言語聴覚士のセミナー事情
ーー先生はセミナー開催をされていると思いますが、STのセミナー事情は?
荒木先生:セミナーを初めて開催したのが去年の10月ですね。その前までは基礎研究と開発に没頭していました。
アメリカで行った学会発表では手応えを得ることが出来たので、今は発表したものを普及していく段階だと思っています。
ーーホームページを拝見しましたが、言語障害のスクリーニングテストを開発したものの「使い方を理解しないと使えない」という意見があったとのことですが?
荒木先生:そういう声が多かったですね。「どんなことでもいいので、日ごろの臨床に役立てるアドバイスが欲しい」という意見がありました。
それに対して、自分の開発したものを渡しましたが、それだけでは根本的な解決にはならないなという思いがありました。
自分の臨床や研究や発表があったので、なかなか時間に余裕がなく手が付けられなかったんですね。
それを何とかしようと思って始めたのがセミナーです。セミナーでは、論文や学会発表だけで伝えきれないことをズバッと答えられるので、悩んでいる皆さんにコミットできますしね。
STがするセミナーって少ないのかもしれないですね。STはおしとやかな性格の人が多いのですかね(笑)。
PTやOTがSTのために開くセミナーはありますね。STがSTのためにセミナーを発信する人が増えるといいなと思います。
ーーSTは個室でリハビリをすることが多いから、後輩が先輩を見て盗むっていう機会が少ないですよね。だから自信を持って自分を出すことが難しいのではないかと思います。荒木先生は研究という母体があることが良かったのでしょうか?
荒木先生:研究をしている人は臨床をおさえてやるし、臨床をしている人は研究に興味がない人が多かったりしますが、自分が両方やってこれたというのは一つの強みだと思います。
一流のセラピストの定義
ーー臨床と研究の両立という苦しいことを乗り越えたから自信が持てたということですね。
荒木先生:私は研究と臨床は振り子運動だと思います。一方では難しい論文を読んで、一方では臨床を行っている。
片方だけではたどり着けないようなことも、もう一方のエネルギーが高まることで反対のエネルギーも大きくなる様に行ったり来たりすることで進めてきたのが私のスタイルだと思います。
ーー先生の言葉の中に「勉強をするために論文を読んだ方が良い」という言葉がありましたが、論文を読み進めることが臨床につながるということですか?
荒木先生:そうですね。それが自信につながると思います。
一流と呼ばれるセラピストたちは臨床だけとか、研究だけっていう人はいないと思います。どちらも矛盾なく、しかもすごいパフォーマンスでやっていると思います。私もそこを目指しています。
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