理学療法士の強みって?
そのトレーニングはどういう動作分析と根拠をもとにやっているの?
自分の行なっている訓練に自信が持てない時ってありませんか?私はそのようなことがありました。
特に1年目の頃などは、評価とアプローチを別々に捉えていて、評価とアプローチの繋がりがふわっとしており苦しんでいました。
理学療法士の強みは色々あります。
ただ共通の強みというのは”動作分析から主要な問題点を導き出すことができる力”ではないでしょうか?
この強みを成長させていくためには、動作とその動作を遂行するための体の機能を知っておく必要があります。
例えば、
自分の持っている時計が動かなくなったら、時計屋に持っていき修理をお願いします。
しかし時計屋が壊れた原因を調べもせずに、とりあえず電池を交換し、綺麗に磨き上げて、それで修理を終了されたらどうでしょう?
次に壊れた時にその時計屋にまた修理をお願いするかというと疑問が残ります。
なぜかというと、時計が動かないという問題に対しての”原因を探す作業”が入っていないからです。
私たちセラピストも同様で、動作を見る際にはその動きが遂行できていない原因を特定し、その原因にあったアプローチを提供していくことが必須なのではないでしょうか?
ただしそうは言っても動作の問題点を見つけていくのは難しいです。
この解決策として本書では、普段の訓練に使うトレーニングの動きや基本動作でどこの筋肉が主に働いているかを図解で示されています。
著者は本書で
主要な問題点を確定するには、患者の訴えを聴取し、動作の異常を観察し、分析する必要がある。病因を同じくする疾患であれば、複数の患者の間で一般化できる問題もあるが、
典型例のみが治療の対象となることは考えられない。すなわち治療計画に動作分析が不可欠な症例は多い。
(出典:理学療法のための筋力トレーニングと運動学習 動作分析から始める根拠にもとづく運動療法)
と述べています。
つまり同じ異常動作をとってみても、人により原因が違います。
そのため目的とした動作を目指すには、どの機能が低下しているのかを正確に評価していく必要があります。
その前提条件として、本来どの機能が主体として働いているのかの機能を図解で示して頂いているので、評価をしていくにあたり非常に助けになりました。
上記のことはこの本の醍醐味であり、普段自分が意識できていなかった解剖・運動・生理学的なつながりを明確に示してくれています。
この本を読んでみて一番の良かったことは、「目的とする動作」を解剖・運動・生理学的に説明する際の”辞書”としての役割を担ってくれたことです。
この本には目的とする動作を獲得するための解剖・運動・生理学が多く記載されています。つまりは運動学習に必要な機能・方法まで幅広く網羅されているということです。
私の使った方法ですが、臨床に出て、評価・アプローチし、また本書に立ち戻り振り返って、またトライしてみて。臨床の辞書のように使っていました。
この過程を繰り返していくことで徐々に自分のデータベース、そして訓練の意味合いを徐々にしっかりと持つことができてきました。
この本は読んだだけで終わらないように、実際の臨床でのケーススタディー動画まであるので、実際の臨書に出た時を想像しながら読めるのが最高です。
理学療法士の強みである動作分析・筋力トレーニング・運動学習という武器が、自分の物となる為の手助けとなる本だと言えると思います。
書評を最後までお読み頂きありがとうございました。