになるのか。
(答)
本加算については、原則として一般浴槽での入浴を行う必要があるが、感染症等の特段の考慮すべき事由により、関係職種が共同して支援計画を策定する際、やむを得ず、特別浴槽での入浴が必要と判断した場合は、その旨を本人又は家族に説明した上で、実施することが必要である。
③排泄支援加算について
排泄支援加算(Ⅰ)
(問1)
排せつ状態が自立している入所者又は排せつ状態の改善が期待できない入所者についても算定が可能なのか。(答)
排せつ支援加算は、事業所単位の加算であり、入所者全員について排せつ状態の評価を行い、LIFEを用いて情報の提出を行う等の算定要件を満たしていれば、入所者全員が算定可能である。
排せつ支援加算(Ⅱ)・(Ⅲ)
(問2)
排せつ支援加算(Ⅱ)又は(Ⅲ)の算定要件について、リハビリパンツや尿失禁パッド等の使用は、おむつの使用に含まれるのか。(答)
使用目的によっても異なるが、リハビリパンツの中や尿失禁パッドを用いた排せつを前提としている場合は、おむつに該当する。
(問3)
排せつ支援加算 又は の算定要件について、終日おむつを使用していた入所者が、夜間のみのおむつ使用となった場合は、排せつ状態の改善と評価して差し支えないか。(答)
おむつの使用がなくなった場合に、排せつ状態の改善と評価するものであり、おむつの使用が終日から夜間のみになったとしても、算定要件を満たすものではない。
④留意事項
退院・退所加算について
1.カンファレンスの開催に関して(下線部分が追記)
介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準第8条第6項に基づき、入所者への指導及び居宅介護支援事業者に対する情報提供等を行うにあたり実施された場合の会議。ただし、基準第2条に掲げる介護老人保健施設に置くべき従業者及び入所者又はその家族が参加するものに限る。また、退所後に福祉用具の貸与が見込まれる場合にあっては、必要に応じ、福祉用具専門相談員や居宅サービスを提供する作業療法士等が参加すること。
⑤運営に関する基準について
テレビ電話装置等を活用して行えるもの
・退院・退所加算における退所調整のための面談
・身体拘束適正化委員会
・事故防止検討委員会
・サービス担当者会議
・入所前後訪問指導加算(Ⅱ)の会議
※いずれも入所者等の同意を得て、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守することが必要。
以上が【介護老人保健施設のQ&A】として通達された内容の一部となる。
介護老人保健施設の改定では、細かな要件等が付加されており、Q&Aが細かな算定基準等について通達がなされている。
留意事項や運営に関する基準については、次回記事に加えて記載を行うが、加算をどのように算定するか優先順位を付けながらの対応が求められそうである。
【目次】
第九回:令和3年度介護報酬改定案(通所リハビリテーション1)
第十回:令和3年度介護報酬改定案(通所リハビリテーション2)
第十二回:令和3年度介護報酬改定案(通所リハビリテーション4)
第十三回:令和3年度介護報酬改定案(通所リハビリテーション5)
第一七回:令和3年度介護報酬改定Q&A(訪問リハビリテーション)
第二十回:令和3年度介護報酬改定Q&A(介護老人保健施設1)
第二十一回:令和3年度介護報酬改定Q&A(介護老人保健施設2)