週の真ん中水曜日の江原です。痛みのリハビリテーションを成功させるための適切な評価には、疾患の知識が最も重要なものの1つとなります。国際疾病分類ICD-11に収載された疾患としての慢性疼痛には、症状に痛みを持っている疾患群である慢性二次性疼痛というグループがあります。本日は慢性二次性疼痛のうちの、「慢性手術後疼痛または慢性外傷後疼痛」についてまとめたいと思います。
ICD-11 chronic postsurgical or posttraumatic pain
手術後に創傷治癒期間を超えて3か月以上持続、再発する場合の痛みが慢性手術後疼痛です。身体各部位の手術後にしばしば認められます。また外傷後に創傷治癒期間を超えて3か月以上持続、再発する場合の痛みが慢性外傷後疼痛です。3ヶ月以上という時間的な定義が選ばれた理由は、明確な運用が可能でこれまで広く使われている基準であるからとしています。
しかし術後や外傷後早期から神経障害性疼痛の状態が発症している可能性があるため、時間的基準だけを適用するのは難しいかもしれないとも述べられています。痛みの部位は術野や損傷部位に限局しているか、その部位にある神経の支配領域に投射されているか、皮膚分節や手術後の深部体組織や内臓組織の損傷である必要があります。
また、既存の疼痛状態や感染症、悪性腫瘍など、他の痛みの原因は除外しなければなりません。例えば慢性外傷後疼痛の場合、その痛みが神経障害性疼痛の場合もあります。multiple parenting として、1 つの診断名で2つの別の親カテゴリーを持つことが可能となっているため図1のような診断がつく可能性があります。手術後や外傷後の慢性疼痛は一般的でありますが未だ広く認識されていないため、診断や治療が不十分になることが多いと言われています。