14日「第101回社会保障審議会介護保険部会」が開催され、地域包括ケアシステムの更なる深化・推進について議論されました。その中で、「地域における高齢者リハビリテーションの推進」が以下のように検討方向が示された。
高齢者リハビリテーションについては、どの地域でも適時適切に提供されるよう、地域支援事業と保険給付の双方の観点からのリハビリテーション提供体制の構築を更に促進していくことが必要。そのために、介護保険事業 (支援)計画での対応も含めて、地域リハビリテーション体制の構築やリハビリテーションに係る取組の充実が必要ではないか。
この点に関して橋本康子氏(一般社団法人日本慢性期医療協会会長) は「現制度において、要介護(支援)者に対するリハビリテーションではリハ職の配置が難しい。理由は医療保険と介護保険の点数に差があり、人件費を賄えない」と現制度の問題点を指摘した。
2019年3月に要介護・要支援者に対する「医療保険の維持期・生活期の疾患別リハビリ料」が終了し、介護保険の(介護予防)訪問リハビリ・(介護予防)通所リハビリに完全移行したことで、リハを受ける時間数に差が生まれた。
医療保険での維持期リハでは一ヶ月13単位まで認められていたのに対して、介護保険では一ヶ月あたりに受給可能な保険サービスの量が介護度によって決定されていることに起因する。
要支援1 |
5万30円 |
要支援2 | 10万4730円 |
要介護1 |
16万6920円 |
要介護2 | 19万6160円 |
要介護3 |
26万9310円 |
要介護4 |
30万8060円 |
要介護5 | 36万650円 |
(区分支給限度基準額)
地域における療法士の役割は大きい。しかし、制度において医療機関等の方が療法士にとって給与面等で優位であれば専門家の配置は難しい。予算がない中で、介護保険内での手厚いサポートを制度内を新たに創設することは考えにくい。その中で結果を求める制度変更には明らかな黄色信号が灯る。
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